『まんがタイムきらら』2019年7月号、発売されました。表紙は『うらら迷路帖』。今回最終回を迎えましたね。メインの5人が、ありし日の姿で全員集合して、これはお別れ? それとも、こちらにおいでと手を差し延べてくれているのか。ああ、後者のように感じますね。物語としては終わるけれど、その世界はまだまだ広がりを持って生き続けていく。そうした実感、こうした表紙の雰囲気からも感じとれて、ええ、皆もいい表情。明るくなれる、そんな表紙であると思いました。ああ、マツコさんのこと忘れてた。メインの6人ね。6人。マツコさん、可愛いわ。
今月新作は1本です。荒井チェリーの『むすんで、つないで。』。
『むすんで、つないで。』。これ、びっくりした。明るいしっかりもの、利発そうなお嬢系女の子、榊花ノ子。自ら認めるクズ系地味系共感系美少女、倉石つなぐ。家が隣同士のふたりの親密さ、かのこがつなぐの世話焼いてみたり、そんなかのこのことどう見ても大好き以上に大好きなつなぐとか、その関係がいいなって思った。でもって、いろいろ駄目なところ見せちゃうつなぐ、その駄目さ、共感できるところ大いにあって、萌えいずる微笑ましさ、情のやわらぎ、とてもいいなって思った。けど、この漫画、そうしたふたりの関係、やりとりを中心に展開していこうって話じゃなかったんか。なんか嫌な予感はしたんよ。野見山様のくだり、危ないからいっては駄目と大人からいわれている、あえてそう語られたところ、しかも過去のこととして語られたところ、あれ? なんかおかしいぞって、不穏を感じた。そしてその不穏が最後に確定する、あの瞬間、え? ちょっと待って!? 覚悟はあったけど、これ、どうするんだ。荒井チェリーだからきっと大丈夫、そういう予感はあれど、のっけからどかんどかんとぶちこんできましたね。というか、第1話、それこそ導入の回、最後の転換にいたった時点でかのちゃんに、そしてつなぐにも、感情移入が完了しているところ、これ、すごいと思う。それがなければ、ここまでドキリとはしない。胸に重いものがズシリと落ちてきたりはしない。さすがだった。見事でした。
『うらら迷路帖』。最終回でした。前回、千矢とその両親の物語に決着がついて、そして今回は残された友人たちとの物語、そのしめくくりでありました。後日談という形式をとりながら、皆のその後が語られていく。あれから7年が過ぎて、今年また新たにお披露目される一番占、それが巽紺。あれ、一番占、紺なの!? 大きなコマにどんとくる紺の若干の憂いも思わせる表情、最初にこれが目に入るじゃないですか。でも、ちゃんと書いてある。今年もまた新たな一番占がお披露目される。そうか、前年に誰かが一番占になっているんだ。ここから描かれていく皆のその後。小梅は迷路町を出て修行の旅の空の下にあるんだ。ノノは棗屋を継ぎ、そして臣は巽屋の師範代に。そして紺のこと。ああ、紺があえて一番占になろうとしたこと、その覚悟、それは千矢と迷路帖とすべてのうららのことを考えての選択だったんですね。皆の再会の情景に、過去これまでの思い出がフラッシュバックするような、そんな情景を描きつつ、強く切れない絆なども感じさせつつ、そしてこれからの希望も匂わせて、閉幕。改めて、これは、千矢と紺、ふたりの関係、そこにこそ重みが置かれていた、そんな感触に、なにか安心しつつの最終回でした。
『けいおん!Shuffle』。紫、いいキャラクターしてるよなあ。強い。この強さがいい。定期テスト直前ということで、部活は禁止。そこで前回登場のしなの先輩、この人が絡んできて、なるほど、キャラクター、よくよく見えてくる。ちゃらんぽらんに見えて実はできる子、紫に真帆。ふたりの本質に気づいて、うろたえ気味のしなのがおかしい。さらに、部室の鍵持ってきてたしなのに、だめですよ盗んできちゃ! って、この信用のなさ! きてますね、いいですよ。ここらのやりとりで、関係性、ばっちり決まってきてるとわかる、そんな感触、実にいい。その後もね、しなのにぐいぐい攻め込む紫の強さ。ああ、かっこいい、素敵。この子、すごくいい。ドラムが音をしぼれないがために、ひとり練習できない紫、あのふくれっつら。とてもいい。しなの先輩に勉強教えちゃう紫のできのよさに、姉に対するあの感情、ああ、よくよくこの子のよさが出ている。しびれましたね。と、今回はここらが見せ場なのかなと思ったら、続く紫の姉とのやりとり、あのバトル、めちゃくちゃに面白くって、これはよかったわ。妹の行動を事前に察知している姉。さらに見抜いた上で、電子ドラム購入に反対する意見書とか用意してるの、すごいな、姉! 有能姉妹か! 姉のプレゼンテーションも見事な説得力で、ほんと、この姉妹関係、面白いわ、実にいいわ。そして今回も莉子先輩、最後の最後にいいとこかっさらっていく。この人の謎はまだまだ明かされそうにないけど、このしなのに対する強さ、これもまたまた魅力的な関係です。
- 『まんがタイムきらら』第17巻第7号(2019年7月号)
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