『まんがタイムきらら』2019年7月号、一昨日の続きです。
『星屑テレパス』。後編も面白かったです。宇宙人に憧れる、というか親近感? 持ってる海果が、クラスにやってきた宇宙人、明内ユウと知り合って、そして見事に心魅かれて、ああ、仲良くなりたい、そのためにはあいさつして、自己紹介してと、いろいろ算段するのだけど、根が内気、人見知り、コミュ障であるために、そのあいさつさえも簡単なことではないというのですね。ユウとふたりきりになりたい、そう思うけれど、彼女のまわりには人がいっぱい。でも、これはユウがうまくはからってくれたのかい? ふたり一組のオリエンテーションで、ユウが海果をペアに選んでくれた。この漫画、なにがよかったかって、海果にとって自己紹介がこんなにも難しいことだって、きっちりしっかり伝えてくれて、その胸のうち、苦しさ、無力さ、絶望感を表してくれて、そしたらそこにユウがしっかりと踏み込んでくれる。それはひとり深みに沈んでいこうとする海果の手をとり、一気に引き上げてくれたかのようで、そして静かに心を通わせるおでこぱしー。見事に躍動したそのすぐ後に静謐な時間が続くコントラストの魅力。動と静、その交代が心地良く繰り返されて、気づけば最後の落ちにまで到達してたというんです。ふたりの夢の語らいの後にあの落ちがくるのも気が利いていたと思います。前後編の導入、実によくその機能を果たして、見事に引き込んでくれました。
『さかさまロリポップ』。今回、マネージャー視点で語られたのですが、マネージャーの中村、冒頭にちょろっと姿を見せて以降、最後まで見事に画面の外。ただただ詩月と穂澄、ふたりのやりとりを眺める傍観者、いや観測し物語る、一視点としての役割に徹していたというんですね。中村マネージャー、あんまりに蚊帳の外なものだから、詩月の楽屋にいるのが、詩月、穂澄のふたりだけにしか見えないという。ふたりの会話、姉という存在への憧れ? から、姉柚希争奪の勝負に発展するところも、そして柚希が到着してからのいろいろも、中村マネージャー、まったく介入することなく、ただただ静かに見守っている。この構造が、もう、なんか面白いなあ。けど面白いのは構造だけじゃなくて描かれたこともよかった。カメラが泣くほど嫌いという柚希、穂澄がカメラを向けたら本当に泣いてしまってというの、ああ、穂澄、動揺しちゃったよ。そりゃ言葉の綾だと思うよね。こうしたやり取りに被る中村マネージャーの心の声、なんかいいアクセントになっていました。そして柚希、すっかり穂澄に気にいられちゃって、でもって詩月も姉のこと大好きでっていうのね、柚希を取り合ってケンカになったりせず、そのよさをふたり語りあったりしてるところも楽しく、可愛い。こしょこしょと気持ちくすぐる、そんな回でした。
『花々*ライフストーリー』。メイドのさくら、しっかり働いていますね。お嬢様、つくしを起こしにいったらはげしい寝癖。結ぶといつもの髪形になるそうだけど、頭の上、はねてるのはちゃんとしないといかんよね。このへんの身だしなみいろいろ、さくらがやったんでしょうか。いや、着替えは自分でやるんだ。お嬢様、自立なさってるな。さくらに注意されて心外というつくし。つくしに新鮮といわれて喜ぶさくら。ふたりのやり取り、よかったですよ。同じ学生服着ながらも、メイドの本分を忘れないさくら、このわきまえてる感もまた新鮮でした。でもって、さくら、まるで秘書だな。立派です。学校でのさくらの妄想、いろいろやりすぎ感あふれてるの期待できますね。そしてつくしの代表挨拶。緊張を乗り越えられたのは、さくらに変顔をさせない、その一心だったんだろうか。愛? いや、それはそれで恥ずかしいからか。このあたりの機微も面白かった。今回、雪渕しずく、新たにお嬢様が加わったのですが、つくしとはまた違ったタイプのお嬢さん。つくしの個性も際立ち、でもってさくらとの関係、その輪郭も明瞭さを増したように感じます。
- 『まんがタイムきらら』第17巻第7号(2019年7月号)
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