『まんがタイムきらら』2023年6月号、昨日の続きです。
『星屑テレパス』
鳴らなくなってしまった鉱石ラジオとともに、あの座標の場所でずっと待ち続けているユウと海果。待てども繋がらぬ交信に、すっかり気落ちしてしまっているユウがつらい。あんなに元気だった子が、果てしない孤独を感じて、まるで精気を失ってしまっている。その様に、私がいると、きっと私がロケットでユウを星にまで連れていくからと、海果が元気づけようとしてくれたんですけどね、それを受けたユウの行動。あまりに深い絶望に、ユウ、自分を見失ってしまっているように見えてしまったんですね。
それでも海果、諦めないんですよ。泣きながら駆け出していくユウの背中に向かって、たどたどしくも自分の言葉で、絶対にユウのこと見捨てないって、自分はユウの地球で最初の仲間だって。
そしてついに決意を確かなものにする。ああ、鉱石ラジオと座標の謎。それは瞬が見つけたノートの記録に関係するものなのか。海果はその事実を知らず、それでもその秘密に辿り着いたというのでしょうか。
物語も佳境なのでしょうか。海果の見せる本気。そのいつにない凛々しくも決然とした姿に、はっと心ひかれるばかりでした。
『スロウスタート』
おや、プール回は飛ばされたのかな? と思ったら、まだその前日譚といったところ。郵便局に向かう榎並に栄依子がくっついていくという話。よくあるというか、栄依子がやりがちな行動に見える! そしてその道すがらに交わされる言葉のあれこれ。益体もないといっていいのか、それでもそこになにか感情、思いの交差するところなどあるのか。
あった、と思わされる瞬間があったんですよ。郵便局前で榎並を待つ栄依子が話していた男子高校生。なんでもない小シーン。そう思わせて、栄依子に思いを寄せるその彼の目が捉えた栄依子の姿、そのあまりに特別な様子が描かれたり、そして彼の恋心に気づいた榎並が栄依子に話したこと。榎並は特にそれでなにか思ったりしたわけでもないのだろう。とは思うのだけど、彼を気の毒に思ったか、栄依子のいうように、同じ思いを持つ者としての特別な感情などあったのか。
後者はないような気がしますけどね! でも榎並にとって栄依子はやっぱりちょっと特別なんだと思う。しれっといつも達者な感じで榎並にも絡んでくる栄依子だけど、お前の水着姿楽しみにしてる、その一言で真顔にさせて赤面させてというね、ほんと、この寄りそうで寄らない距離感の絶妙さよ!
これ、卒業とともに思春期の思い出と化してしまうやつなのかな。ほんと、どうなんかな。なんかすごく特別な時間。これが時経て思い出になっていってしまうのだとしたら、切なさやるかたなしであります。
『かみねぐしまい』
神の子が、私は神だとカムアウト。
助けてくれたお礼にお願い叶えてくれるというのですが、それは神としての修行なのですか。母からいいつかって、この人という人をひとり見つけて臨みを叶えてくるよう送り出されてきたのです。
神の子の前にはふたりの少女、ツギノとまえな。それぞれにいいところのある子たち。けれどたとえの話で地球を滅ぼしかけたツギノ。切なさ、母への思いを胸に、大変な状況を生み出しそうになってしまったまえな。出てきそうでなかなか出てこない願いごとを前にして、人間の願いの難しさを知る神の子の表情がおもしろ可愛かったです。
しかし、このお願いを叶えてくれるというの、相手はたったひとりですよ! っていうことにふたりが気づいた。ただでさえ仲の悪い姉妹です。こうなったらもう収まるわけがない。あいつに願いごとを決めさせたらロクなことにならん!
ここから、願いごと争奪戦!? あるいは妨害戦が始まろうというのですね。
第1話にてざっと登場人物の紹介をして、続く2話目で世界観とその方向性をしっかり決めてくるところ。さすがだあ! と感心しています。いやほんと、これは面白くなりそう。ガチ妨害が容赦なく繰り広げられそうな、それぞれの持ち味を発揮した暴力ではないバトル系みたいになっちゃうんかも知れませんね。
- 『まんがタイムきらら』第21巻第6号(2022年6月号)
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