2023年5月26日金曜日

『まんがタイムオリジナル』2023年7月号

 『まんがタイムオリジナル』2023年7月号、発売されました。表紙は『ラディカル・ホスピタル』。時の記念日? 鳩時計ならぬ榊先生時計を手にする山下さんをメインに、卒業記念でしょうか、贈り物っぽい腕時計を手にしている『おしかけツインテール』花梨の笑顔も押し出された表紙であります。『小森さんは断れない!』、体操着姿のしゅりはストップウォッチを手にして、その数字は100メートル走のタイムでしょうか。『らいか・デイズ』らいかは、大きな砂時計に身をもたせかけている、静かに流れる時間を感じさせてくれるイラストです。

『おしかけツインテール』

花梨が俊郎の家を出ていく日。いつもどおりの朝食。昨日と変わらぬ今日、また明日も同じように続いていきそうな雰囲気を感じさせながらも、ふたりの会話にはやはり別れを前提とした言葉が交わされて、ああ、永遠の別れではないけれど、家族のように一緒に過ごしてきた人との別れ。あまり湿っぽくはないのは、この日のくることをともに覚悟していたからでしょう。

そしてこの明るさ、落ち着きが、逆にこの別れに対する気持ちの深さというものを感じさせてくれたように思います。

そして最後に後日談。大学を卒業した花梨が迎えた就職活動。訪問した会社は、俊郎と波留人が起こしたゲーム会社!

でも面接で叱られるのが企業サイドっていうのね。というか、ダンボールとか被るから! これ、社会に出て身なりを整えた俊郎を見せないためなんだろうな、と思いながらも、あまりにも変わらぬこれからのふたりの関係性、その継続を思わせてくれる、なんだかいいラストだったと思います。

『となりのフィギュア原型師』

はぐちゃん、カラーだとこんな色だっけ? 髪。と思ったら、やっぱりイメチェンでしたか! ですよね。金髪でしたよね。それが見事にピンクになってきて、なにごとかと思ったら、あじさいイメージ。って、確かにあじさいはピンクのもあるけど、はぐちゃんの髪みたくアグレッシブなイメージはあんまないですよ!?

はぐのこの行動。この工房にやってきた時のこと思い起こしてだったんですね。当時カラフルマッシュルームヘアだったはぐ。人を寄せつけないつもりでいたのに、ぐいぐいきた代表に押し切られるかたちでこの工房にくることになったというのですが、それ以前に原型師あるあるなのかな? アパートでトラブル抱えてしまっていて、逃げ出すようにしておこめ畑にやってきた。

雨でずぶぬれのはぐの姿は悲愴感たっぷりで、ほんとなにごと!? と思ったら、そうですか、傘が壊れただけ! いや、ほんと、心象が実際どうだったかはわからんけど、でもはぐちゃん、大丈夫そうでよかった。

かくしてちょっと明らかになったはぐの過去。なんかほんと、はぐと代表の関係、今のようになるまで、それなりの時間を要したんだなとわかりながらも、同時にはぐが代表に向ける感情の根っこみたいなものも感じられる、そんなエピソード。よい話でした。

『おひとり好きの富士宮さん』

お花見での一件で、富士宮さんの連絡先をゲットするにいたった内山。やたらめったら浮かれているわけですが、それでまるで連絡できずにいるというの。周囲が噂するように、ヘタレが服着て歩いている、まさにその文言そのままの行動。いやもう、なんでもいいからさらっと一報いれちゃいなよ。なんでもいいのんよ。誘うことがなくってもいいのんよ。

とか思いながら読んでたんですが、なんら行動に移せない内山に過去最大級にやきもきさせられて、いやあほんと、はやくなんでもいいから動いてくれー! と念じるような気持ちでいましたよ。

そんな内山の背を推したのがばあちゃん。そして、ふと内山の背後から現れたオフの日の富士宮さん。そしてここでの会話から、内山がずっと何度もオフの富士宮に出会っていたこと、その時に感じてきた思いを打ち明けることになる流れ。ずっと抱えて、ずっと抑えてきた、その蓋がついに開いたと感じさせたその展開には、やっとか! という思いと、やったな! という気持ちが一緒くたになって、なんだかほっとするように温かみある感情がわいてきたのでした。

しかしふたりのこれから。きっと悪くはなるまい、そう感じさせてくれるものありまして、単行本とかでちょっとでも描かれたら面白いな、と思ったのですが、きっといつものオフの富士宮の行動、そこに一緒にいて楽しむ内山、そんな情景になりそうな気がします。そして、きっとそうなるのがいいのだと思ったのでした。

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