2023年10月26日木曜日

『まんがタイムきららフォワード』2023年12月号

 『まんがタイムきららフォワード』2023年12月号、一昨日の続きです。

『球詠』

一年生を前面に押し出しての対村神学園戦。慣れない一年生たちが奮戦するも、なかなか試合を我が物にすることかなわず、むしろじわじわ押されている。未熟さゆえか、持ち味発揮することができず、パスボール、失点、エラーと、いいとこなしの展開です。

しかし詩織、妙な迫力ある子ですよね。ヨミの強直球を逸らせてしまった。それで落ち込むかと思ったら、むしろ逆に次は顔面に当ててでも捕ると強気な決意を見せているんですね。さすがのヨミもおののいてる!? ほんと、今年の一年生はといっていいのか、癖の強いのが揃いましたね!

試合が進むにつれ経験不足を露呈させる一年生たち。そんな中、奮闘してみせる詩織だけれど、ヨミが詩織の配球になかなか首を縦に振らない局面が見られ、はたしてヨミの真意はいかなるものなのか。詩織に対する不信ではないだろう。ならばなにかを詩織に伝えようとしているのだろうか。

チェンジのタイミングでヨミに話があると切り出した詩織。それを受けたヨミ、笑顔を見せつつこちらからも話があるという。おそらく同じ話だと思うという、それはいったいなんなのか。ヨミが詩織に見たいもの? 期待するもの。それがわかるかも知れませんね。

『魔法使いロゼの佐渡ライフ』

民俗博物館を訪れた紗菜とロゼ。博物館の入り口には千石船展示館との看板もあって、その偉容はなかなかのもの。故郷エトワールとの関わりを探りにきたロゼなれど感心し、圧倒されるそれは、かつて佐渡の交易に用いられた北前船。復元に1億4千万かけたといいますが、この絵の見せる圧倒するような存在感、実物を前にしたらどれほどのものだろう! 博物館の資料としても、またスペクタクル感じさせるオブジェとしても、耳目を集め人を呼ぶ、かけた額、かけられた労力に相応しいものありそうです。

さて、小学校をもとにしたこの博物館。所蔵された佐渡にまつわる資料のみならず、その建物自体も佐渡を物語るようでありますね。そんな博物館で、ロゼ、エトワールに関わるかも知れない花瓶を見つけるのですが、結局それ以上のことはわからず、むしろ佐渡について深く知る、その機会を得たといった具合になっていました。

今回は大きな収穫はなしかなと思った帰り道。なにかを撮影している月渚を発見。これはなにかのおぼしめし!? どうもやはりこの博物館詣では、エトワールと佐渡の関係について知る、そのきっかけになりそうです。

『花唄メモワール』

大正の世、街へと出た梅が出会ったのは、まさかの巴枝!? あまりの懐かしさに駆け寄っていく梅ですが、当の巴枝はきょとんとした顔。いや、それもそのはず、大正時代に巴枝がいるはずはないのです。いったい誰かと問うてみれば、吉野竹子、おそらくは巴枝に連なる関係筋であろう。

竹子、ロベールの知りあいだったんですね。かつてアイリスの家庭教師をつとめていた。再会したアイリスからいきなり変人呼ばわりされてますけど、ほんとどんな人なの竹子さん!?

聞けば小説家なのだそうですよ。実際のところは、雑誌に小説が掲載されたことのある小説家志望といったところみたいなんですが、梅たちを前に大それたことをいってしまった分、なにはなくとも文筆にはげもうと必死の様相。しかしそれは筆がのるというよりも、結果を出さねばと焦る気持ちに後押しされてのものであるのですね。

その竹子から梅が頼まれたのが、執筆中に食べられる夜食。とりわけ噂に聞く梅のハイカラ料理をということなのですが、これ実は無理難題のつもりで苦し紛れに捻り出された依頼で、でも梅は本当に素直ですね! やる気もやる気で、しかも桐喜も同じくやる気で豚バラ肉など用意して待っていたっていうんです。

ここで作られるのが、長崎の料理という豚の角煮。へー! 豚の角煮って長崎の料理だったんだ。梅同様に驚いたわけですけれど、かくして作られる豚の角煮。見事にできたその角煮を、竹子のリクエストにあわせて梅がアレンジ。おにぎりに結んでしまうのです。

竹子が口にした梅のおもてなし。ただ夜食として食べるのではなく、窓から望む夜景。星にあふれ三日月の光る景色をともにというのですね。

こうしたことが竹子に働きかけて、肩の力が抜けたのか、そして頑なだった目も開いたか、長く抱えてきた課題を克服、一歩進むことができた。梅との関わりを得ることで、またひとりその人生によい変化がもたらされたというのですね。

しばらく竹子は花瀧屋に逗留するようですよ。ということは、この宿でまたいろいろな経験をして、それを執筆に活かしていくということになるのでしょう。彼女がここで見、知ること、体験することがどのようなかたちで結実するのか。そうして書かれたものが後の世にもたらされたりするのか。ということは、もしや歴史に影響を及ぼしたりも!? なんて可能性に、ちょっと興奮してしまいます。

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