2022年7月24日日曜日

『まんがタイムきららMAX』2022年9月号

 『まんがタイムきららMAX』2022年9月号、先日の続きです。

『今日の授業は恋愛です!』

転科を考えているしらべ。しかし、そこにはどこか思い悩んでいる節があり、その迷いとはなんなのか。それを探るべく、皆で合宿の買い出しをしつつ、機会あらばしらべを元気づけようとするさがりたち。こんな状況でなかったら、私服が可愛いね! とかいってはしゃいで楽しいエピソードになったろうに、けれどやっぱりしらべ、どこか心ここにあらずで、そしてひとり姿を消してしまうのですね。

先にホテルに戻ってる。しらべのメールに躊躇を覚えるさがり、その腕を掴んだなとせの頼もしさですよ! さがりにしかできないことを、当のさがりがやらないでどうするの。そうしたなとせの気持ちが痛く感じられて、ああ、この子はかつて自分が思い悩んだ時にさがりがしてくれたこと、それを今も大切に思っているのだろうなあ。それだけに、似た状況にあるしらべのこと、心配して、さがりにいってあげてほしいと思ったんだろうなあ。

思えばこの子たちはもともとさがりを奪いあう関係で、ライバルだったはずなのに、今ではこうしてさがりを中心にしながらも、ともに、互いに思い心配しあう友人になっている。その関係もまたこの子たち特有のスペシャルなものと感じさせられて、いいなあって思うんですね。

そしてしらべの事情。ずっと自分の本音を表に出してこなかった、どこか一歩引いているようなところのあったその理由、生い立ちについて語られました。しらべ、ずっと自分に近しい誰かを求めていたのでしょうね。わかってくれる人、知って自分を認めて、側にいてくれる誰かを求めて、ついに出会えたと思った相手、それがさがりだったのでしょうね。

ええ、しらべ、とてもいい笑顔でした。いやもう、えらいこっちゃですよ。いやほんと、普段クールな子がこうして表情崩すとドカンときますよね。

『妖こそ怪異戸籍課へ』

手の目の伊織ちゃんが里帰り! ということで睦子に課長に他多数、一緒にくっついて伊織の田舎、岩手にゆくのですが、実家での伊織が素晴しいですよね。いつもしっかりしてる。そんな子だけに、こうしてその年頃らしい表情、甘えたしぐさなど見せられると、なんだかほっとする。だって、ずっとお母さんにべったりなのよ? いやもう、かいらしいなあ! こうした母子団欒の様子見るだけでも充分満足してしまいそうな回でした。

さて、今回はコミカルな要素多めで、このところちょっとシリアスに寄り気味でしたもんね、バランスとってきてるのかな? 家事能力の低さをやけに取り沙汰される課長とか、相変わらずの饗子とか。と思ったら夏生は生来の真面目さゆえか、ほのぼの強めの今回においてもやっぱりシリアス担当といった具合で、でもそんな夏生に伊織の母が話してくれたこと。そのおかげあって気負いがとれた、そんな感じがありましたよね。ええ、夏生にとってもこの旅、出会いは意味のあるものになったんだろうな、なんてこと思わせてくれるものありました。

そして睦子に対する伊織の母の言葉。そのままでいてくださいというの、いずれ妖怪と人との関係に変化の及ぶこと予測なさってるのかな!? 手の目の力で、占いみたく未来におこることを察されたのかも知れませんね。

かくしてほのぼのだけというわけでもなかった今回。でもそれでもほのぼの強めと感じられたのは、いつもよりもリラックスして打ち解けてといった雰囲気が強かったからかも知れません。皆の私服? カジュアルな姿もまた魅力的で、伊織に夏生、それから饗子の格好、新鮮味あってとてもよかったです。

『桔香ちゃんは悪役令嬢になりたい』

いやあ、もうめちゃくちゃ面白いですよ。イトちゃんについての桔香の誤解。妹たちの見ているテレビがやかましくて好かん。皆から人気のチンパンジーのトミー君のことも好きじゃないんだって、イトちゃんがツナギやアオイに話してるところ、部分的に桔香に伝わっちゃって、これがまあ大きな誤解を引き起こすわけです!

いやまあ、桔香さん、この子すごく自己中心的な振る舞いしてるっぽい感じありますけど、実際にはまわりの皆に気を使いまくっていたり、あるいはむしろ自信がなくて、打ち拉がれてくじけて落ち込んで、みたいなことも多いでしょう? そのネガティブな部分が全開になってしまった! よりにもよって、大好きなイトちゃんから距離置かれちゃってる! うっすら思ったりしちゃいそうなところに、言質いただきました! みたいになっちゃって、いやいや、それ誤解よ? でも一度こうと思い込んだら決してそこから抜け出せないのがこの子なんだよなあ。

というわけで、桔香さん、めちゃくちゃ空回りするんな! いやもう桔香ちゃんらしいんだけど、やること極端で、いきなり水浴びてきたりとか、尋常じゃない! イトちゃんとの距離が近づくその度に水かぶりまくるもんだから、しまいには教室の床に水たまりできてるじゃん!

すごいよなあイトちゃん。この奇行を前にしても、基本揺らぐことないポーカーフェイスなんだぜ? ある意味、桔香の奇行慣れしちゃってるんだろうなあ。

そんな桔香とイトちゃんの和解。熱出して寝込んだ桔香のこと見舞ってくれたその時に、あれはチンパンジーの話だよって誤解解いてくれて、でそこからのハグ切望、あまりの桔香の切実さにイトちゃんも応じてくれて、ああ、イトちゃん、優しいなあ。どこまでもクールに振る舞おうとしてるイトちゃんの照れ隠しと、帰り道ひとりで思い出して熱くなってるその頬。いやもう、すごくいい子だと思いましたよ。

ふたりの関係。時にこうしてこじれる? みたいなことあっても、ちゃんとふたりの仲はいいんだって語られるところ。いずれもっと大きくなった時には、もっと自然に互いの大切に思いあってること、前提にした関係になったりしちゃったりするんかな、みたいに思われて、ええ、とてもいい話でした。

『リリカお嬢様に振り回される!』

リリカお嬢様が振り回すのは永野限定なのですか!?

雇用主の意向で、ちゃんと休暇を取るようにといわれた永野。いやまあ、有休消化率とかちゃんとしたとこだと気にしますよね。ええ、永野の勤め先がちゃんとしたとこで本当によかった! 

急遽、永野が一週間ほど休むことになったと聞いてうろたえるのがリリカなんですね。代わりの家政婦さんがきます。永野は完全にいなくなります。ここで側にいてっていえたらいいんですけどね、リリカ。でもそれがいえないのがリリカなんでしょうね。わがままを通すところ、その方向性が間違ってる。自分のこともっとかまってって、甘やかしてって、そういえたらいいんでしょうけど、意地でもそういうことはいわない。ええ、素直じゃないんですよね。

ヘルプできた中村さん。ベテランの方だ! この屋敷での勤務経験もあるというので、いろいろ任せて安心って感じなんですけど、リリカは見事に人見知り発動しちゃって、思ったこともいえなくなって、永野相手だと憎まれ口もぽんぽんいえるのにね、中村相手だと不快に思ったことがあっても口にできない、イライラも飲み込んでしまう。好きも嫌いも苦手も、いつもみたいに押し切れない。

リリカ、ついには元気なくしちゃって、そうか、この子、本当に永野じゃないと駄目なんだなあ。永野にならいえる、永野だからわがままも通せる。それはつまるところ、永野にしか甘えられない、ってことなのかも知れませんね。

そんなリリカの永野を迎えた時の様子。やっぱり憎まれ口なんですけど、ええ、やっと口にできたじゃないですか、そういう鬱憤晴らし。この子はこの子で永野に気を許してるんだ。でも、同じ気を許すなら、もっと素直に甘えたい気持ちとか、永野ひとりじめにしたい気持ちとか表に出せたらいいのにね、と思ったりするけど、それはどうしても無理なんでしょう。でも、今回はちょこっとだけでも言葉にすることができた。ええ、大きな一歩ですよ、リリカお嬢様!

この子も、今はまだ難しいかも知れないけれど、いずれ自分の抱える気持ちもろもろに整理つけられるようになったら、なにか大きく変わりそう。その時には永野との関係もまた違った感じになりそうだなって思えて、それがなんだかちょっと楽しみなんですね。

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