『まんがタイムきらら』2025年12月号、発売されました。表紙は『スロウスタート』。花名とたまてが、カラフルに染めた両手指の爪をこちらに向けてご機嫌の様子です。花名は生え際から爪先にかけてのグラデーション、たまては指それぞれに違う色をいれたりして、こうしたところにも見られる個性。服装はふたりともにシックなクラシカルスタイル。蝶結びのかたちした髪飾りもまたかわいらしい。ほんと見ているだけで楽しさが伝わる、そんな愛らしい表紙です。
今月は新規ゲストが1本です。
『シーンゼロテイクワン』
優等生のお嬢様を演じている明尾椛恋。これまで誰にも見抜かれることなく、学園での人気者だった彼女の秘密に迫る人間が現れた。演技の匂いがする。突然ぶしつけにいわれて、ドキリとした椛恋。目の前にいるのは、学内でも有名な危険人物、九条銀華。教室を血の海にしたとか刃物持ってうろついてるとか、とにかく関わりあいになりたくない人物。風紀委員にも目をつけられていて、と、そんな彼女にロックオンされてしまった椛恋は、銀華からの呼び出しに応じてしまうのでした。
会って話してみれば、噂ほどの危険人物ではないみたい? 部屋中に散らばる原稿用紙は、映画の脚本なのだそう。いつか映画監督になることを夢見る、それが九条銀華だったのですね。学生向けの映画祭、スパークル学生映画祭、通称SSFFのグランプリを獲ると豪語した銀華は、その主演女優として椛恋に白羽の矢を立てたというわけです。
求められる椛恋の演技力。素の自分を隠し、優等生を演じる彼女のその能力こそが欲しい。と、そこまで話したところで、不審な状況を嗅ぎつけた風紀委員が近づいてくる! このピンチをいかにしてかいくぐるのか。そこで椛恋の演技力。銀華を指導する風紀副委員長に扮して、委員たちをやりすごすのです。
椛恋の演技力は掛け値なしに本物! それが証明されて、ついに動き出す銀華との映画製作。と思ったら、椛恋、自分の本性を隠す演技はできても、意識しての演技はできないの!? ここに銀華の見込み違いが発覚? という再びのピンチ。これをいかに乗り越えるのか。それが最初の課題となりそうです。
『しあわせ鳥見んぐ』
霧の晴れた鳥海山にて、イヌワシを待とうとする岬たち一行。警戒心の強いイヌワシは、追うというより気長に待つのがいいと、こうしたところに翼のベテラン感が出ていい感じ。開けた場所に観測基地を準備して、フィールドスコープも完備。お茶など飲みながら、ゆったりと待つ。そのゆるやかな時間、穏やかな雰囲気に、どうもテンポがあわない岬が難しい顔しちゃうんですね。
でも、ひながね、たまには羽を伸ばしてもいいんじゃないかって。肩の力を抜いて、ゆったりと自分たちを取り巻く自然に気持ちを向けていく。森を感じ、鳥たちの生活を感じ、そうしたありのままのなかに自然体でいれば、あるがままの自分でありのままの鳥たちに向きあえるんだ。
その気持ちの変化がイヌワシにも通じたか。どれほどの時間をこうして過ごしたのでしょう。今、大空を渡るイヌワシの姿を見つけて、自然とカメラを向けた岬。シャッターを切った、そのときの景色やいかなるものであったのか。ああ、これはきっといい写真になる。そう思わせてくれる瞬間が見事素敵でした。
『ざこのみなさんお大事に』
今日は雨、お客さんも少ないからと、こういうときにこそポップ作ったりして、魅力ある売り場にしていくのであります。
今回売りたいのは、店のすすめる栄養ドリンク。まずは売り文句を考えよう、というのですが、えぬ氏が考えるとどうにも煽りがまじるというか、いかがわしさが出るというか、採用しづらい雰囲気いっぱいになってしまう。とはいえ、椿のアイデアはあまりにそのまんますぎて選びにくい。他とは違うもの、でも突飛すぎない、そんな難しいバランスに苦悩するみみにえぬなのでした。
ここで椿が描いたイラスト。まさかこれが後に効いてくるとは思わなかった! はいいとして、イラストレーターやってるみみ渾身のイラストがですね、この子の好みをこれでもかと押し出してきて、いい感じ。なるほど、みみはお姉さんが好きと。で、ここにやってきたのがえぬの姉、える。美人姉妹が揃って、狼狽するのがみみです。お姉さん、どストライク! かわいすぎる。美人すぎる。もう本当に不審な動きしちゃって、まあ、好きな相手前にするとこんな感じですよね。この初々しさ? もまたみみの魅力ですよね。
と、ここで椿のイラスト大活躍。えるが気にいっちゃって、それで実際に手にとった栄養ドリンク。レジでイラストを思い出して笑ってしまったえる。口にした、もりりんもんろーなる語が椿を襲う! ほんと、あっちでもこっちでも羞恥が爆発する、にぎやかで楽しい店舗風景でした。
- 『まんがタイムきらら』第23巻第12号(2025年12月号)

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