2020年5月2日土曜日

『まんがホーム』2020年6月号

 『まんがホーム』2020年6月号、発売されました。表紙は『らいか・デイズ』らいかをメインに、ハレの日に伝えるありがとう? これ、結婚式なのかい? らいかが花嫁衣装なのですかい!? ちょっと伏し目ぎみにそっと笑み浮かべるらいか。大人びた雰囲気感じさせるものありますよね。他のカットは参列者? 『ヲトメは義母に恋してる』、『孔明のヨメ。』、そして『河原部長とギャル部下ちゃん』。皆それぞれに着飾って、なんとも豪華な雰囲気。これもまた華やかさ増してよいですね。

『甘党映画看板絵師』

ひととおり読み通して、頭に戻ってきて、ああなるほどそうだよ、そのとおり! と得心させられました。これ、映画の看板を描く職人を取り上げた漫画なんですけど、手のはやく技術も確かという職人さん、その人、隙さえあればお菓子食べてるよ! 途中で気づいたんですよ。あれ? なんか口まわりの印象違うな? と思ったら、ビスケット食べてる! さらに読み進めば、ケーキやったりアイスやったりと、たんびたんびに食べるものが違っていて、仕事中は絵筆くわえてたり、看板固定する釘をくわえてたりする、その職人っぽさとのギャップがちょっとしたチャームポイントになっていたと思ったんですよ。

この甘党設定が、絵の面白さ、ワンポイントとしてくすぐるだけでなく、もっと表に出てくるような押し出され方しててもよかったかも知れません。今のところ、弟子入り志願者の和菓子さん、この子の師匠懐柔がロールケーキでしたね。でもってこの和菓子さんも甘いもの好きで、ふたり競うように食べてる感じがするのが、やっぱりちょっとおかしくてよかったです。

看板画についてのいろいろ、なるほどおじいさまが看板絵師だったのですね。今だと映画看板を手描きしてるの、日本で一箇所とかしかないんでしたっけ? かつて当たり前にあったけれど今はもう希少になっている、そういうものがこうして取り上げられて描かれる、それはなにかよいなあと思ったりもしたのでした。

『孔明のヨメ。』

孔明の策があたり、動きだした曹操軍。相手の動きを見て、その目的を推測し、民の虐殺などはなさそうだと安心する孔明。このくだりこそが、今回の一番の見せ場だったのかも知れないなんて思ったのですよ。どんな状況にあっても、民に被害の出ることを一番の心配ごととしている。そうした孔明の姿勢に劉備が共鳴する、そうしたところもまた魅力であったと思ったのですね。

さて、曹操軍の先鋒として新野に向かった曹仁。彼をいかに迎え撃つかというのですが、じわじわと憔悴させたり、また無人の新野城に誘い入れた後、月英の見つけた辛子やらでさらに兵を混乱させ、加えてそこに火を放つとか。この、何段階にもわけて、自分たちに都合のよい動きをさせるよう導いていく、その手腕。追うもの、迎えるものの心情それぞれを空の雲にも託させて描き出そうとするかのような誌面、ぐっとくる場面の連続でありました。

しかし、これ、まだ前哨戦ですよね。戦いはいよいよこれから。今回は人死にの出るような描写も抑えられてましたけど、苛烈さはいや増すことになるのでしょう。期待のうちに不安も少々、そんな複雑な気持ちがします。

『うちの可愛い掃除機知りませんか?』

智枝のところにやってきた市販品のアプリさん。モニター期間中の記憶は消されているはずなのに、まさかその記憶を取り戻すことになるだなんて! ということは、智枝のところに届いた掃除機は特別な品!? とか思ってたら、宮原透さん、無茶するな! 仕込みはしたけれど、智枝の家に届くものだけを特別扱いしたわけじゃないっていうからものすごい。全部か! 全部に過去の記憶が乗っかってるのか! 智枝と生活する中できっと取り戻されるだろうこと予測して、そして他のは消し忘れ、ミスとして修正、アプデで対応するってんだ!

ヤベえ。透さん、無茶苦茶するなあ!

でもね、透の無茶のおかげですよね。智枝の生活は、あのアプリのいた頃そのものに戻って、十萌もすっかり明るくなって、というか、ほんとにこの子、変わったよなあ! 人見知りで弱気で自信なさげだったこの子が、今はこんなにもほがらかで、智枝のもとにも自然体そのものといった感じで出入りして、ああ、もうほんとにチャーミング。智枝にあーんとか、他意もなくやっちゃう。なるほど、智枝はお姉ちゃんと同じカテゴリーに入ったわけだな。

そして透。ああ、智枝のあの台詞。なんだかね、昔の、以前の皆の関係のその延長に、まだまだ変わっていける余地もあるんだよって、そうしたこと感じさせた描写。そしてそれはさらに、消費者のもとに広く受け入れられたアプリが、それぞれの家での経験をもとに、それぞれにとって特別なひとりになっていくということ。そうした描写と重なりあって、人と人が関わりあって、互いに変化し育んでいく大切ななにか。それを強く感じさせてくれたのですね。ええ、アプリとの生活に育まれたもの、それを智枝はじめ皆が大切に思っていたように、智枝、透、十萌、彼彼女らもまた育み大切に思うなにかをそのうちに抱いている。たくさんいるアプリも、そうしたなにかをともに育んでいくことになるのだと思うと、なにかわくわくさせられるように思われたのでした。

『座敷童子あんこ』

座敷童子が漫画にはまって、ついには自分も漫画家に、だなんていっちゃうんですよ。ああー、これはまたなんか酷い漫画ができあがるんじゃないのー? とか思って読み進めてたらですよ、できねえ、これがまたびっくりするほどできねえってんだからえらいこと驚かされました。

あんこ、あくまでも自分がイケメンにちやほやされる妄想、その一本槍でいこうってんですね。でも、100人か。そら収集つかん。それはともあれ、ついつい気が散るあんこの様子とか、見るだにおかしいのだけど、笑いながらも身につまされる。うん、やるぞ! と思ったなにかがあっても、ついついだらだらしてしまって手につかないまま放置されるなんてことはよくある話で、ええ、あんこの姿は自分自身にどこか重なるように思えてきて大変いたましいのですよ。

今回の、これこれ! ってポイント。ひらめいたアイデアがちょっとしたことで吹っ飛んだりするの。あー、これ、たいていの人が共感するところだと思う。ほんと、今しがた思いついたと思ったこと、あれ? なんだっけ!? もう思い出されない。ええ、ありますよね。なんとかならんのですかね、あの現象。そしてママ上の秘密ですよ! おお、漫画をお描きになられる。でもってそのジャンル! 素敵! いやもう、素晴しいですよね。ほんと、一瞬自分もあんこみたく喰いついてしまいましたよ。

0 件のコメント: