2015年11月7日土曜日

『まんがタイム』2015年12月号

『まんがタイム』2015年12月号、発売されました。表紙は『おとぼけ課長』、ダンスがテーマということで、課長と奥さんは社交ダンスで、ちょっとおすましであります。『秘書の仕事じゃありません』中田さんも豪華なドレス、『さわらせてっ!あみかさん』、あみかさんもそうですね。『まりあ17』まりあは、口に赤いバラなんてくわえましてね、情熱の赤いバラ、情熱のフラメンコ、といった雰囲気。真っ赤なドレスに負けてませんよね。

『秘書の仕事じゃありません』、なんだろう、のっけからこのアクション。椅子に乗せた社長を、椅子ごと押して、すごい勢いで逃亡する社長秘書中田葉子。この椅子が自走できるのは、まあ、あの人の仕業だろうなあ。ミカちゃんがやってくるというんですね。書類持って、ハンコだけ押してくれたらいいからって。しかし、あの人のこと、きっと大変なことになるだろう。というので、ミカと社長を会わせないようにするっていうんですが、そのあの手この手がおかしくて、けど社長ひとりがわかってない。まあなあ、この社長だもんなあ。主任がですね、てきぱき、あるいはピリピリしてて、ちょっと怖い。ここで中田さんが頑張りきれなかったのは、この人の経験のなさゆえなのかも知れませんね。というか、この社長の下で、ろくに仕事させてもらえてないものなあ。今回は、話に動きがあって、したたかな人たちの攻防あって、そういうところ実によかったです。

『おひとり食堂』。誠一郎、やっぱり店の評価とか気になるんですね。って、当たり前かあ。自分の店が雑誌の女性ひとりでも楽しめるお店特集に載っていないことに傷ついて、と思ったら、すぐに一読者になって、どの店がよさそうとかきゃっきゃと楽しんじゃう。誠一郎の魅力なんですけど、食堂店主とギタリストの二足のわらじってとこよりも、実は女子なんじゃないの? ってその性格、そこにありそうだなあ。ええ、実感させられましたよ。誠一郎、気になる店の偵察にいくのはいいんだけど、心からその魅力にとらわれる。うん、この素直さも誠一郎の魅力ですよね。しかし今回の話、素敵だったのは、自分の店に帰ってきてからの展開。いつぞやのアイドルおっかけのお客さんが来店して、ほんと、この人、大好きですよ。でもって、いろいろ工夫する誠一郎の顔色なんて伺わず、しょうが焼きくださいの一点張り。しょうが焼きが食べたいって言ってんじゃん!! うわあ、めちゃくちゃいいな、このお姉さん。最高だと思う。他の店の工夫、それを意識するのもいいけれど、食堂せいちゃんにはせいちゃんのよさがある。それを伝えてくれたお客さん。ええ、雑誌とかじゃなく、お客さんからのお褒めの言葉が嬉しい。そんなエピソードにすっかりやられました。ああ、そうそう、靴ぬいで椅子にあぐらかいてるお客さん! ほんと、この人、最高に魅力的だと思う!

鉄仮面のイブキさん』、久しぶりのドロ助! というか、久しぶりの喜多くん、伊吹さんメインの話でしたよ。うん、初期はこんな感じだった。そしてこの味わい。とてもいい。魅力的なキャラクター多いから、たくさん人が出てきて、わいわいとやってる、そういうのもすごく面白いんですけど、表情の読めない伊吹さんと、その伊吹さんに振り回されたり空回りしたりの喜多くんっていう構図もすごく面白くって、ええ、今回は後者の魅力、ばっちりでした。しかし、喜多くん、お姉さんにも、さらにはドロ助にさえも負けてるんですね。内気なお姉さんと伊吹さんの、ノンバーバルコミュニケーション。あ、ごめん、間違ってたわ。メールやりとりして言葉は介してた。ほんと、ほのぼのとして、そして伊吹さんの表情読むことに関しては、ドロ助に完敗。いや、もう、最高じゃないですか。しかし、ほんと、喜多くんの思い通じず。最後のね、姉さん、伊吹さんの間にぽつねんとしてる彼の悲哀、しみじみと感じいりましたよ。

『ゆとりノベライズ』、最終回でした。ああ、都ゆとり、ついにクビです! って、まあそうだろうと予想してました。クビになったのはバイトだったんですね。しかし、都がなんかやらかしたんじゃないかって思っちゃう里美さん、地味に酷いですよ! この漫画、いつも自信のない、なんかくよくよしてる都がですね、それでもちょっとずつ自分の足元しっかりと固めて進んできたんだっていうことが意識された今回です。ひきはらうことになった部屋。その引っ越しの準備中に、都と里美が会話している。その内容ですよ。この部屋を出るのは一人前になったときだと思っていた。そういう都だけど、今の都は3年書いているプロで、昔の都からすれば、立派な作家であることに違いない。きっと都ゆとりは、売れようとどうしようと、どこか自信なく、悩んだり苦しんだりして、その時には里美に相談して、そうしたこれからのふたりの関係の長く続くだろうこと暗示させて終わった今回。ええ、これまでの都や里美の道のり、それがあったからこその説得力で、すっと腑に落ちて、しみわたる、そんな読後感あるラストでありました。

  • 『まんがタイム』第35巻第12号(2015年12月号)

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