『まんがタイムオリジナル』2023年12月号、先日の続きです。
『カントリー少女は都会をめざす!?』
今回も語られた八重のスタンス。都会を知らないことで楽しめることがあると思うから、都会を知りたくないという屈折した愛情! これ、よく考えたらタイトルと相反してるよね? イベントやらなんやらで普通に都会に出てる亜紀と見事な対照なしていて、ほんと八重の、都会とは遠くにありて思うもの。知ってしまうことで当たり前になったり幻滅したり、そういうことをおそれていたりするのかな。
さて、変化する都会と変化しない田舎の話といっていいんでしょうか。田舎だって進んでいってる! といいながら、有名な店がひとつ増えたら、有名な店がふたつなくなる……。1増2減で微後退……。このげんなりした八重が実にいい味出していました。
みなの以前に住んでたところは見事に変わらない。対して都会は駅やらなんやらどんどん変わっていく。これは新陳代謝といっていいのか、ずっと残っていてほしいものが失われていると思えばいいのか、痛し痒しといいましょうか、よいところもある、そうじゃないかもってところもある。ええ、難しいところですよね。
大阪に出た時に、以前から利用していた店がなくなっていたりとかね、そういう経験はいっぱいあります。でも店がなくなった後、そのままシャッターってこともまたない。こういうところはやっぱり新陳代謝なんでしょうね。
『我、持てざるを得ず』
女子に避けられる伊吹充。これ、見た目がいかついとか威圧的とか、そういうこともあろうけれど、それ以上に奇行が問題なんじゃないのかなあ。唐突なうしろ受け身には笑ったけど、なにがおかしいって、これが特になんの意味もないっていうのね。そしてその奇行をなんら気にしない青井雪春。こいつはこいつでデカい男なのかも知れませんね。
今回は伊吹から青井に頼みごと。浅尾さんとの仲を取り持ってほしい。しかし、伊吹が浅尾さんに恋する理由。身長が好み。髪型が好み。足の細さが好み。中身はよく知らない。
浅尾がどんなでも受け入れる覚悟という伊吹に対し意味深な返しをした青井。ええ? っということは、浅尾さんて結構な変わりもの? いや、この漫画に出てくるネームドキャラは全員そうだと思うのですが、この青井にして持て余すようなキャラなのかい!? なんてこともまた先の楽しみとなるのでしょう。本当、伊吹と浅尾が知りあって、そしてなにがどうなるか。いよいよ本番はこれからなのかも知れません。
『敷金礼金ヤンキー付き』
ヤンキーは意外と信心深い。朝のテレビ番組の星座占い。まんまと最下位、香織里ちゃん。それですっかり荒れちゃって、アパートの手下、いや違った、店子に自分の周囲を警戒するよう命じてみたりと、実際かなり気にしちゃってるんですね。
ここからが面白かった。アパートを出ていろんな人と出会っていくんですけど、こういう広がりが見えるのはいいですね。
まずは前回登場のコンビニ前にたむろしてるヤンキーふたり。そのうちのひとり、不動院ゆうこが陰陽師の家族で占いもできるとかいうので、大家のラッキーアイテムを聞きにきたんです。しかし、ゆうこさん、可愛いな。で、詳しく聞けば陰陽師やってるの血縁じゃないっていうの! このあたりガバガバなのもまた面白かった。細かいことは気にしない彼女らの見せる大らかさ。こいつは悪くないなあ。
そしてゆうこが検索してくれたラッキーアイテム。危険な動物なんだそうですが、そこであえて危険な動物に手を出そうとしなかった大家は常識人ですよ。けど名前だけでもいいからと、隣町の暴走族、スネークにかち込みをかけることに。うん、酷い! 常識人じゃなかった!
でもまさかスネークの頭が大家とおなじ星座で、占い最下位に凹みまくってる。そこに共感覚えて、ああ、よかった。なにごともなく落着しましたよ。
で、これ、占いとかラッキーアイテムとか当てにならないって話なのかな? って思ったら、おお、そうじゃなかった。たえの名字が猪熊。おお、なるほど、こういう落着。最後にすっきりする落ちがきて、なんかふっと笑える気の利いたエンディング。こういうのもまたいいですね。見送るふたりの背中に、親しげな仲が感じられます。
- 『まんがタイムオリジナル』第42巻第12号(2023年12月号)
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