2017年9月23日土曜日

『まんがタイムきららフォワード』2017年11月号

 『まんがタイムきららフォワード』2017年11月号、発売されました。表紙は『ゆるキャン△』、リンとなでしこ、ふたりで秋の味覚ですね。グルリにて焼かれるサンマにホタテ。皿にはカボチャやナス、キノコにエビが待機していて、いやこれ、ほんと、豪勢でありますよ。リンの調理してる様子を見守るなでしこが、お芋いっぱい胸に抱えてるのがいいですね。おいしいものたくさん。贅沢な時間です。

ゆるキャン△』、相も変わらず面白いなあ。正月明けて、冬休みも明けて、皆でそれぞれの活動語りあう。これが楽しかった、あれが面白かった。そうした土産話に成果発表なんてのもあって、タープ買いました! あきがすごい勢いで報告入れてくるんですが、もうほんと、なんだ、この子、やたらめったらポンコツだな。冒頭からお土産ガツガツ。でもってタープ、タープポールを家に忘れてきて、終。なんだこのミニ番組風の演出! バイトしてお金貯めて、それでなにを買おうか、なにが欲しいという話をしているのもまた楽しい。ああ、なでしこのランプ。そうか、お店でもちゃんと気づいてもらえてるんだ。いやね、なでしこがさ、ランプをついに買うんだ、こないだも眺めてきたんだっていったの見てね、やべえ、フラグだ。いざ買おうと思って店にいったら売れちゃってるパターンだ! って思ってたから、ほっと安心しました。今回は和気あいあいとした語り合い、それがメインと思わせて、なでしこのひとりの帰り道、ここでひとりいろいろ思うところから、ソロキャンプへ思いを至らせるまでの描写。あれ、はっとさせられましたね。ああ、なんでもない日常の語りかと思わせてそうじゃない。いろいろと動いているところがあるんだ。ほんと、不思議なテイスト。そう思って油断してたら、胸元にふっと届いているものがある。ほんと、不思議な漫画です。

『はるかなレシーブ』。エクレアにリードされるはるかな。この状況をいかに打破しようというのか。楽しみに待っていましたよ。そしてはるかな、まさしくここで試合を動かしにかかるのですね。そうか、クレアとエミリ、対策するならどちらか。これ、まさしくふたりの性格、傾向を知っているからこその作戦だ。事前に提案していたかなた。その提案を受け、どうすべきかを理解しているはるか。ああ、ふたり、チームとしてしっかりできてきています。クレアを崩して、エクレアに食らいついていくはるかな。猛攻とはいかず、ひとつひとつ丁寧にとって、ポイント差を埋めていくような戦い方は、それだけエクレアの強さを意識させて、だからこそだったのか、かなたの作戦、これも知ってる相手だからこそなんでしょうね。ビーチバレーで大切なのは不意をつくこと。かなた、この瞬間のために、ジャンプサーブをこれまで相手に見せてこなかった、まさかないものと思わせてきてたんだ。いや、ほんと、このかなた、とても美しかったと思う。で、ここから逆転かと思わせたら、まさかのエミリ! ほんと、これ、前衛でがんがん打ち込むプレイヤーだけでなく、むしろサポート寄りのプレイヤーに光を当てて、ほんと、意外性だ。この見せるべきものを違えて違えて、その変化で見せてくるの、実にいいじゃありませんか。ほんと、エミリがかっこいいですよ。

『なでしこドレミソラ』、美弥と恵真のステージですよ。浴衣姿で三味線の音をあわせる美弥、不思議と冷静に会場見回して、集まっている人がどういう行動をとっているか、また応援してくれる友達や家族もいるって、ほんと、すごく落ち着いてる。視野も広い。そして、この中の一人でも振り向いてくれたらという、その気持ちの真っ直ぐさ。いや、もう、この子すごいと思いますよ。見た目に凛々しく、美しく、チューニング時のちょっとリラックスした表情から、本番では一気に緊張走る、その変化。素晴しいわ。ただただ演奏する、その演奏を耳にする、演者、観客の様子を絵にして、描いて、こんなにも雄弁だ。そしてそこに演者の思いがモノローグとなって乗ってきて、恵真から、そして美弥に繋がっていく。ほんと、この鮮烈さ。素晴しい。演奏の続く中、過去、これまでのことが今にこうして繋がっているのだと語られて、音楽の、その場で鳴っている音の向こうには、多くの時間が、稽古が、経験が、こうして畳み込まれて、ひとつになっているんだって、まさに物事の本質に肉薄しようとするかのような熱に圧倒される思いでしたよ。この演奏がどのように響いたのか、客の感想は様々だけれど、美弥のはたまた不思議と冷静に受け取るフィードバックに、ああ、この子にとって今日のこのステージは大切な経験、大きなステップアップであったのだなと思わされて、ほんと、それからの描写、皆とのやりとりも素晴しく見事、見事であると、溜息つくのでした。素晴しかった。美しかった。豊かでした。飛び込んでくる陽夜から三味線かばう美弥ちゃん、可愛かった。美弥が、皆が素敵でした。

『超常リビドー』、またなんかすごいのが! 待望のあどべんちゃらが読み切りで復活。で、これ、とんでもない。可愛いもの好きの妹、奏が姉の下着を漁っていたところ、なんとその姿が姉のものに変わってしまっていた。なるほど、またなんともいえず微妙に変態的な前提を用意して、しかもこれ姉に母に常識的な感性が備わってるものだから、姉の下着を漁る妹とかね、姉は気持ち悪いって怒るし、母は母で当惑するし、というか、妹、その姉の下着を漁ってること、家族にバレバレなんだ。すごいな。さてここで、この世界では中学生の女の子に超常能力が発生することがあるなんてことが語られて、そしてその能力の根幹にその者の持つリビドーが関係している云々。えらいフレーバーが投入されたわけですよ。妹のリビドー、姉の下着、顔を埋める……。このギリギリというか、変態っぽい行動をこれでもかとステップアップさせながら畳み込んでくるこの威力よ。そしてしまいには姉が、姉もか! いやいや、途中まで妹を心配する姉かと思ってたじゃん。それで、妹、姉や母、家族にそのもろもろアレななんたらかんたらを受け入れられて落ち着いて、みたいな話になるのかと思ったら、全然違った! えらいこっちゃですよ。ほんと、すごい展開見せました。ほんと、相手の性癖を受け入れられない姉妹のガチ喧嘩、いいもの見せてもらいましたね。

『アイ・ラリー・ユー』。これ、よかったですよ。女の子ふたりが温泉卓球で白熱。なんでこのふたり、こんなにもはげしく対戦するのか、その経緯、由来を戦いの流れとめず、スムーズに差し込んで読者に理解させていく。構成がうまいのか、その見せ方がうまいのか、ふたりの心情、性格もこれでしっかり伝わって、だからこそですよね、氷室の涙と、高岡も一緒に泣き崩れるあの瞬間、すんなりと胸に届いて、ほんと、すごくいい。ふたりとも、負けず嫌いで、ちょっと素直じゃないのね。でも友達なのね。そうした関係がいきいきと描かれて瑞々しい。ほんと、これが12ページ。すごくコンパクト。語るべきことをその少ない誌面にきっちり収めて、シンプル。そしてチャーミング。実にうまかったと思います。

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