2026年10月23日金曜日

『まんがタイムきららフォワード』2026年12月号

 『まんがタイムきららフォワード』2026年12月号、発売されました。表紙は『スチームドリーム』。ザラとクロエ、本編ではちょっと見られないような穏やかな時間? 日だまり、陽光を浴びて、緑の大地にふたり寄り添うようにして横になっている、そんな姿にしばしの平和を感じるイラスト。しかし、ザラの左手、あまりに異質な義手の存在、またクロエのそこかしこに見えるドールのらしさが、私たちの暮らすこの世界とまるで違う彼女たちの日常を感じさせてくれる表紙です。

今月は新規ゲストが1本です。

『星霊プラネット』

太陽系の惑星擬人化にして、ただの擬人化ではないこの建て付け。遙か遠くの未来、ついに滅びの時を迎えた太陽系。しかし、星々は星としての姿を失ったものの、星の霊、星霊としての生を受けるにいたる。

そんな彼女らにとって、はじめてのこととなる話しあい。一同ひとつの円卓を囲んで、これからのことを話すというのですが、そこにどうも地球の思惑がうごめいている? 座長となる太陽は、人の姿をとることのメリットを強調し、惑星たちに自分のもとで働くこと、そして人の姿ならではの生を満喫することを求めている。しかし惑星たちは、太陽のもとで働くのは嫌だ! 思いっきり反発しとるわけですが、ここでそれぞれの星に応じた懐柔策が提示される。

星それぞれの特徴や、置かれた状況。それをもととした性格づけが、密度高く展開されるのは、読んでいておもしろかったです。序盤から終盤にいたるまで、しっかり盛り込まれた天体要素には、こうくるのか、まだまだあるのか、そう思わせるものあって、飽きることなく最後まで引き込まれるものありました。

『魔法使いロゼの佐渡ライフ』

紗菜とときこ。かつてともにあって、今は進む道を異にしているふたり。仲違いしたその理由とは。そしてふたりの仲の修復はなるのか。

宿根木の祭が終わった夕方に、ふたり話しあったのです。自分に距離を置くときこに、自分の思いを知ってもらおうと紗菜が渡したノート。宿根木のためになにができるか。そこには紗菜の書き溜めたアイデアが緻密に記されて、しかしここまで情熱を持っている紗菜自身は自分がまるでなにもできずにいたと思っている。

ときこから、大きな仕事をやり遂げたといわれても、それはロゼたちがいてくれたからという紗菜。自分の無力を重く受け止めている紗菜だけれど、その気持ちの根幹にあるのはときことの仲違い。なぜ自分はときこを怒らせてしまったのか。それがわからないがゆえに、自分の今の気持ちにも自信が持てないでいる。迷う紗菜の、ときこへの贖罪と助けを求める、そんな気持ちが描かれたというのですね。

けれど反面、それはときこにとっても同様で、なぜかつて自分が紗菜を拒んだのか。その理由がどれほどに理不尽なものだったのか、ときこ自身よく理解しているというのです。嫉妬だった。一方的に突き放した。到底許されるものではないとわかっているからこそ、許しも乞えず、紗菜の謝罪を受け入れるわけにもいかず、でもそれでも、ひとつ結果を出し、今の状況にけりをつけようというのです。

ふたりで一緒に、企画を進める。紗菜の隣に立てる自分になる。素直ではない、あくまでも意固地なときこだけど、この活動を通して、ふたりまたもとのような関係を取り戻せるのなら、それに越したことはない。きっと紗菜は必死にがんばるでしょう。負けじとときこもがんばるのでしょう。その結果がふたりにとって満足のいくものになればよいと、思わずにはいられません。

『球詠』

柳大川越の攻撃に、果敢に投げ続ける蘭々。厳命されているノーアウト時の四球禁止を守って、一心に投げるのだけど、スライダーを相手方主将、山本に打たれてしまう。二塁にまで進まれて、これが蘭々にプレッシャーを与えたか。あるいは柳大川越の下位打線を占める三年生の圧に推されたか。脳裏を巡る考えが、カウントをはやまらせて、またも一打浴びてしまう。

同点に繋がるこの一打が、蘭々を萎縮させてしまった? 投げれどストライクゾーンに入らない。そんな蘭々をはげましに、マウンドに集まる仲間たち。その言葉がよかったんですね。取られた点はピッチャーだけの責任じゃない。もし打たれても、光が後を引き継いでくれるから気にせずど真ん中投げていけ。わりと大雑把? ヨミらしいといえるのか、ダイナミックなアドバイスに、珠姫からのスーパークイックという魅力的な提案。

そして、徐々に調子を取り戻してきた蘭々に、憧れの息吹先輩からのエール! もう完全復活!? 息吹への思いが、この子にして初心へと立ち返らせ、それが気迫を呼び起こす。決して有利とはいえないこの状況において、その気持ちの変化が引き出した快挙。まさかのゲッツーという展開は、もう読む手をとめることができぬまま、最終ページまで一気に進ませて、本当、見事としかいいようのないものでした。

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