『まんがタイムきららキャラット』2022年12月号、一昨日の続きです。
『ごきげんよう、一局いかが?』
またひとり増えた麻雀友達、西園寺乃々花さん。この人、みた目ちんまり、ちょっとおどおど? で、すごく凝り性! あのアバターにかけた情熱、それがもうこの子のキャラクターを一発でズドンを知らしめてくれてますよね。
さて今回、初心者でも大丈夫なようにと持ち時間長めにしてみたら、なんと昼休み中に対局が終わりませんでした。ということで、放課後に持ち越し! とにかく皆で麻雀やりたい冴と、冴と一緒にいられるならどんな無茶でも通しそうな千星。いやもう、ふたりとも極端だな。かくして自然と乃々花がつっこみ役になってしまうわけか。これから大変ですよ? 乃々花さん。
ハンバーガーショップでのいろいろ。千星の初来店発覚から冴から可愛いといわれて大赤面。素晴しい。そして肝心の麻雀も、乃々花がもたもたしてるのはしかたないとして、冴も千星もあんま変わらないってのがおかしいですよね。千星なんて、ポンのダイアログにうかつに鳴いちゃうし、で、それを反面教師にすればいいといわれて喜んじゃうとかね、この千星のこれまでになかった経験を冴たちと一緒に知っていくというところがね、見ていてとても可愛く面白い。ええ、千星にとって皆での麻雀は、知らない世界を知っていく冒険なのかも知れませんね。
そして今回の一番面白かったとこ! 役がわからないからとにかくリーチしてみたら、待ち牌0だった乃々花さん! いやほんと、これ、最高だった。意気揚々とリーチした直後のあの顔! で、もう一段落ち込みが待ってるのがね、一段階でも相当面白いのに、さらに重なる面白さ。最高でした。
麻雀に入れ込んでるとはいえ、長居はよろしくないと切り上げる、そうした千星のエレガント仕草で乃々花の初対局はさらりと終了。このさわやかさ? 素敵な感触でした。
『ばっどがーる』
林間学校二日目。魚獲りをやります。というんですが、素手でいくのん? そういうもんなん?
生け簀みたいな感じで池に放されてるのを捕まえるんでしょうが、釣るでもなく手掴み、あるいは勢いよく池の外に放り出してやればいいというの。こういう体験もあるんですね。というか、優が持ち出してきた投網。なんでそんなもん持ってきとんのん! からの、あれも結構難しいんだけど、うまいこと広がってるな、と思ったら禁止なのか。
魚とたわむれてびしょ濡れになった優。着替えようとしたら亜鳥からの手紙に気がついて、そのお誘いに喜び勇んで馳せ参じるんですよ。さすが優だ。それでこそ優だ、と思うんですが、ふたりだけの花火大会。皆には内緒で、こっそりふたりの時間を過ごしていい思い出だあ! とか思っていたらね、来年にはもう亜鳥はいないんだって話が突然放り込まれてきて、ああそうだよ、そのとおりだ。この当たり前で、でもそれが唐突に出てきた感じがね、優の受けたショックを自分も受けたように感じられて、だからこそ亜鳥の望む思い出づくり。それに全力で反応する優が身近に感じられた。
なんか楽しい大騒ぎみたいな感じの林間学校でしたが、この突然の切ない展開に、ちょっと気持ちもしんみりとして、それだけにふたりにはさらに特別で大切な思い出、たくさん経験してほしいって思いましたよ。
『メールブルーの旅人』
レストランがたくさんある世界を訪れたクマノミ。そこで出会ったスミレ。厄介評論家をばっちりおいしい料理で唸らせて追い返すその頼もしさ。この世界の住人なのかな? と思ったら、外から来たAIなのだそう。
そのスミレが語る世界のルール。情報世界に長期滞在すると、その世界の記憶が過去の記憶を塗り替えていってしまう。時間制限で強制帰還させられる理由、ここにきて判明! けれど、過去の記憶が失われるリスクを知りながらこの世界に長期留まっているスミレ。なぜなのか。探している人もいるというのに、それでなおこの世界にて足を停めたその理由。語られれば、スミレの心情とともに胸に届いて、この物語のどこか悲しげであるところ、その一端がこの子にも同じく担われているのだなという思いがしたのでした。
失われた世界の情報を辿っていく旅。大切な誰かを求める気持ち。はかない思いやかすかな希望、そうしたものがクマノミに託されて共に旅していくんだな。今回のエピソードは、大切な誰かに向けて送り出された、ボトルメールのようなロマンチックがあった。その届かないかも知れないと思いながらも託される希望、そうしたものにしばし打たれる思いでいました。
- 『まんがタイムきららキャラット』第18巻第12号(2022年12月号)
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