『まんがタウン』2019年8月号、発売されました。表紙は『恋するヤンキーガール』。花束を胸に抱え、目に涙を浮かべたアヤメです。しかし、表情は笑顔。花束と一緒に手にしているのは卒業証書を納めた筒。ああ、もう卒業の季節でありますね。物語はもう佳境。次回最終回を前にして、ナギと一緒に思い出の場所をめぐる。はたしてふたりの明日はどっちだ。同じ高校に進めるのか、あるいは……。そうした局面、じりじりたしたもの隠しているものの、この笑顔見せられれば、ああ、きっとよい明日がくるだろう。そんな気にさせられますよね。いい笑顔です。
『新婚のいろはさん』。自然にできていく家庭での役割。始は洗いもの担当大臣に就任してるんですね。今回のテーマは家庭でのルールでしょうか。すでにできあがったルール。そして、ふたり話しあって変えていく、そうした柔軟さも。そのやり取りが実によかったと思います。新しい食器を買いにいく。そこで、どれが好きとかね、私も気にいってるとかね、それだけなんだけど、自然と帯びる熱が面白い。ふたり、ほんと気があうよね。ふたりで決めていくルールというの、いろはにとってはちょっと新鮮なのかな? 実家では父が絶対だったんだ。そんないろはの、自分が始にとってのルール押し付ける絶対君主になってないかって気にするところ。むしろ助けられているという始。そのやりとりなんかも実に素敵で、ほんとあてられますよね。
『平日休みの堀出さん』。小坂俊史の新連載です。主人公は看護師をしている堀出つくし。家電量販店に勤める夫の堀出満吉とは休みが全然あわなくて、なので休みが重なった時は全力で遊びたおすというルールを作ってる。そして今日がそのふたり休みの日。準夜勤明けた直後、深夜1時からスタートするのか! でも、どこにいくのか、なにをするのか、それを秘密にされるのはたまらない。だんだん頭にきて、言葉が荒らくなっていくつくし、いいですね。というか、夜勤明け富士登山とかやったことあるのか。よくついていったな、この人。今回は釣り。ちょっとゆっくりできる日にしようという夫のはからいなんだけど、つくし、それ、不満なんだ! なにをするにしてもアグレッシブにぐいぐいいく、むしろ無軌道に突き進む、そんなところが好きなのか。なるほどなあ、富士登山、それもまあ満更ではなかったのかい!? ふたり、語りあいながらの夜釣り突入。つくしの手管も苛烈で、それを受けて満吉もやる気出していくところ、ふたり、似たもの夫婦だな。いやもう、ナイスマッチングの妙があります。
『3人よればっ!』。いいのではないでしょうか。寮で同室の3人。それぞれ全然ペースが違っていて、朝昼晩、三食ともに個別に食べている。もっと仲良くなれないか、そう思いながらも、どうにも距離を詰められないミオ。ほかのふたり、サナとチカ、ふたりはお一人様主義なのだろうか、ひとり思い悩んでいたらサチから話しかけてきてくれて、この微妙な距離感。いいですね。ぐいぐいいけない、けれど近づきたい。その踏み込むに踏み込めない機微。ちょっとわかるよね。で、向こうからきてくれて嬉しい。そこで自分自身を省みて、今度は自分から一歩踏み込んでいくところ、ああ、変わっていきますね。ちょっとした成長ですね。ミオは気を使いすぎなのかもしれない。回さなくてもいい気を回して、自分から一歩引いて、そうしたところがこれまで距離を埋められなかった理由なのか、あるいは人づきあいでの失敗が、踏み込むことを怖れさせるようにさせたのか。どちらも、みたいに思えるんですね。でも、サナもチカも、そんなこと気にしないでいてくれる。ミオ、新しい人づきあいの距離、だんだんに知っていけそうで、そうしたところよかったです。あと、それで、ミオのギャップ。うん、最高だと思う。超キュート。
- 『まんがタウン』第20巻第8号(2019年8月号)
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