『まんがタイムきららフォワード』2017年11月号、先日の続きです。
『江波くんは生きるのがつらい』。いい展開だ。江波くんがヒロインですよ。自分の小説のためのヒロインを探し求めている江波だけど、今回は逆に取材対象になってしまうっていうんですが、その取材ってのがまあすごい。パンツは何色にはじまり、お尻に毛は生えてますかに終わる、とんでもない聞き取り。その聞き取りした相手、文芸部で小説を書いてるって女の子で、江波からしたらヒロイン候補だったというのに、あっという間にイニシアチブとられて、しかも書き上がった小説っていうのが耽美系。というか有り体にいってBL。その文章のはしばしに、唐突に江波からの聞き取りが反映されてるのがおかしくっておかしくって、江波くん、いつもは勝手にダメージ受けて退いていく感じなのに、今回は明確に振り回されてるぞ。いい感じだ! しかも今回は江波逃げきれてないんですね。これ次回も振り回されるんでしょうか。うん、いい感じだ!
『夢喰いメリー』は白儀と夢路の因縁、そしてメリーが迷子になった経緯が明確になりました。夢路とメリー、そして白儀の手に残った傷、この認識がまず間違いで、傷はメリーと夢路の腕に残っていて、そしてその夢路の腕は、幻界でのトラブルがもとで、白儀の腕と入れ替わってしまっている。ややこしい! これ、描かれ方を再読してみたら、なるほど! ってなるのかも知れませんね。ともあれ、夢路と白儀の手の呼応、痛みを共有していると見えた描写も、傷がではなく腕そのものが問題であったというわけなんですね。しかし、夢路と混ざり完全性を失った幻界そのものが白儀というのなら、幻界をもとに戻すというのは可能なのか? その道筋はいかなるものになるのか。そのための布石はもう打たれていたりするんだろうなあ。
『巴マミの平凡な日常』。日常に現れる選択肢。選択ひとつひとつが運命に影響するのです。なんて大仰な話からスタートするんですが、これがおかしくて、会社に遅刻しそうなのに今日は燃えるゴミの日。ゴミ出しするか諦めるか、そんな些細な選択を強いられるんですね。その選択の結果が、上下に分割された画面でもってそれぞれ描かれるのがいいですね。こういうの好きですよ。ゴミ捨て選択は下ルートが正解か。でもって次のルートはと……、イケメンとのコミュニケーションをゲットするチャンス! で、ここからが微妙になってくる。あれれ、上でも下でもたいした違いがないな……。しかも最後の選択に至っては本当に選択肢の意味ないし! なんかエロゲの共通ルートみたいやな……。これね、元ネタといっていいのか、スピンオフ元の『まどか☆マギカ』が、まさにこの運命を変えるための選択肢総当たりをやってみたみたいな話だったでしょう。残酷な運命に抗おうと何度となく時間を遡行し、まどかの運命に介入し続ける暁美ほむらの物語。しかしその試みも虚しく、どうしてもまどかを助けることができなかった。そうか、マミさんも同じだ! って、ほんまか、一緒にしていいんか! いやほんと、このスピンオフコメディの構造が、時間こそ遡りはしないけれど、本編にちょっと重なるものであったのも面白かったと思います。
『こじらせ BOY meets GIRL! 』。タコのすべり台に願い事を書くと叶う。そんな都市伝説にわくわくしたりドキドキしたりしてる子供時分の亨と柚貴ですね。そうかあ、男の子だと思われてた頃の柚貴だ。実際、さわやか美少年にしか見えなくて、むしろ亨の方が女の子みたいだよ。しかしこの都市伝説、このふたりに関してはまったくもって悪い方向にしか働いてない。亨と一緒に花火大会にいきたいという柚貴の願いは雨に阻まれてしまってるし、柚宇といい関係になりたいと亨については、もうこれまで描かれてきたとおり! これ、亨と柚貴、ふたりの子供次代の思い出を振り返り、その時の心残り、できなかったことを今改めてやりましょう、いわばあの時に一旦分かたれてしまったふたりの関係の道筋をここにもう一度つなごうという試みと思えたのですね。これ、とりわけ亨に関しては、転換点かも知れませんね。
- 『まんがタイムきららフォワード』第11巻第11号(2017年11月号)
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