表紙の麻乃が可愛いわ。手鏡手にして、口元、こう指でもって口角上げましてね、好印象与えるべく笑顔の練習してるんですけど、いやあ、ぎこちなくって、それがほんと可愛い。麻乃の横にはですね静がおりまして、この子は本読んでる。ええ、なにに頓着するわけでもなく、ただただ本に没頭している。そんな様子なんですね。このちょっと傾向の違うふたりが、出会って、それから友達になっていくというお話です。シンプルですね。いかにもわかりやすい。けれどそのわかりやすさの先に、ふたりの関係のしみじみと深まっていく、その過程が丁寧に描かれるものですから、いやもうたまらない。いや、これ、いいですよ。読まずにすますなんてありえない。
麻乃と静。友達がいない同士のふたりが、たまたまに出会って、友達になろう。かくしてはじまる友達ライフ、っていうんですが、麻乃、静それぞれに違った類の不器用さといいますか、おかしいの。対照的なのかな。はじめて出会った屋上での様子ね。これも典型的といいますか、静はちょんと正座してお弁当食べてるでしょう? なのに麻乃といったら、脚がばって広げて座ってね、ほら全然違う。と思ったら似たところもあるふたり。その違うところ、似ているところとか、読んでいるうちにだんだんわかってきて、わかるほどに距離が縮まっていく。麻乃、静ふたりの距離にしてもそうですし、読者である私とふたりの距離においても同じと感じられるんですね。
笑顔がうまく作れなくて、怖い、そういってクラスの皆から距離を置かれてる麻乃だけど、脚がばっと広げて座っちゃう麻乃だけど、本当は可愛いもの好きだったり、すごく真面目だったりして、ああ、すごく誤解されてるんだ。静は静で、もうやたらとマイペースで、なんか独特の感性、時にネガティブで、かと思ったらすごく素直に感情表したりするところがあって、ああ、この素直さをね、皆の前でも見せられたらいいのにね。でもそれができないふたりなんだな。こうしたところ、自分のよさ、素直な気持ちをうまく人に伝えられないといったこと、誰しも経験あるんじゃないかな。自分もそうだったりしたんじゃないかな。そうしたこと思って、次第に共感を深めていく。ふたりの不器用なところ、それは多かれ少なかれ誰もが持ってるものに同じなのだと思う。だからこそ、ふたりの様子を微笑ましくも思うし、うまくいけばいいなって気持ちにもなるんだと思います。
麻乃と静は、人間関係作っていくこと、自分のアピールとかね、こういうのをうまくできないから、逆によりその繋りを深めていくことができたんだと思う。ええ、もうね、どうしたらいいかわからないなりに、ちょっとずつ勇気出して、足元確かめながら、その距離を縮めていくようなふたりのあり方が素晴しい。ああ、気づいたらなんとなく友達になってたとかじゃない。友達になるべくして、友達になるべきふたりが、友達になろうと意識し行動することで、友達になっていく過程を見せられているんだ。友達であるということを、自ら確かにしていく、そういう話なんだって実感させられて、基本コメディ、面白おかしいやりとりを楽しんで、たまにふたりの本音に照れたりする様子見てニヤニヤしたりと、そうした漫画であるのですが、時にはっとさせられる。ぐっと胸に感動のつのることもある。いい漫画なんですよ。
先輩ふたりもいいですよね。いやもう、秋先輩、極端すぎる! でもって秋、芽衣、ふたりともに麻乃、静の関係、若干誤解してたりするっていうネタもね、いつか解ける日がくるの!? わかんないんですけどさ、おかしくって、面白くって、大好きなんですね。そしてこのふたりの麻乃、静に向ける視線は、時に読者のそれと重なりあって、見守るようであり、そして麻乃、静だけではふたりの主観に傾きすぎるところを、客観的に整理する、そうした機会を作ってくれたりと、結構重要な役割担っていると思うんですよね。いい先輩だな。いつか高校生だった今が彼女たちの思い出になったとき、麻乃、静にとってのいい友人として居続けてくれたりしたら嬉しいな。なんて思ってしまう。そうした親しさが、確かに先輩たちにも、先輩たちからも向けられていると思うのですね。
- GAGAGA『トモダチヅクリ』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2017年。
- 以下続刊
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