『まんがタイムオリジナル』2018年1月号、発売されました。表紙は『ラディカル・ホスピタル』、山下さんがクリスマスツリーの準備中でありますよ。今まさにとりつけようとしているのは、榊先生の天使だっていうんですが、手にワイングラス持ってるのも、その笑顔も実におかしくってよいんですね。『らいか・デイズ』らいかは、星の飾りを両手に持って、これ、自分で紙を切って作ったのかな? 『小森さんは断れない!』は、サンタに扮した大谷とトナカイになった小森さん。なのはいいとして、なぜリヤカー。しかもなんかワイルドに疾走!? 大谷、完全に泡食ってますよね。
『スズちゃんでしょ!』。在宅ワークのメリット、デメリット、みたいなの語られてますが、このいつだって眠れるというのはうらやましいなあ。まあ、それなりに邪魔ははいるけどね! みたいな話ですが、マイペースでいきたいなあと思ってる自分は、こういうのに憧れます。今回はスズと祭、ふたりの関係描いて、思えば対極的なワークスタイルですね。疲れてる、ストレス溜まってる、そうなるとスズの家にやってくるんだ、祭。この友人間の気の置けない感じがあって、かと思ったら、それなりに距離をかっちり保ってるみたいなところもあって、ああ、この絶妙な感じ。ふたりの長く友人関係の続いていること、続いていくだろうこと、思わせるものありますね。
『北斎のむすめ。』。吉之助の家は水油庄屋なのですか。いわゆる油屋。菜種油を商っていて、そこにお栄がやってくる。ブロムホフの注文、日本の商家を描いた絵をというので、普通オブ普通であろう吉之助んちにやってきたという、ほんと、お栄さん、失礼というかあんまりだ! いや、まあ、その見立て正しかったんですけど。店でも結構傍若無人。このさっぱり感、好きだなあ。吉之助には迷惑そうだけど。絵師になりたい吉之助の油屋での姿、その道のプロフェッショナルぶり見せつけてくれて、そうか、火が出たら可燃物満載だもの、ただじゃすまんよな。そうした話をしておいてね、またお栄の、吉之助の仕事ぶり、堅実に暮し、歩んでいる、そうした様子を描いておいてね、ああ、江戸の大火が予告される。あったな。そうだよ、これ、怖いなあ。この火災、北斎もお栄も無事だったというのはわかってるんだけど、他にもいろんな人がいるものなあ。災害で人生が狂う。その悲しさ。ああ、本当につらいことになりそうで、不吉な予感、でありますよ。
『カントリー少女は都会をめざす!?』。八重たちの学校周辺には、これといった遊べる場所がありません。カラオケさえも山向こうにいかないと、っていうのだから大変です。亜紀の提案にみながのって出てきたアイデア、すごろくを作ることになりました。女子高生が放課後3人集まって、やることがオリジナルすごろく作りというのもおかしいんですが、八重はそれでいいのか!? と思ったら、わりとノリノリだ。これ、すごろくのイベント設定で、それぞれの個性が出るのが面白かったです。みなはもう少し他人に厳しくしてもいいよっていう亜紀からのアドバイス。なら亜紀はどうかというと、八重から、もう少し希望を持ちなさいなんていわれてる。でもって、八重は落ち担当ですなあ。山の手線すごろく。どこからでも乗れてどこからでも降りられる。スタートもゴールもないのか。ほんと、八重のこの発想。わけわからんのだけど、それがこの子らしいんでしょうなあ。完成したすごろくで遊んでみましょう。あのサイコロのくだりもおかしい。いやいや、丸のまんま使うからあかんのよ。はじっこの方切りとって、立方体に近づけたらいいやん! と、そういう発想にならないのもおかしいところです。というか、ここでもみなが優しさを発揮している! ほんと楽しい子たちです。
『ゆとりの町長』。今回は辻立ちについてですよ。朝の駅前、辻立ちしましょう。毎朝やる。7時から9時まで、って、ゆとり、起きられないのか。あやうく三日坊主になりかけるのか。でもね、この辻立ちって効果あると思うんですよね。まったく見たことない人、知らない人よりも、接して、馴染みがあって、覚えのある、そんな人に投票してしまうという効果、あるっぽいものなあ。誰も内容なんて聞かないよ、頑張ってる人というイメージだけ残せればいんだよ、なんていう身も蓋もない話あれば、実際に辻立ちしてみてそれを実感するゆとりっていうのもおかしくて、かと思ったら、ちゃんと聞いてるやつもいるんか、しかも同じこといってるってつっこみ入るんだ。これね、そうやって実際に町の様子、人の動きを見てみて、そこからわかること、気づいたことがあるっていう展開がいいですよ。少し後の時間になると、病院に通うお年寄りがいるって、まあこれでストレートに決着しないのがこの漫画なんですが、町長選に出るなんていってる頼りないゆとりが、だんだんいろいろ知って、経験して、育っていく感じはたまらない魅力になっていますよね。
- 『まんがタイムオリジナル』第37巻第1号(2018年1月号)
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