2019年9月18日水曜日

好きな子がめがねを忘れた

 まずタイトルを見てほしい。好きな! 子が! めがねを! 忘れた! もうなにもいうことない。この漫画が描こうとしていること、その関係性まで見事に全部あらわして、なにも足さない、なにも引かない、素晴しいタイトルだと思う。Twitterのプロモーション、つまるところ出稿されてた広告で、これを含めた数タイトルが試し読み増量のキャンペーンやっていると知らされて、ほーん、まあ読むだけ読んでみるかあ、と迂闊に開いてみたらですよ、ああーん、もう本当に素晴しい。最高じゃん。眼鏡を忘れがちの女の子、三重さんのキャラクター、その愛らしさ、踏み込みの鋭さに完全心うばわれて、うばあ、ものすごい。速攻購入待ったなしでした。

だいたい、タイトルに語られているように、主人公、小村少年は三重さんのことが好きなんです。同じクラスの隣の席の女の子。言動とかちょっと個性的で、そして眼鏡が可愛い。ほぼ一目惚れですよね。そんな気になるあの子がですよ、ある日突然眼鏡を忘れてくる — 。

すごい目つき! けど、それはそれでかわいいって、小村少年、それは惚れた弱味なのかね? それとも好みの幅が広いのかね? ともあれ、おおいに同感させられる感想。この共感性の高い主人公が、好きな子の助けになろうと頑張ったりするところね、それがもういじらしくってたまらないし、そして目が悪くてよく見えない三重さんがですよ、ぐいぐい接近してくる。あまりの近さに穏かでいられない小村くんと、屈託なく距離詰めてくる三重さんのその攻防。距離感のおかしさが小村少年とともに読み手である私も揺さぶる、揺さぶる、もう最高じゃん。

しかも三重さん、小村少年が油断したその間隙をついて、ぐいっとくる。そのあまりの威力ですよ。こちらはもうライフで受ける他ない。がっつんがっつん削られて、完全、満身創痍だわ。立ってるのもやっとだわ。もう三重さんに抗うとか無理無駄難題。エピソードひとつひとつがコンパクト、短めなんだけど、これ、みっちりやられたらもたないかも知れない。それくらいに高威力で畳み掛けてくるんです。

この漫画、三重さん、小村くんが可愛いってのもあるけど、それだけじゃないですよね。眼鏡のあるなしが生死にかかわりそうなくらい目の悪い三重さんが、しょっちゅう眼鏡忘れてくる。

また忘れたの!?

小村くんのつっこみがもう面白いし、さらにまわりがよく見えなくとも頑張る、いや君、眼鏡ない時の方が普段より頑張るきらいがあるよね? ともあれ、無茶する三重さんに過剰ともいえるほどに反応して、つっこみいれる、小村くん筆頭にした周囲の言動も面白い。テンポ感いいよね。ぽんぽんぽんってくるよね。その投げ込んでくる調子のよさに、ほいほい面白がって受けてたら、三重さんの無防備な大打撃がどかんと放り込まれてくるからもう大変で、いやあ、ライフで受ける! 回避不能、致命の一撃ってやつですよ。

三重さんのことが好きで好きで、接近されてドギマギ、ちょっと距離を感じたらもやもやの小村くんのその初々しさ、いたいけさはこの漫画の美点であるといってもいいと思うし、対し思われる側の三重さん、この子にしても小村少年のこと近しく思って、恩を感じて、時によく見られたいと思ったり、意識せぬまま独占欲あらわにしてしまったりと、そうした心の模様、もう放っておけない! そんな見守りたい、見続けたいといった気持ちをかきたててやまんのですよ! ほんと、素晴しいと思う。

素晴しいといえば、2巻の描き下ろし。こいつは必見ですよ。最高ですか? 最高です。ぜひ読もう。

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