『となりで。』、大変残念なことなのですが、『まんがタイムきらら』8月号で完結との告知がなされていて、だから多分、この1巻が最終巻です。金髪も美しいえりなちゃん。お隣さんはおえかき教室をやっていて、同い年の女の子、ひよりと仲良くなりました。ひよりも絵を描きます。えりなも、内緒にしていたけど、漫画が好きで、いろいろ描いたりしてました。ジャンルこそは違うけれど、絵を描くのが好きというふたりが仲良くなって、家はおとなり。学校も同じクラス。毎日の暮らしやいろんなイベントを、一緒に経験していく。そんな漫画であります。
ひよりとえりな、ふたりがすごく仲良くなって、その距離も近くって、そういう様子も微笑ましくって面白いのですけど、ふたりの周囲の人たちがより以上に面白くって、ひよりの姉妹、姉のひびきは自信たっぷり、かっこいい系のお姉さんで、抽象画を専門とする画家だったりね、そして末の妹ひなたは、見た目ちんまりして可愛いんだけど、怒ると姉ふたりをだまらせてしまう家庭内の実力者。学校では、元気なまつりにしっかりもののゆづが楽しいし、家に帰ればえりなのお父さん、お母さんがちょっとしたことでもイベントにしてしまう。こうした個性的な登場人物とともに、ひより、えりなが、毎日の日々のもろもろを、なんでもないものにしない、わーっと楽しいものにしてしまう。自然と楽しみ、面白さを見つけていってしまう。そんな様子がとても魅力的だったんですね。
プールの回に登場したお姉さん、ひびきの友達、さつきがなんだかすごく気にいってたんですよ。ほんと、クールを絵に描いたようなお姉様で、なんだけど年下の女の子が大好きで、ひより、ひなたからお姉ちゃんっていわれて我を失ったりね、プールで水をかけあって遊んでた時に、自然とひよりチームに入っていい笑顔見せてたりね。ほんと、あれは楽しかった。
楽しいエピソード、多かったのですよ。えりなの父がひびきの絵のファンだったりね。よろこぶといつも以上に輝きを増す父とか、そういうちょっとテンションハイめなところが、読んでいておかしかった。これはもちろんえりなの父だけじゃなく、ひより、えりなをはじめとする女の子たちも、ものすごくいい表情、笑顔を見せてくれる。ああ、今、楽しんでる! 目の前のこと、とりくんでいることに一生懸命で、時に大変だったりすることもあるけれど、その気持ちのもりあがって、ふくらんでいるところが自然と表情、態度に溢れてくれば、読んでる私にも彼女らの感情が確かに伝わってくると思われました。ふっと笑みがこぼれて、ああ、いいなあ、面白そう、楽しそうって思わせてくれるところのある漫画だったのですね。
単行本、巻末の描き下ろし。ひより、えりな、まつり、ゆづ、ひびき、ひなた、各人を大きくイラストにして、そして四コマで人となりを紹介する、そうしたところ見れば、皆、本当に魅力的なキャラクターだって思わされて、ええ、終わってしまうってことが寂しいんですよ。
- 如月瑞『となりで。』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2016年。
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