『まんがタイムオリジナル』2023年11月号、発売されました。表紙は『ラディカル・ホスピタル』。なんと眼鏡に三つ編み、ちょっと昔風の文学少女に扮した山下さんがメインであります。周囲には文豪、文筆家に扮した人たちが。『らいか・デイズ』らいかは明治あたり近代の、『小森さんは断れない!』しゅりは平安時代あたり、そして『となりのフィギュア原型師』代表は江戸時代、近世の俳人の姿で。いずれ文学少女山下の手元に届く作品を作っているのかも知れません。
『おだまき君の道草ごはん』
夏休み、勉強に打ち込む小麦のもとにやってきた苧環。お祭りに誘ってくれているというのですが、友達もいない、ふたりきりの縁日。これじゃデートだとドキドキしている小麦だけれど、苧環のことだから自治会の手伝いかなんかだろう。
ええ、まさしくそのとおりだったんですね。
でも、自治会では苧環の恋人と勘違いされた小麦。しかも迷子の案内に大活躍。いいじゃありませんか。で、仕事が明けて一緒にお祭りでも楽しんでいらっしゃいと送り出してくれたお姉様がた。小麦の浴衣の着崩れをばっちりきれいに直してくれて、ああ、よかったねえ小麦。すっかり可愛い小麦に戻りました。
そんなふたりの一緒に歩く夜の境内。苧環が小麦に見せたかったもの。蛍にホタルブクロ。野草を見るとすっかり食に意識が向いてしまうようになった小麦の赤面。でも、続く赤面は恥ずかしさとはちょっと違うみたい。ええ、ふたりの関係性の動く様、すごくよいと感じたんですね。
『となりのフィギュア原型師』
わー、水着回だ! って、なんで!? こんな唐突に、無理矢理に。というか、おこめ代表、スライダーの数値、ちょと上げちゃってない!?
こんな導入だったのに、まさか本編は斉藤と代表の出会いのエピソードであろうだなんて、まったく予想もしない展開に。というか、斉藤、やせたね!? イラストレーターmozuにすっかり改造されてしまったか。というか、もず姐、斉藤のこと好きすぎるよね? ここからの連続動揺コンボ。それを煽るはぐちゃん。かなりの緊迫度でありましたよ。
大学時代のふたりが描かれるんですが、ぱっと見違いがわからない斉藤と比べ、すっかり男の子な感じの代表がなんか新鮮です。中学生とかに見える。そんな代表が展示するフィギュアに引かれ訪れた彫刻科棟。出来はいいが、いかんせん刺さってこないその惜しさに、ものすごい熱量で感想あるいはアドバイスを書き記す斉藤の勇姿が最高でありました。
しかしこの工房。恋愛関係とかあんまり進展しなさそうに見せて、それなりにいろいろ動いちゃってますよね。代表半藤間の押し引きあれば、斉藤mozu間の、いやこれはmozuからの一方的なベクトルか? いずれどこかになにかしらのいい話が出てきそう。なんて思ったところで、肝心のお隣さんのポジションが謎になってくるな……。
ねえ、せっちゃんはメインヒロインじゃなかったんですか?
『アイドルはお忍びchu♡』
夏の暑さにへばる芙蓉です。江戸時代とか、冷害飢饉に疫病のはやる寒冷の時代だったろうから、現代のこの暑さは相当堪えることでしょう。風の通る座敷で寝転がっていたところ、一花から文明の利器、エアコンの威力を知らされる。
エアコンの原理もなにもわからない芙蓉ですが、自動で動いて冷風を送ってくれる機械の存在を知って、この暑さもなにかしらの仕業であるまいか、疑い出すんですが、まあ術やなにかじゃないのは間違いないけど、人の仕業が関わっとるのは残念ながら間違いなさそうですよ。
エアコンを知り、昔の夏の甘味を味わい、そしてビニールプールを楽しむ。ふたり一緒に庭のプールで楽しんでる様、これは実に楽しそうでよかった。そして芙蓉の水さばきの鮮やかさ! これ、アイドル活動には活かしにくいかも知れないけど、なにか別のとこで役立てられない!? それぐらいの威力を見せて、そして水蜘蛛の真実!
今回はアイドル活動ではなく、オフの日の楽しいひととき。こうしたゆっくりとした時間も悪くないですね。
『我、持てざるを得ず』
伊吹、いろいろ危うい男だなあ! 女子に意識せず自然体で話せるようになれば、彼の問題はあらかた解決しそう。柔道での実績もあるし、見場もそう悪くないし、なのに女子との縁のなさが彼をこうまでこじらせて、悪い方、悪い方へと追いやってしまっている。
そんな伊吹に女を紹介してくれるという、見た目はイケメン、中身はオタクの青井。伊吹が、二次元の住人であるお前に紹介できる女なんかいるのかっていってますけど、これほんと正解だったんじゃん!
いわゆるギャルゲーをやらされるのかな? そう思ったら、まさかのVR! そうか、今どきはこういうゲームがあるんだな! からの、不審そのものの伊吹の応答。もうめっちゃくちゃ面白いな。伊吹の練習の成果こそはよくわからないけれど、伊吹が楽しめたのならまあよしかな。
からの、青井の母ちゃんとの遭遇! そうか、母ちゃん、好みか。なぜ紹介しなかったかと問う伊吹に正論で答える青井がもうめちゃくちゃに面白かったです。
そしてラスト。やっぱり駄目だった伊吹。なんでも許してくれるVR女子じゃあ駄目だったんだ。駄目なことは駄目と学ぶ機会が得られなかったせいで、結局駄目で終わってしまいましたね。
- 『まんがタイムオリジナル』第42巻第11号(2023年11月号)
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