2024年1月24日水曜日

『まんがタイムきららフォワード』2024年3月号

 『まんがタイムきららフォワード』2024年3月号、発売されました。表紙は『花唄メモワール』。雪の日の情景。かわいい雪だるまを真ん中にして集うは梅に藤野、アイリス、イネの4人です。雪だるまはアイリスとイネがこさえたんですね。これからいよいよザルの帽子をかぶせようといったところ。この雪すらも楽しんで明るく暖かく変えてしまうような4人の姿、その笑顔が見るも華やかで素敵な表紙であります。

今月は新規ゲストが4本です。

『オタクにやさしいギャル仙人』

なんかすごいのきたよ!? 絵を見たらわかる、『ももいろモンタージュ』の人だ!

というわけで今月は、陽キャと陰キャの大激戦!? 絵面見るかぎり、陰キャ勢に勝ち目はないんじゃないかと思えるけれど、よくよく見ればなんか人外めいたのがぽつぽついるよね。いったい陰キャとはなんなのか、問わずにはおられない。

そもそもこの戦い、なんなのかと思ったら、話は10数余年前にさかのぼる。オタクだったヒロインがギャルに優しくされたことをきっかけに、脱陰キャを決意! はいいんだけど、そこでとる選択が仙人のもとでの修行なの!? なるほど、これがタイトルの由来か。で、見事修行を終えたヒロインが、人心を掌握し、国のトップにも上り詰めたと思ったら、隣国との戦闘が勃発!?

かくして冒頭に描かれた、陽キャと陰キャの戦いとあいなるわけなんですが、あー、別に暴力にうったえたりしないのか! 陰キャの興味に寄り添う、そんな作戦に訴えた陽キャがどんどん陰キャに取り込まれていった先に、ヒロインが果たす再会。ほんと、このふたりの物語なのに、どんだけの人間を巻き込んでるんだろう!

実にシンプルな人と人とがわかりあう物語。それをここまで大風呂敷広げて描く、そこにこの作者の面目躍如を見ましたよ。

『あーきてくちゃ・ふぉとぐらふ』

学園のアイドル? どこか晴れない笑顔の社長令嬢の自然な姿に出会う、その様を描いたこの漫画。なにを撮ればいいかわからなくなってしまっていた主人公と、そしてどのように笑えばいいかわからなくなってしまっていた令嬢の、ふたりともに行動して取り戻す自分自身のありかた。そのプロセスに大きく関わってくるのが名建築についてのあれこれで、という、少女ふたりが出会い仲を深める物語を通して、建築について知ることのできる、一粒で二度おいしい、そんな漫画であったのでした。

今回とりあげられた建物は、フランク・ロイド・ライトによる自由学園明日館。建築大好き建立院の怒涛の説明は、学校で見せる態度とは相当に違っていて、それはあたかも好きなこととなると早口になるオタクそのもの。そんな彼女に導かれ、そして魅入られていく主人公の感情もまた知る喜びを感じさせて、それは建築に対するそれと、そして建立院に対するそれが重なりあっている。そんなようにも思われたのでした。

この漫画、もし連載になることがあれば、続いてどんな建築が出てくるのでしょうね。そんな想像もまた楽しく感じます。

『あなたのことです!』

お嬢様から好きな人がいると相談された使用人。いろいろ話を聞くたびに、私のことなのでは? という考えがよぎるものの、いやいやそんなはずはあるまいと否定していくのですね。

この漫画、よくある気持ちの働きを取り上げているように思います。この人は自分のことが好きなのではないかという思いと、いやいやそんなはずはあるまいと否定する気持ちの相克。自分にとって都合よく考えてしまっているのではないか、勘違いしてその気になってしまっているだけなのではないか。使用人の雛住ともなれば、お嬢様が自分のことを好いているなど、そう思うだけでも不遜であると、そんな感情もあるかも知れない。

そう考えると、職業上、立場上の縛りがゆえに、そのシンプルな答に辿り着けなかったのかも知れませんね。

いやしかしやっぱりですよ、お嬢様、思わせぶりなことして気づいてもらおうというのもいかんのですよ。最初っから、あなたのことですといいませんと、そりゃあそうかも知れないと思いながらも否定しようという気にもなる。ええ、最後の最後にはっきりさせた。それはとてもよいことでした。

『ポンコツ珍獣ハンターvsダイナソーwithエビフライ』

実家のふんどし屋を継がされるのが嫌で珍獣ハンターを目指した刹那。町にあらわれた恐竜を捕えるというのですが、なにぶんなって初日なので勝手がわからない。それでたまたま出会った主人公を助手にして恐竜を追うのですが、いや、恐竜よりも一緒に行動してるエビフライの方がインパクト強くない!?

手足がついたエビフライ。手袋に靴下も印象的で、いったいこいつなにものなのか。しかもこのエビフライ、しゃべってるんだけど!? と思ったら恐竜もしゃべってるな。交通法規にも明るい恐竜とエビフライ。主人公がいうように、そこまで危険な存在ではないかも知れない。むしろ話せばわかりそう。ふんどし屋継がせようとしてる刹那の親父さんよりも話通じるかも知れません。

さて、最後に明かされるエビフライの秘密。お前、中身エビじゃなかったのか! いやもうほんと、なんともいわれん疾走感に溢れた漫画。うかうかしてると置き去りにされそうな勢いでした。

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