『まんがタイムきららフォワード』2017年10月号、発売されました。表紙は『ちょっといっぱい!』。もみじ、凪、そしてちゆりの三人の働く姿がまぶしいイラスト。これは、お店ののれんをくぐったところに、いらっしゃいませと声をかけてくれた、そんなところ。ほっと気持ちも暖かくなるような雰囲気が嬉しいですね。そしてこれは本編に描かれる問題、それを乗り越えたということを示すものでもあって、ええ、つまりは本編の後の情景なのでしょう。もう、表紙から一気に気持ちを本編エピソードにいざなわれる思いであります。
『はるかなレシーブ』。ついにはるかなとエクレアの激突、でありますね。皆が友達、いわば同じチームの仲間が、全国への出場を目指し火花を散らす。その戦いの様子、ヒリヒリとさせて、すごい熱戦。クレアの発する圧力がすごいですね。大きく背にたわめられる両の腕。そして見下ろしの視点に切り替わってサーブ。強力だけどアウトも多い。そうした情報挟まれながらも、威力をもってはるかを圧倒する流れ。見事であったと思います。それからも、善戦するはるかなに対し、それを常に上回って見せるクレアのダイナミックさ。いよいよ追い詰められるのか? そう思わせてからのかなたの決意に満ちた言葉。そしてまたもそれを上回ってくるエミリ、クレアの連携! はるかなにとって幸いだったのはそのボールがラインを超えたからで、内容としては依然エクレアにアドバンテージあり。さあこの状況においてサーブ権を得たはるかなはどう出るのか。もう見事だったと思います。途中途中に、大きく1ページ使って描かれる決めゴマのダイナミズム。ここ! と力が入って、だからこそ決まる? ああ、受けられた! ハラハラと気持ちも揺さぶられて、本当、今後の試合の推移、このまま順当にエクレアが勝利するのか、あるいははるかながエクレアを上回ってみせるのか、想像するだにたまらんものがありますね。
『ゆるキャン△』。浜松に到着したリンですよ。なでしこに誘われるままにうなぎ屋に入るんだけど、所持金1290円。はたしてお金は足りるのか! そうか、ここは産地だから安いんだ、そうに違いない。いつも貧乏ななでしこが誘うんだからそうに違いない。リンの脳裏を駆け巡る思考の渦! しかもその予想が思いっきりはずれる! 最高だな、これ。追い詰められたあの表情! もう最高ですよ。おいしそうにうなぎ食べるなでしこ。リンもまた負けてないな! そしてなでしこの祖母の家に場所を移すと、そこにはなでしこの幼なじみ、土岐綾乃なる子がいて、この子もまたいい感じじゃないですか。綾乃から聞く昔のなでしこの話。おお、昔太ってたの! まるまるだ! 満月みたいだ! なんかしあわせが満ちてるって感じがする。福々しいぞ! そのなでしこが痩せるに至った理由、なるほど自転車か、スパルタか。こういうのもおかしかった。ええ、なでしこからはしあわせを感じますね。太ってようがやせてようが、しあわせが溢れますね。今回のクライマックスですね、夜の展望台。ああ、やっぱりこういう情景を描かせるとこの漫画、最高だ。少女3人語りあって、その様子が素晴しい。本当、同じ時間を過ごしたこと、対話したこと、それらを通じてわかりあうということ。当たり前のようでそうでないことごとが、見事に描かれていたと思います。
『ちょっといっぱい!』、ちゆりの件、解決ですよ。自分の失敗から店をやめると言い出したちゆり。この子をなんとか引き止めようとしてきた皆の努力、それが通じる瞬間がよかったです。しかしなにがいいといっても、ずっと店を休んでいたちゆり、この子をまずは店に呼ぼう。そしてそれからは、皆、店のために頑張って働く。ええ、そこに他意はなかったってところです。店になかなか入れずにいたちゆりが一歩踏み出せたのは、雪の降るなか、降りかかる雪も気にとめずお客さんの足元を箒ではくもみじの姿に打たれたから。また店内では凪の、真澄の働く様子に自身振り返って、ええ、今回のこと、ちゆりにはいいきっかけになったのだなあ。取り繕うでなく、誰かの評価に委ねるでなく、自分の気持ちを直視するきっかけとなった。そうなれば、意固地になっていたこの子の壁なんて一度に打ち壊されて、ああ、よかった。この子の選択、皆にとっていいものとなった。その過程含め、とてもいいエピソードになったと思います。
『なでしこドレミソラ』、期待の新登場人物ですね。縁日のステージでお囃子をしている女の子ふたり。ひとりは太鼓、ひとりは篠笛。姉、打浪吟葉が篠笛、妹、吟芽が打ち物。中3と小5のデュオであります。この子ら、すごくフレンドリー。陽夜といきなり打ち解けて、友達になりたい! なりましょう! 素晴しい、このスピード感! ああ、この子らもメンバーに加わりそう。そう思わせてくれる登場でしたよ。この縁日ステージ、お客さんの投票による順位づけとかやってるんですね。お囃子コンビ、優勝は譲らないと意気軒昂。けれど陽夜、香乃ふたりの演奏を聞いて様子が変わる! おお、引き込まれちゃったよ。J-Popアレンジとかずるい。そういいながらも、よいものはよいというのだなあ。そして演奏する香乃の表情からも変化が感じとれて、ええ、この子たち、皆、変わっていく、変わりつつあるのですね。かくして見事なふたりの世界、ばっちり描き出して、美しく、続いては美弥と恵真の出番。ああ、ふたりは技量では到底陽夜たちに追い付かない。でもふたりの見せてくれるもの、きっとなにかこれというものがあるはずと予感させてくれるものがある。期待がふくらみますね。
- 『まんがタイムきららフォワード』第11巻第10号(2017年10月号)
0 件のコメント:
コメントを投稿