『まんがホーム』2019年7月号、発売されました。表紙は『らいか・デイズ』。梅雨の季節を受けて、雨の中、走っていこうとするらいかに差し延べられる傘。ああ、後ろには竹田がいるのかな? 今回のテーマは雨ですね。『孔明のヨメ。』孔明、月英夫妻は、大きな葉っぱを傘にしてますよ。なんかコロボックルみたい。『河原課長とギャル部下ちゃん』三崎は課長のてるてる坊主を作ったんですね。『転生したら蘭丸でした』は力丸、坊丸ふたりが雨に濡れないよう着物でもって雨避けしてくれている蘭丸です。いいお兄ちゃんですね。
今月は新作が1本です。
『めい be love』。幼ない頃からの夢を叶えて美術館学芸員となった日辻芽衣。この人の初出勤となったこの日、この朝、思いもしない出会いが彼女の門出にケチをつけた? いや、どうなんだろう。公園のベンチにつっぷしている男性を発見。声をかけたら横柄な態度が返ってきた。この相手、なるほど、自分の職業までしゃべってしまった芽衣の言葉、学芸員というそこに引っ掛かって態度が変わった。夢や希望を語る芽衣と、現実に直面にしている者の差なんだろうか。この男、大上は芽衣の勤めることになった美術館の学芸部長。決して理想的とはいえない出会い、マイナスからスタートした好感度。ここからのふたりどうなっていくのか。現実をつきつけられることになる芽衣? それとも芽衣に影響されて大上にも変化が? そうした物語はこれからでありますね。
『孔明のヨメ。』。劉備が趙雲、孔明をともなって荊州へと赴くことになりました。孔明と蔡婦人は遠いとはいえ姻戚関係にあって、面識あり、けれど関係がよいわけでもないという微妙な状況。はたしてどうなるのか、ハラハラしたのですが、圧力こそは強くとも、孔明とのやりとり、それくらいですんでよかったといった印象。身内である孔明、そしてとりわけ姪である月英を大切にしようと思っている、そんな様子が蔡婦人からは感じられて、印象よくなったりしましてね、いや、でも以前劉備を亡きものにしようとかしてたよね……。状況、動いていきますね。蔡婦人は自分の息子が荊州を継ぐことになって、いうならばご機嫌。けれど劉表はそんなに単純ではなかった……!? 状況によっては劉備に荊州を治めてくれというその言葉、そうなれば孔明の計略こそは進展するけど、蔡婦人とは真っ向対立よね。ほんと、これ、ハラハラだわ。ここからが本当のハラハラだと、ちょっと心配がたちますよね。
続く特別展『三国志』の取材漫画もめちゃくちゃ面白かった。ただ聞くだけでなく、作者の側からぐいぐいいくところ、その前のめりの姿勢あってこそ出てきたろう話なのでは? みたいな感触もあって、実に面白かったです。石碑のくだりとか、そして白磁のくだりも。これは興味かきたてられます。でも東京と九州かあ。どちらも遠いなあ。なかなかの悩みどころ。いや、中国にいくこと考えたらめちゃくちゃ近いんですけどね。
『私の姫は王子様』。女装させられて映像配信に出演させられて。雨傘に振り回されぎみの光明寺の様子がメインになっていくのかと思いきや、意外や雨傘の気持ちの変化、揺れ動き、そういうのが描かれたのがよかったですよ。実況することになったゲームで、どうにかして勝ちたい、ポイント集めて報酬をゲットしたい、そう思う光明寺の頑張りと挫折。理想と現実のギャップ、あまりのままならなさにもだえ苦しむ光明寺と、それを愛でる雨傘。でも、雨傘がただ光明寺の苦しむ様を眺めるんじゃなく、彼の頑張りを評価し、代替物ではない彼自身に目を向け、だんだんとリスペクトしつつあるところ、ここにね、戯画的に表現されてる雨傘というキャラクターの別の側面、情の通う存在としての厚みみたいなものを感じて、あ、いいじゃないかって思ったんですね。ちょっとこれ、この先どうなるかわからないぞ。そんなことも思わされた。続き、楽しみです。
- 『まんがホーム』第33巻第7号(2019年7月号)
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