2022年7月26日火曜日

『まんがタイムきららフォワード』2022年9月号

 『まんがタイムきららフォワード』2022年9月号、昨日の続きです。

『巴マミの平凡な日常』

マミさん、高所は別に平気では? と思った冒頭。VRゴーグルを同僚から貸してもらって体験中だというのですが、この人がプレイすることになったホラーゲー。迫る大量のゾンビたちを迎え撃つ、そんなシチュエーションに苦戦していたマミが、銃を入手した途端に歴戦の戦士としての勘を取り戻すっていうのがおかしくって、これ、あれだ、退役軍人にサバゲやらせるとめちゃ強い、みたいなやつだ。

ほんと、この人、ぱっと見はだらけたお姉さんですけど、中身は間違いなく歴戦のソルジャーなんですなあ。でも日常でその技能が必要になること、ほぼないですよね。その、ほぼないはずの機会がこうしたゲームであるわけですね。

しかしただゲームやるだけじゃなく、キュウなあいつの介入で、どこか微妙におかしくなったマミの認識がさぐられたりすることになるの、面白かった。そうか、魔法使えるのが当たり前になりすぎてるんだこの人。それはもちろん誤った現実認識であるわけですけど、ゲームやらせると肌感覚で魔法やなにかに馴染めて強かったりするのかも。いや、むしろ制約あるぶん、ゲームだと不自由だったりするんかな。

特定部位にしか当たり判定のないボスに苦しみながらもしっかり攻略していくの、攻略情報なしの完全自力クリアしてるわけですけど、これなんかもう完全に魔女とのバトルの経験が生かされてますよね。めちゃくちゃ難度が高いといわれてるこのゲーム、一日でさくっとクリアするとかね、マミさん、この人、ソルジャーとしての資質をゲームに生かして、そちらでの成功をはかるのも可能なのではないか!? 例えばeスポーツ、あるいは配信。きっとマミさんにその気はないから今のままの平凡な日常が続くわけですが、ゲームソルジャー・マミという新しい可能性に夢広げてしまいますね。

『最果てのともだち』

人としての綺夜は死に、幽霊となったキヨ。彷徨った末に辿り着いた学校、学級崩壊するクラスにて、孤独に授業を続ける先生と出会い、そして先生の辿った運命……。前回、今回とこのところ続いているキヨの過去編。いったい彼女は何者だったのか。なにを求め、なにを得られずにいたのか。その思い残しをこうして説明されることで、この子の成仏に至る道も見えてくるように思います。

ずっと誰かのためになりたかった。悲しんでる人を救いたかった。自分の生まれてきたその意味を確認したかったんですね。そしてそれは人の根源的な欲求だと思われて、それだけに、悲嘆にくれるキヨに共感を覚えるものも多くあるのではないでしょうか。

そんなキヨの願ってやまず、なれど叶わずにいた思い。それがようやく叶うかと思われたのが、アサヒ、彼女と過ごした時間だったのですね。けれどその時間は失われ、絶望に沈むキヨの悲しさ。ともにあるという先生の思いこそが彼女の数少ない救いであったのか。

そう思われた時に、あの旧校舎へと向かうアサヒの姿。ああ、これがよい方向へと向かわせるのか、あるいは否か。その行く先、怖ろしいながらも一抹の希望を抱いてしまいます。

『先輩、ちょっといいですか?』

そうか、先輩はいつも妹とそんな特殊しりとりをして楽しんでいらっしゃるのか……。

さて、そんな先輩に不知火零からかかってきた電話。なにごとかと思ったら、突然の停電に不安になったとのこと。しかし電話はすぐに切れてしまい、ああ、電池切れ! 充電しようにも停電してるんだからどうしようもない! モバイルバッテリーとかノートPCがあったらなんとかなったかも知れないけど、まあ、持ってないんだね。ケーブルを挿しても充電されないスマートフォンを前に、状況把握できずにいる不知火の姿が、本当、この子の混乱してる様をよく伝えてくれました。

この子、停電が駄目なんだね。

ひとり屋敷にて震える不知火のもとに文字通り駆け付けた先輩。その行動はあまりに無鉄砲、招かれもしない屋敷に踏み込んで、どこにいるかもわからない零を探して、家捜ししたんだね。でも、今の不知火にはこれくらいしてもらってちょうどよかったんだと思う。突然の先輩登場に、安堵の表情を見せた不知火。そこからの先輩に対する感謝の気持ちを明らかにしていくくだり。それがとてもよくて、さらにネガティブに流れていくところで、一旦区切りをつけて仕切り直そうとする先輩の判断。素晴しかったと思う。

以前からもうその傾向はありましたが、今回は決定的だったかも知れませんね。不知火の先輩に対する、自分でもこれとはっきりさせられない気持ち。それがここまでかたちになってきた。けれど、不知火、意識してしまって先輩にちょっといいですかと聞きにいけなくなってしまって、ええ、大きな動きだと思います。ちょっと目が離せない感じです。

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