2022年7月7日木曜日

『まんがタイム』2022年8月号

 『まんがタイム』2022年8月号、発売されました。表紙は『おとぼけ部長代理』。テーマ夏祭り、金魚すくいをしている部長代理がメインでありますよ。お祭り、浴衣、ということで皆の浴衣姿も見物です。『花丸町の花むすび』花子は浴衣で綿菓子たくさん買い込んでますね! 『百合のあいだは悩ましい』白野と黒崎、ふたり浴衣で寄り添って、繋いだ手にはひとつの水風船。『まほろば小町ハルヒノさん』は妖艶さありますね。水風船にフラッペと、落ち着いた雰囲気かもしながらも、どこかしら浮かれた感もあるのがいい感じです。

今月は新規ゲストが1本です。

『黒曜ちゃんと白玉くんの変わった関係』

クールな男子? 白玉くんはモテるけれども、まるでそれを意に介さない。そんな彼は、美少女!? 黒曜ちゃんと仲がよくて、けれどこの子は男子なのか。見た目は完全に美少女なんだけれど、性自認は男性のようですね。この女装美少年、黒曜は白玉の幼なじみ。白玉の家、神社に寄ってはいつもなにかお願いしている。

そうか、本当の女性になりたいんだ。

子供の頃、本殿に隠れていたら神の怒りに触れた!? おしおきとして閉じ込められてしまって、そんな時に助けてくれたのが白玉だった。それ以来、白玉にゾッコン! 白玉と一緒になりたい、その一心で女性になることを夢見ているというのですね。

でも、その願掛け、まさか叶ってしまう! のはいいとしても、なぜそれが白玉に!? かくして女子になった白玉と黒曜のこれから。思わぬかたちで男女の仲になれる可能性が生じたわけだけど、この状況、黒曜こそはどう思うのか。それがまず気になってしまいますよ。

『ローカル女子の遠吠え』

水馬、あらゆる方法で富士山の魅力を布教しようとしてくるなあ! 悩みがあると見せかけて、りん子にアドバイス求める体で富士登山ルートを決めてくる。

やべえな。さらにはりん子に勧めていたトレーニング。肩こり、脚のむくみの解消といつわって、富士登山のための体づくりさせてたんだ! さらにはハッチにまで! メンタル安定目的といつわって、とはいうのだけど、ちゃんと副作用でメンタル安定してるのか。水馬さん、わりと誠実なんかも知れないなあ。

水馬の富士推し。それをかわす油野がイカします。このお断りテク、天道にも教えてるの、まさしく油野の先見の明ですが、全然応用できない天道の、けれど富士山過激派と認定されてセーフっていうの、めちゃくちゃ面白いな! 男性からのアプローチをかわす、そのための対応テクだけど、それが図らずも富士愛に溢れてるアピールになって、で、見事に退散させるの。いうならば水馬の過去の行状、それがめぐりめぐって天道を守ったってことですよね。ええ、見事水馬と富士のご利益です。

『良倉先生の承認欲求』

このところ、部員たちがメインに描かれてきましたが、今回は良倉メイン。良倉のSNS活動をがっつり描いて、ええ、濃密。こういう展開もまた面白いですね。良倉と上枝、ふたりの対話が面白い。バレンタインの更新に花をモチーフにしようと考える良倉に、いろいろアドバイスする上枝。まさかこれ、普通に便利とか合理的とか、そういう気持ちから出たものじゃなくて、過去自分自身失敗したからゆえの助言だったって、ほんと全然思いもしませんでした。そうか、上枝先生も大変なことあったんだ。花束持って歩いてるの、僕は花が似合う色男だなあ、みたいにナルシスト入ったりはしないんですね。

しかし、バラの花束持った良倉。結構かっこいいと思うんですよね。でも、プロポーズ? とかいろいろささやかれて、くじけそうになるんだ。さらには帰宅して、自分自身を省みてしまう。自分のやってることへの迷い、素に戻って、いったい自分はなにをしてるんだ……、からの最高の映えでは? の転換! 先生、すごいわ。ナチュラルボーン承認欲求モンスターだわ。

でもほんと、いろいろ悩みや迷いがあったとしても、こうしてやりたいことに邁進して、上枝と笑って話して、なんかわかりあえるとこもあったりするの、いい関係じゃないかって思ったんですね。ええ、上枝先生もわりかし承認欲求モンスターの部類ですよね。ただ、ちょっと良倉とは傾向が違うだけで。その似てないけど同類な感じ。なんかいい関係だなあって思ったんですね。

『この契約は恋まで届きますか?』

うわ、八千代さん、普段着が大人っぽい! 手芸イベントに参加することにした野田。八千代も手伝いにきてくれて、スペース設営、自分の作品をずらり並べて、お客さんきてくれるかなあ! 緊張する野田、といいたいが、緊張の原因は隣りの八千代さんですかいな! ここで緊張をほぐすためにリリアン編みをはじめる野田が本当に面白い。常になにかしらの手芸用品、常備してるんですか!?

ここからの展開、おおう、ちょっと身に覚えがありますよ。以前、知人のイベントの手伝いをした時のこと、女子ばかりのブースにひとり毛色の違うのがいたものだから、作者さんですか!? っていわれてしまって、いやいや違いますよ、私売り子です、っていったことがありまして、だからこの手芸イベントできっと八千代も作者と勘違いされそうだなあと思ってたら、やっぱり! ですよね! まさに思っていた展開がきて、なんか嬉しかった。ええ、野田には申し訳ないけど、可愛い手芸品が並んでるブース、そこに野田と八千代のふたりがいたら、八千代が作ったんだな、じゃあ隣の人はパートナーなのかな? みたいに思われるよなあ。だからここでのやり取りは、うんうんうなずくようにして読んでいました。いや、でもキュートのくだりは予想を超えてきましたよね。すごいな八千代さん。

野田の手芸品、のっちとしての活動を知ってる人だけでなく、このイベントで出会った人にもしっかり届いて、かわいいと喜ばれ、SNSをフォローしてくれる人もいて、そして受け入れてくれる人は大人から子供から女性から男性からと、この幅の広さ! ああ、同好の人たちの輪が広がる、そんな喜びがありますよね。ええ、このイベントに参加したの、野田自身もいってますけど、いい経験になったろうなあ。素敵な出会い、好きという気持ちの分かちあい。野田の世界も視野も広がった、また自信も深まった、そんな風に見てとれて、そして八千代との関係は進展しなかった!

いや、でもなにかしらの変化はありそう。内面的ななにかが、少しは変わったりしてそうな瞬間が確かにあった。そう思いたいところですよね。

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