『まんがタウン』2023年6月号、発売されていました。表紙は『新婚のいろはさん』。山のキャンプ場? いろはにはじめ、颯斗も加えて3人でキャンプなのかバーベキューなのか、初夏の日差しのもと、その陽気をいっぱいに楽しんでいる様子でありますよ。長い串にナス肉タマネギ肉ピーマンソーセージと並んでいるその迫力! あ、調理してるのは颯斗くんなんだ。手に持った炭酸飲料もまた爽快さを感じさせる。そんなさわやか表紙。ただいろはさんの格好がちょっと高威力すぎませんか? 危険です。
今月は新規ゲストが1本です。
『ザ・小学生ズ』
すごいのがきましたよ! ストーリー仕立てになってる漫画が多くなってるなか、もう完全に4コマ一本で完結させていこうという意思を感じさせる作風。ちょっとクラシック? そしてちょっと辛辣? だいたい主人公のけんたくんが、ずっと笑顔だというのに人間味感じないというか、その表情の向こうを感じさせない不気味さあふれるデザインなのがこわい!
そしてけんた、やたらと辛辣で、面白いんだけどこれ心が弱ってる時には読めないやつだ! あのサッカーのボール役押しつけられて、ポンと肩たたかれた瞬間にハンド申告する瞬発力などは、かなりの切れ味、うまいなあって思います。
最近の四コマ漫画はいい話寄りのもの、癒し寄りのものが多いように思うのですが、ここにこうして逆方向に完全に振り切ったのが出てくるというのは、この雑誌における多様性に期待が持てるということなので、すごくいいと思いました。やっぱり漫画は同じような傾向が揃うのではなく、いろんな趣味嗜好に働きかける、そういうのがいいと思わされる作風でした。
『推しかけギャルの中村さん』
大変だ、中村さんと秋山がつきあうぞ! 俺たちの秋山が! 中村さんに! とられてしまった!
いや、これフリなんですね。いや、中村さん、秋山の反応がかんばしくないから無理にフリってことにしようとしてませんか?
今回のこの思いつきは、例のSNSのファンの人たち対策なんです。彼氏がいると匂わせて、ファンの人たちをちょっと落ち着かせよう。熱を冷まさせようという策略なんですね。
とはいえ、どうもうまくいかんのがもどかしい、というかおかしくて、秋山に腰に手をまわさせた写真撮ったら心霊写真扱いされてしまうし、秋山の大きな服奪ってその写真をあげても、可愛いなあ、なんでも似合うなあって大好評!
一部、恋人ができたのではないか説も流れたりするんですけど、なんか思うようにいかない中村が案の定暴走しちゃって、魔改造した秋山を連れてカフェデートを演出してみたり、そうしたらファンの人たちに目撃されちゃって、でも秋山、どんなに魔改造されてももともとの人のよさが隠せていないな! しかも中村が楽しそうでさ、その様子見たファンの人たちも、なんかすごく嬉しそう。
ああ、いいファンばかりでよかったですね。
そして極めつけの中村さんの暴走。首筋にキスをさせるんですか!? って、いやもうえらいことなってますけど、ほんと、フリとかそういってごまかすのやめて、もっと素直に直球にいきましょうよ、中村さん。でないと秋山氏は一生気づかないままだし、そのうち後藤氏に奪われて泣きを見るのは中村さんですよ! ええ、ほんと、素直にいきましょう。
『新婚のいろはさん』
いろはとちょっと距離を置いてみたはじめ。なにをするにもいろは。なにがあってもいろは。なにを見ても、聞いても、感じてもいろはいろはと、いろは尽しになってしまっている自分の発想をちょっとクールダウンさせるために、しばらく仕事を兼ねてホテルにこもるというんです。
セルフ缶詰だ!
この情報得た哲子の動揺がいいですよね。哲子母は落ち着いていて、やっぱり年月を重ねているだけにその考えにも余裕がある。きっとはじめ、いろはの気持ちなんかもわかるんですね。もしかしたら自分にもそうした時期があったのでしょう。だから先輩として、いろはにもアドバイスができる。で、あんまり焦ってなかった風のいろはがね、哲子母の言葉を聞いて安心してるのがおかしくて、ああ、やっぱりちょっと不安でしたか!
この不安のあらわし方の違い。それが魅力でした。実は不安のいろは。不安ダダ漏れの哲子。いやほんと、こんな哲子は珍しい。いろはじゃないけど、これはもう本当にレアでしたよ。可愛すぎる。
離れている時間が相手への思いを育てるなんて話もありますよね。これもそんなひとつのバリエーションなのかも知れません。相手の不在がより相手の存在を強く感じさせることとなって、ひとり楽しむいろいろが、そのごとに、ああはじめと一緒なら、ああいろはと一緒なら、そんな思いを育ててしまったんですね。
かくして冷却期間は一日で終わり。あの、ふたり並んで帰るはじめ、いろはを見た哲子の反応、これもまたよかった。ええ、ふたり、ちょっといつもと違う時間を過ごして、そしてふたり一緒での冷却期間継続するんですね。
『兎なりのウサギさん』
えらいことになったぞ。青枝が出会った男の子。ぶつかったはずみにウサギハンカチを落としてしまって、取り違えてしまうハメになってしまったんですが、みたらしがいうには、そのハンカチ、匂いに覚えあり!
さて、今回は先日のウサギ好きの交流会で出会ったお嬢さん、いずみさんが紅詩さん訪ねていらっしゃるんだそうですよ。あの人、可愛いよね。たまらんよね。実は若奥様なんだろうか、みたいに思っていたのが、今回のこの導入見ましてね、あ、あれだ、そうだ、青枝が出会った彼がいずみさんの正体なんだな!
いつもみたいに悪ふざけでこんなこと考えていたんですけど、まさか本当にその推測どおりでびっくりしてしまいましたよ。はあー、こんなことってあるんですねえ。いつか同じウサギ好き同士、お話ししたいと語るいずみのその言葉。それはすなわち、いずみとしてではなく、泉隆信として青枝とお話したい、ということなのでしょうね。
広がっていくウサギ好きの輪。その関係にいつか恋の芽吹く日もくるのかも知れません。ああ、紅詩さん、安泰と思われる青枝くんですが、いつかいずみさんならぬ泉くんとあらぬ関係に!? あああ、それはあり! ありだけど、この漫画の根幹である紅詩、青枝のもどかしい恋を思えばイレギュラーすぎてなしですね! 残念です!
- 『まんがタウン』第24巻第6号(2023年6月号)
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