いやあ、これ、KADOKAWA漫画部門の総力戦みたいな様相だったりするんでしょうか。人気のアニメ『けものフレンズ』。アニメ放送が終わってからも続々アンソロジーがリリースされていて、あれ? 今度はじゃぱりまん編? というか、こないだ出てたのなんだっけ、ああそうだ、ジャパリカフェ編だった。というところで気づいたんですが、これ、全部編集が違うんだ! 少年エース編集部、ファミ通コミッククリア編集部、コミックアライブ編集部、そして電撃マオウ編集部。これ、今では全部まとめてKADOKAWAですが、振り返ってみれば角川書店、エンターブレイン、メディアファクトリー、アスキー・メディアワークスとそれぞれブランド、社を違えた出自を持っているわけで、ということはアンソロジー各編ごとにカラー、傾向が違ったりするのかな。だとしたら面白いなあ。なんてちょっと思ってしまったりしたのでした。
アンソロジーっていうのはおまつりなのだと思っています。こんなんだったら面白いな、こんなシーン見てみたかったな、あるいは本編だったらありえない強烈な、尖った、エッジの効いたギャグを展開してみせたりして、作家それぞれの持ち味を楽しませてくれる。もちろんそこには好き嫌い、好みというのがあるわけなんですが、けものフレンズのアンソロジーに関しては落ち着いて、しみじみとよさ感じさせるものが多く、それは本編の雰囲気があってのことかも知れませんね。ギャグやコメディでもどこかやさしげで、ほろりとさせられるものもちらほらあって、ああ、ここにはみんなの好きがつまっているのかもなあ。なんて思わされるのでした。
あとがきが面白いんですね。ジャパリパーク編の時は、話題になってるので見たらはまったみたいなコメントがあったりして、ということは少なくとも企画が動き出したのは第3話「こうざん」以降であることは確実か……。ジャパリカフェ編ではちょうど本編クライマックスの頃だったようで、終盤の動揺からいい最終回をありがとう、そうしたニュアンス感じさせるコメントもたくさんで、ああ、みんなどういうところが好きだったのかみたいなことうかがえるように思う。またアプリ版から追っている人とかもあって、すごーい! ほんと、このバラエティ感、とてもいいと思います。
放送は終わってしまったけれど、まだまだおまつりは続く。そうした雰囲気感じさせてくれるアンソロジーです。それが毎月こうして出るというのは、皆の興味をつなぐという意味でも効果的だろうし、またおまつりが終わって欲しくない、そうした気持ちも感じられて、ここに送り手、受け手双方の望みが合致しているようにも思えるのでした。
- 少年エース編集部編『けものフレンズ コミックアラカルト ジャパリパーク編』けものフレンズプロジェクト原作 (角川コミックス・エース) 東京:KADOKAWA,2017年。
- コミッククリア編集部編『けものフレンズ アンソロジーコミック ジャパリカフェ編』けものフレンズプロジェクト原作 (ファミ通クリアコミックス) 東京:KADOKAWA,2017年。
- アライブ編集部編『けものフレンズ こみっくあんそろじー じゃぱりまん編』けものフレンズプロジェクト原作 東京:KADOKAWA,2017年。
- 電撃マオウ編集部編『けものフレンズ 電撃コミックアンソロジー ジャパリバス編』けものフレンズプロジェクト原作 (電撃コミックスNEXT) 東京:KADOKAWA,2017年。
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