『まんがタイムきららフォワード』2023年9月号、発売されました。表紙は『スローループ』。水着で登場、小春とひよりであります。本編では妹離れなどと称して距離を置いてるふたりですけど、表紙では仲良しぶりが健在! ひとつの飲み物を分けあうの!? 脚なんか絡めちゃって、ねえ、仲良し! この仲良しぶりが、本編でも復活してくれること、期待していますよ。ええ、無理せず、背伸びとかもなく、近しく仲良いふたりに戻ってほしいものであります。
今月は新連載が1本、新規ゲストが1本です。
『仮想世界のテミス』
弁護士ものといいますか、法律ものでありますよ。初回はメタバースアイドルをめぐるトラブルに対処することになるのですが、メタバースアイドルの運営をしている会社さん。なんでこの弁護士さんに相談しようと思ったのかちょっと謎なんですけど、だってメタバースアイドルを知らない、ネットについても詳しくない。そんな一本木弁護士が頼りにせざるを得ないのが、闖入者雨宮初。というか、押し掛け、不法侵入、その上脅迫、法律家の卵でありながら問題行動が多すぎない!? 掴みの部分だからちょっと派手に、過激に動かしてるんだってことはわかるけど、一本木先生、ちゃんと警察に相談なさった方がいいですよ!?
今回は初回の事件だからか、問題起こした側も弱めで、普通の方法で身元確認までできて、内容証明送付で音を上げてくれました。その彼がこんな問題を起こした動機や背景もきれいに片づいて、そして雨宮の言葉にしっかり反省してくれた。
この対面の様子見るに、この漫画の主人公は雨宮なんですね。一本木は法律業務に携わるものの、問題解決にいたるまでの調査や問題人物へのお叱りも雨宮が主体となって動いている。おそらくは今後もこんな感じで、率先して動く雨宮と、振り回される一本木、といった構図が見られるのでしょうね。
『ライフインターン』
母からの信頼も厚い天使のアム。高校の卒業試験を迎えるにあたり、主席以外ありえないとの言葉をいただくのですが、アム本人はというとそうした期待の重さに苦しみを感じている。
そんなアムの卒業試験は、迷える人間に天啓を与え導くというもの。しかも誰でもいいというわけでなく、小学生の菊川はな。すごくよくできた利発な女の子を導かねばならないというのです。
これがちょっとした大ピンチ。なにをさせてもそつがなく、転んだアムの手当てもテキパキ完璧、破れた上着もきれいに直してくれていて、はたしてこんな彼女にどう天啓を与えればいいのだろう。困り果てたアムでしたが、このはなという子、あらゆる言動大人びて、父母への配慮もゆき届いていて、けれどそこには我慢し押し殺している気持ちがある。
導くべきところを見出すにいたったんですね。
このお話、とてもよくできていたと思います。優秀なアムと優秀なはな、ふたりを重ねあわせて、それぞれに抱えている問題がともに解けるという流れはとてもよかったです。そして問題解決も、ただ天啓を与えることでばっちり解決といったかたちにするのではなく、アムの心からの共感がはなに影響を与え、そしてはなの勇気が自分の置かれている状況を変えるにいたった。人と天使の出会いと交流が影響を与えあって導かれた結末だったというのですね。
天使の羽ペンというギミックも、とても効果的に用いられていました。人智を超えたアイテムだけど、なにか状況を変化させるために使われるのではなく、感謝の思いを伝える、この羽ペンでなくともできることに使われたことで、その感謝の思いの丈というものがより一層に膨らみを持って読み手にも伝わってきたように思ったのでした。
きれいにお話を広げ、丁寧に畳まれた、そんな印象のある一本でした。好印象です。
- 『まんがタイムきららフォワード』第17巻第9号(2023年9月号)
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