『まんがタイムきらら』2023年6月号、発売されました。表紙は『星屑テレパス』。シックな色合い、銀河、満天の夜空をまとうかのようなふたりのドレス姿はそれだけでもう美しく、海果にユウ、少し元気がなく見えるユウを、天地逆に重力を感じさせない様子でユウを見上げるようにしながら、手に手を添える海果の表情。その神々しさ! ああ、海果がユウの救いになればいい。ユウの支えになってくれればよいと、そんな思いにさせられる表紙。なににも増して美しいのが素晴しいです。
今月は新規ゲストが3本です。
『さいはてララバイズ』
宇宙を旅するケモみみ少女たち。宇宙ゴミの処理をしていたら、謎のコンテナを発見。なにかいいものが入っているのでは!? 早速回収してみたら、出てきたのは謎の生物。あかん、密閉空間に未知生物が入ってくるのは滅亡フラグだぞ!
とはいえ、そこまで酷いことにはなりませんでした。
犬だったんですね。彼女たちからしたら知らない生物。汚染を検知したら即消毒態勢に入るくらい、きっちり防疫してくれるシステムがあるから安心? そして犬という生物を調べて、短命ながらも飼ってみたいと、ちゃんとお世話もするからと、まるで捨て犬を拾ってきた子供みたいな流れで謎生物の受け入れが決まっていくんですね。
しかし、犬は私たちからしたら馴染みのある生物ですが、その犬を知らない彼女らはどういう人たちなのでしょう。かなりの長寿命らしい。代謝も低いのか、食事は週に一度でいいらしい。そんな彼女らの目的は、自分たちの星系の恒星のエネルギーを使い尽くしてしまったために、新たな恒星系を探している。すなわち新天地を求め旅しているというんですね。
そんな彼女らと、ペットとして懐いてくれたワンコとの別れ。死にゆく運命にある犬の命運を受け入れ、そして看取ってなおその存在を引き受けともにあろうとする気持ちこそは、命というものに向き合う、そうした様そのものなのかも知れませんね。誰もが多かれ少なかれ触れる、そうした局面のひとつのあり方であったように感じられました。
『ぐいもあ~る』
魔法の存在する世界。500人にひとりくらいの割り合いで、魔法の使える女子の生まれてくるこの世界では、魔法を学ぶための学校があり、主人公の野中ほのも魔法高等学校に進学することとなったのですね。
ほのの友達、井田光月も魔法が使える女の子。ほのの幼なじみなのだそうだけれど、魔法少女の生まれる割り合いからしたら、そこまで珍しくはないけど、そこそこくらいは珍しい部類に入るのでしょうか。同じクラスで、ほのと意気投合した夕桐恵里は、山口県からここ長崎にまでわざわざきているらしい。なるほど、国内に5校しかないから、中国地方からだと長崎が最寄りになるんだ。大変!
それぞれに異なる能力を持つこの子たち。恵里は植物を繁茂させる魔法が得意。なんでもない、それこそ遊びやいたずらの延長みたいな感覚で、あっちにこっちに花やら蔓やらをモリモリ茂らせる面白ガールです。
光月は水を操る力があって、なにもないところからでも水をどばどば湧かせることが可能なの!? 時代が時代なら、あなた、空海みたいに伝説になったわよ!? しかしこの子、ちょいクールで可愛いですね。ウルトラお気に入りです。
そして最後に、ほのの能力。長寿の子と呼ばれる世にも珍しい能力。30歳くらいで成長がとまるらしい! そしてそんなほのに迫るのが、山辺なる謎の女の子。ほのの寿命を貸して欲しいと迫るその真意やいかに!
というか、寿命の貸し借りってできるの!? 利子つけて取り立てられたら、山辺さん、大変よ!?
『オンラインのクレオメ』
高校生にして小説家、一宮つくしには推しがいる。1年A組の設楽夕莉。直接言葉を交わしたことはないものの、遠目に見つつ、妄想でもっていろいろと補完。それをSNSに放流していたら、りりなるハンドルネームの子が興味を持って交流してくれるようになりました。
かくして今日は、つくしとりりの初オフの日! きっと陰キャ仲間と思っていたのに、現れたりりは実に可愛い女の子。あまりのことに冷静さを失ってしまうつくしですが、ほどなく正気を取り戻して、普段の推しへの思いもろもろ、りりと話しあうにいたるんですね。
最初ね、りりがそのつくしの推しである夕莉なのかなって思っていたんです。でも会ってわからないってことは違うのかな? そう思いながら読み進んでいったらですよ、りりの推しキャラ、うさぎのノアちゃん、翌日これと同じものを夕莉がカバンにつけていた!?
この漫画、まだ第1話。ということは続くということ。
あまりにイメージが違ったせいか、学校での夕莉、SNSでのりり、あるいは学校ではおすまし、普段は自然体、そんな違いがために、つくしにして同一人物とわからなかったのかも知れませんね。と思わせて、実はやっぱり違う人パターンもあるわけですけど、ほんと、これ、どういう関係性なんだろう。それがいつしか明らかになるだろう今後の展開。そしてそこに生じる気持ち、その揺れ動きたるやいかなるものとなるだろう。
夕莉のそれが気になりますよね。ええ、実はクールだったりり。りりが夕莉なら、つくしの推している相手が自分と知った時の反応、いかなるものか気にならないわけがありません。
- 『まんがタイムきらら』第21巻第6号(2022年6月号)
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