2025年5月23日金曜日

『まんがタイムきららフォワード』2025年7月号

 『まんがタイムきららフォワード』2025年7月号、発売されました。表紙は『gg!』。見下ろすカメラにピースサインで応えるセシリアにマイ。けれど優香は余裕がなくって、これはゲームプレイ中? いや、プレイの合間の情景なのでしょうね。一戦終わらせて余裕の勝利なのか、あるいは優香の特訓中か。いつものようにといったら悪いけど、優香ひとりが汗かいて奮戦中といった様子です。しかし、こうして一緒に取り組むものがあるということ。チームで戦うゲームもまた情熱持って向きあう青春のステージなのだと、この子たち見ているとわかるように思います。ゲームを取り巻く環境、ずいぶん大きく素敵になりました。

今月は新連載が2本、新規ゲストが1本です。

『あまねくシグナル』

空から落ちてきた女の子。出会ってすぐに逃げ出したその子は言葉が通じぬようで、ということはこの世界、少なくともこの国の人ではない模様です。あまりに不思議なできごとに、学校にいっても気もそぞろだったあまね。あれは宇宙人かなにかなのか? 疑問に思う彼女に、向こうから答がやってくるんですね。

自宅前で待っていた朝の女の子。しかも言葉が通じるようになっている! 謎の存在。お尻に触手。さらに不思議生物まで連れていて、明らかに不思議。それどころか不審。近づきにならないほうがいいと思ったものの、その子、逃がしてはくれなかった。家族になってくれと頼みこんできたのです。

この子、シグ。日本にやってきた宇宙人。ご飯を作るといったシグを招き入れて食卓を囲むのですが、地球オタクという彼女は、日本のガイドブック持っていて、これのおかげで日本食も立派に作れるのですね。

シグがあまねを選んだのは、あまねの心の穴に気づいたから。しかし伝えることは得意ではない? 一度は気持ちの疎通に失敗してしまったシグだけれど、自分の母星がもう住める環境ではなくなったこと。家族から見捨てられたことを話し、そしてふたりの暮らしがいよいよはじまろうというのですね。

あまりに違いすぎるふたり。でもどこか似たところもあるふたり。そんなふたりの生活や、いかなものになりましょうか。やわらかなタッチで描かれる、情感豊かな雰囲気が印象的な漫画です。

『ゴスロリ横丁』

ゴスロリ衣装に身を包んだショップ店員のゆな。見た目も華麗なその人は、実はかなりの飲兵衛で、どうしても酒をたしなみたい夜もあるというのです。そんな彼女のおきにいりの場所は、新宿西口思い出横丁。日本人だけでなくインバウンドの外国人客でも賑わうその場所は、夜でもこうこうと明かりを灯し、居並ぶ飲み屋はどこも満員。あてどなく横丁をそぞろ歩いて、直感だよりで今夜の店を決める。ああ、目当ての店があるでなく、馴染みの店にいくでなく、まさしく嗅覚一本でここという店を選んで立ち寄る、それがゆなのスタイルなのですね。

今夜のお店はおでん屋。まずは熱燗2合を注文し、あとは気持ちのおもむくままにおでんをつまんでいく。ここにも彼女の予期せぬ出会いに身をゆだねる、そうしたポリシーが見てとれるのです。

そんな彼女の今夜の出会いは、常連のみが知る裏メニュー? 焼きおにぎりおでんというの、これ、焼きおにぎりをおでんだしにひたしたものか。これは本当においしそう。予想もつかないメニューを知る。それもまた楽しみ。知らない店の、はじめてのメニュー。初対面の人たちとのしばしのコミュニケーション。ああ、楽しい夜の過ごしかた。これもまた優雅でありますね。

『吉岡さんは差し入れがしたい』

京都は嵐山に店をかまえる一件の蕎麦屋、雲母庵。それが吉岡詩織の切り盛りする店。クール? あるいはミステリアスな美人。とっつきにくいとバイトの杏はいいますが、決して冷たい人じゃない。表情こそは変わらないけれど、新人バイトの杏のこともちゃんと見てくれている。古くからいる店員さんには、その店長の思うところ、いろいろわかっているのですね。

そんな吉岡店長の楽しみは、働く仲間への差し入れ? 嵐山のメインストリートに居並ぶ店をざっと見て、皆が喜ぶのはなんだろうか。特に今回は杏の好みを意識して、そのアクセサリーからお団子にしてみよう。みたらし団子に決めるのでした。

ただ差し入れにお菓子を買うというだけじゃなく、実際に自分でも食べてみる。吉岡店長による食レポがメインなのか、そう思わされる充実の描写が空きっ腹を襲います。

店長の御眼鏡にかなえば、差し入れ用にテイクアウト。お店の皆に振る舞われるそれらはまさしく店長吉岡の心尽くし。杏の好みを的中させて、優しい笑みを見せた店長に心わしづかみにされる杏よ! これだけで、店長の人となりもわかろうというもの。距離を感じていた杏にして、一発で陥落せしめたその表情は、ただ美しい、魅力的というだけでなく、人に近しさ感じさせる人懐こさにあふれるものなのですね。

0 件のコメント: