2022年7月8日金曜日

『まんがタイムきらら』2022年8月号

 『まんがタイムきらら』2022年8月号、発売されました。表紙は『えるくえすと! ~勇者エルヴィーラは現実世界に転移しました~』。勇者エルヴィーラがどーんと大きく描かれて、おお、勇者としての威厳、しっかりばっちり表されて、かっこよさも抜群です。頭身高めで大きく描かれたエルの、その溌剌として伸びやかなスタイルはまさにチャーミング。装備を彩る金色もまばゆくて、エルの存在感をより一層に強く押し出していると感じます。そしてエルの周囲には、ちんまりデフォルメして描かれたパーティメンバーの面々。この対比が手伝って、実に愛らしい。魅力的な表紙にしあがっています。

今月は新規ゲストが5本です。

『妄想アカデミズム』

ひとつ上の幼なじみを追って、難関大学への進学を決意することとなった湯島未春。しかし、そのお相手である室町莉子と違い、未春は成績にいろいろ難ありときています。莉子に自分の気持ちは打ち明けられていないけれど、幼い日、ずっと一緒にいると誓ったふたり。きっと未春は大丈夫、そういう莉子は、なにか過大な信頼を未春に寄せているのですが、はたして本当に未春は大丈夫なんでしょうか。

好きという気持ちばかりが膨らんで、現実的な可能性には心配の残る未春。母にその決意を申告するも、母、本気にしてる? 未春の友達、同い年の吉野ゆう、この子が未春の背を押してくれる? いずれにせよ、これからが未春の頑張りどころ。恋する気持ち、その一心でこの試練を乗り越えることはできるのか。その奮闘ぶり、はたして本当に見ることはかなうのか!? そんなところから心配しちゃいますよね。

『私たちのアオハル革命』

九条舞香は箱入り娘? エスカレーター式の一貫校? から新たな可能性求めて外部の高校に編入したというのですが、そこでさっそく月30万円の友達料をご請求!? と思ったら、逆なのか、舞香が払う側だったんですね。

登校途中知りあった女の子、中村のどか。地方から出てきたばかりのこの子、学校に一緒にいこうと舞香を誘ったのはいいけれど、舞香の浮世離れした言動に戸惑うばかり。会話の端々にのぞくハイソな趣味嗜好。若干のギャップにあわてふためきながらも、月30万の契約をきっぱり断り、いやちょっと陥落しそうになってたよ!? ともあれ、金銭の発生しない対等な友達になろうというのですね。

あまりに常識の違うふたり。なんだかのどか、いろいろ苦労しそうだけど、ふたりの関係、その気持ち、近づき寄り添うその日はいつになるのか。今のところは、すぐには訪れなさそうな感じ? です。

『ふたリウム』

そのタイトルから星のお話? と思ったら、アクアリウム、海をモチーフとした漫画なのですね。深海が好きという赤井芽衣。深海の謎、深海に棲む深海魚たちに思いを馳せる女の子。深海に向ける情熱から、そして同じく深海に魅せられた仲間を求めるべく、深海にまつわる部を作ろうというのですね。とても前向き! でも、反面人と関わるのが苦手で、深海部創部はなかなかに難航しそうな様子です。

そんな芽衣が出会ったのは、海辺にたたずむクラスメイト。まさか身投げ!? いや考えすぎだったんですが、いきなり声をかけたもんだから驚いちゃって海に落ちちゃって、この子、白坂さん、海に落とされたこと許してくれて、でもずぶ濡れなのはまずいと、芽衣の家に寄って風呂、そして着替えることになりました。

この家に寄るというプロセス、重要でしたね。芽衣が深海好きであること、これが機会で知ってもらうことができて、そして深海部に誘うこともできました。

部に入ってくれる仲間と、そして友達が同時にできた芽衣。夢の叶うまでの道のり、まずは一緒に歩いてくれる同志ができてよかった。この輪がさらに広がるといいですね。

『センキュー!80!』

大学生の山羽みつき。ある日校内で嗅いだ懐かしい匂い。なんの匂いだろうと、誘われるまま建物に入ってみれば、そこには古い車があって……。四輪サークル。自分は車になんて興味はないから立ち去ろうと思ったところを先輩ふたりに呼び止められて、サークルに入らないかと強引に誘われるはめになったというのですね。

四輪サークル。その名のとおり、車に関するサークル。旧車に外車。特になにもすることがないみたいなこといってますけど、まさしく車に乗る、それこそが目的のサークルですよね? 車に乗ってドライブ。旧車だけあって故障も多いけれど、そいつを自分でなおしながらの活動。なかなかにやる気? 気合いの感じられる活動風景です。

そしてふいに蘇ってきた、みつきのかつての思い出。ガソリンと錆びた鉄の匂い。それは祖父のジープに乗せてもらっていた記憶。車に興味ないと思っていた自分の中に、確かにあった自動車との縁。そこからの決断のはやさ。ええ、みつきとの自動車ライフ、今ここに始まろうとしています。

『愛より友情』

人間の悩み解決をしているという妖精がやってきた。営業なのだそうですよ。ノルマとかもあるらしく、この妖精、ムラサキは達成率が低いためあわや減給の危機に直面している。だからこそ人間、山鳥音鈴蘭の悩みをなんとしてでも解決したい。そう思っているのですが、残念、顧客の情報を適切に把握できていませんでした。

なにをやらせても完璧、学校の高嶺の花。こんな人にはたして悩みなんてあるのだろうか。そういってるムラサキですが、実際の鈴蘭は印象とは随分違う。特に成績がいいわけでもなく、ハイソな趣味や技能があるわけでもなく、さらには人との交流も苦手。高嶺の花ではなく、待ちの姿勢を貫きすぎたために、ただ友達づくりに失敗、ゆえに孤独だというのです。

かくして鈴蘭の悩みも判明。その望みはというと、友達が欲しい。なのにムラサキは友達ではなく恋人を作らせようとする!? 恋人は求めてないのに? しかもここ女子高だというのに? ええ、顧客が本当に必要だったもの、みたいな展開見せはじめて、ああ、ムラサキよ、君の成績が奮わないというのもよくわかる。そんな気持ちになったのでした。

ムラサキ、頑張ってはくれてるんですけどね、いろいろアイデア出して、実践してみせて、でも成果には結びつかない。ただ、結果は出せないにしても、誰かと一緒になにかに取り組むということが鈴蘭には特別で、そして楽しいという気持ちを分かちあうことにも繋がってというの、ああ、これがこの子にとっての最初の一歩になるのだとしたら、ムラサキの奮闘も無駄ではない。そう思えたのですね。

そして最後に、鈴蘭の下駄箱に入っていた手紙。ラブレター? これが引き起こす騒動? あるいは出会い? そこでムラサキの果たす役割とは!? ええ、なにかドタバタしそうな予感です。

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