『サーバルパーク』の時も話題になってましたけど、この写真集『世界のかわいいけもの!』もちょっと話題になってたみたいですね。アニメ『けものフレンズ』の人気を受けて企画されたと思しき動物写真集。便乗か! といわれれば、まあ便乗でしょうなあとしかいいようがないのですが、これね、はやってるから乗っかってやろうぜっていう商魂よりも、ずっと動物写真集出したかったんだけど、採算とれるか心配で踏み切れなかった。けれど今ならいける! 必ずいける! 作りたかったものを作ろうぜというノリがどこかしらから感じられて、ええ、こういう便乗ならありだよなあなんて思わされるのです。
しかしこの本はすごいよ! さすがにやりすぎじゃない!? そう思わせる構成になっていて、なんてったって書誌情報にある掲載動物一覧にツチノコまでいるという。ええー、どこで撮ってきた!? というのですが、なるほどこういう仕掛けかと思わせる作りになっていて、ええ、これは面白かったです。
この写真集、写真をうまくピックアップして、アニメ『けものフレンズ』視聴者が見たがるようなものを選んで配置してくれてますよね。例えばオグロプレーリードッグとかが顕著。たっけてー! っぽい格好の写真があり、そしてプレーリー式あいさつの写真があり、みたいになってる。コツメカワウソは石を持って遊んでる写真がちゃんと選ばれてるし、雪原での狩りでダイブするキタキツネも、温泉につかるカピバラも、そして疾駆するシロサイの躍動感! こんなシロサイの写真、はじめて見たよ! めちゃくちゃかっこいい!
個人的に気にいってるのはヤギですね。木の高いところにくる習性。アミメキリンがサーバルをヤギと誤認したネタですが、ちゃんとヤギが木の高いところに登っていて、ほらこいつら登るんですよーって、いや、やつら登りますけどさ、ほんとなんであんな登り方するんだろうなあ、で、その隣りのページがアミメキリン。いかすわ。アニメでやってた動物ネタ、それって実際ってこういう感じなんですよと教えてくれてる。あるいはピックアップされた動物の習性を紹介したくってたまらないみたいな、そんなウキウキ感があった。ほんと、これ、作ってる人、アニメも動物もどっちも好きだな。他のアニメへの言及もあったりするもんな。ええ、解説、結構いい感じなんですよ。
各動物の解説も、実際に対面した動物についての感想とかもあって、ああ、調べて書いてるだけじゃないんだ。その動物の雰囲気を実感もって伝えてくれるのは正直嬉しく思いました。巻末近くのコラムにおいて、サブカル→自然への振り返り、アニメを入り口にして実際の動物、自然を知って欲しいという監修者の望みが語られていたことも印象的でした。実際この本はその一助となるんじゃないか、そういう感想を持ったのですね。収録された動物写真、それが野生における本来の姿であるのか、もしかしたらキャッチーな姿を抜き出しすぎてしまっているんじゃないか、そうしたことを思いはしたのだけど、動物が魅力的に表現されているのは事実。自身、いろいろな動物のありかた、自然における姿を追って、収録された写真に感じたことが当たっているかどうかの確認含めて、彼らへの理解を深めていくのがよさそうでありますよ。
- パイインターナショナル編集,大渕希郷監修・執筆『世界のかわいいけもの!』東京:パイインターナショナル,2017年。
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