『まんがタイムオリジナル』2024年4月号、一昨日の続きです。
『となりのフィギュア原型師』
今回の話、めちゃくちゃいいですね。仕事に悩む倉田と、それをはげます同志桐山のお話。あるいは、世代の違いが引き起こす不和とでもいったらいいのでしょうか。商品であるフィギュアのクオリティを重視し厳しいリテイクを繰り出す倉田に対し、あからさまに抵抗してくる若手原型師。
ここにきて、桐山がいった、まともに全部やるの自分くらいという言葉が効いてくるのですね。桐山の工房メンバーは素直に聞いてくれても、皆が皆そうではない。とりわけ、まだ鼻っ柱を折られていないプライド高い若手ともなると特に。という話。
ここで悩んだ倉田に、同期桐山がこれまた見事に的確なアドバイスをして見せて、ここすごいですよね、さすがに独り立ちして工房切り盛りしてるだけあるわという視野の広さ、確かな視座を見せつけて、今の自分のことも、昔の自分たちのことも、ずっと冷静に見通している。
いやもう、今回は工房リーダーの頼りになる様、これでもかと思い知りました。また桐山と倉田、ふたりのともに歩み深めてきた絆ともいえる関係も、また知ることができたと思いました。
『アイドルはお忍びCHU♡』
雑誌の撮影に臨む一花と芙蓉。一花は慣れたものなのですが、芙蓉はもう緊張しちゃってまして、というかまだ大勢に取り囲まれる状況というのが不安な模様。もし襲撃などあったら! とか思っちゃうあたり、この時代に適応してきているようでいて、まだまだ戦のあった時代の空気をまとわせているんですね。
しかし笑顔ふりまく一花と、かたい表情見せる芙蓉のコントラスト。これ、見ようによればやわらかにほころぶ一花と、クールに感情おさえる芙蓉といったように、ユニットとしての演出のようにも見えてきますよね。
こうして終えた写真撮影。すっかりくたびれ果てた芙蓉ですけど、おみやげに持たされた羊羹に興奮してみたりね、こうしたところ面白くって、そして東京からの帰りに寄った弁当売り場での驚き。この現代日本を知っていく芙蓉の様子。驚いたりほっとしたりが、本当にチャーミングなんですね。
『おだまき君の道草ごはん』
どうしても苧環には勝てないと思い知る小麦。あまりのことに発熱しちゃったというのですが、お見舞いにきてくれた苧環とのやり取りが本当に素敵でしてね、小麦の体調を気づかう苧環の差し入れあれば、またどうしても勝たせてくれない苧環に対する小麦の素直な感謝の気持ち。
ああ、小麦、いい子だなあ。自分の先に立ち続ける苧環を、邪魔だとか、不愉快だとか、そんなこと思いやしない。自分を高め、引き上げてくれる、そんな存在と認識していて、そしてその感謝の言葉を聞かされた苧環の胸中に思い出される過去の悲しいできごと。
ああ、小麦がついに苧環の心に触れたんですね。苧環を知り、理解することができた、そんな小麦に苧環が告げようとしたのはなにか!?
いやあ、小麦のパパさんに邪魔されてしまいましたけど、本当、このふたりの関係に、今こそ決定的な進展の瞬間が迫ってきている、そんな局面であります。
- 『まんがタイムオリジナル』第43巻第4号(2024年4月号)
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