土日は『ケムリクサ』見てました。BD上巻、1から4話まで。まずは普通に通しで見て、それから特典映像を2本。イベント上映時の舞台挨拶と出演声優座談会、どちらもメインの女性声優3人のトークが主体なんですが、これが面白くてですね、オーディオコメンタリーは期待できそうだ。そんな期待をさせる感触だったのですね。『ケムリクサ』BDに収録されているコメンタリーはキャストとスタッフ、2種類あって、さあどちらから聞こうかな。流れからいけばキャストだけど、ここは本命のスタッフコメンタリーからいこう。土曜にスタッフコメンタリー、日曜にキャストコメンタリーを聞くこととなりました。
しかし、このスタッフコメンタリー、ものすごい。なにがすごいって、コメンタリー最初の発言が「もうしゃべることない」っていうのがすごい。待って、待ってくれ。まだなにもしゃべってないのに、その時点でしゃべることないってどういうこと!? さらにその後も、どういうテンションでしゃべったものかわからない、などなど。コメンタリーの常識がくつがえる勢いでした。
スタッフコメンタリーのなにに期待していたかというと、『へんたつ』のノリ。そのものという話を聞いていたからなんですが、いやあ、確かにそのとおりだわ。『へんたつ』見たことないって人は、ぜひ見ていって。なんか癖になるから。
スタッフコメンタリー、とりわけ監督に脚本てがけた人がしゃべるとなれば、シーンに込められた意図とか、物語世界の解説とか、そのあたりに期待するのが普通だと思います。もちろん私もそれを期待していたんですが、聞いてるうちに、あ、これ、そういうんとちゃうわ。だってさ、ケムリクサの扱いについて、作画監督が監督に聞いたときの答が、知らんー、ですよ。オレも聞いてへん。そうか、物語世界から、これはこう、ここはこう、いろいろ汲み上げるようにして物語が構築されていってるのかあ。なので、その汲み上げがなされるまでは、細部もろもろ、監督であろうとわからない。これ、一種脱力させられるコメントかも知れないけれど、作家としてのスタイルが見えるという点では割と重要な発言でもあるなって。他にも、アニメーターの捉える動画のクロックと、完成品のクロックの差とかね、なるほどなあ、面白いなあ。普段は1秒をいくつにも分割して捉えてるから、ものすごくスローな世界の把握をしている。なので、こうしてできあがった動画となると、はやくてはやくてついていけない。あるシーンについて語ろうと思っても、口開いた瞬間に過ぎ去ってしまってるからどうにもならん。そういう発想、面白いなあ。
たつき監督は京都出身のケニア育ち。大学も京都の大学だったので、その雰囲気、京都人のそれなのかなあ。すごくしっくりくるというか、伯父を彷彿とさせるものがあって、なんか懐かしかった。これはすごく個人的な感想ですね。
キャストコメンタリーも面白かったです。オーディションの情景とか、なんかちょっと特殊だったらしく、その感想も含めて面白い。また当然録音時のいろいろ、どういう演技が求められたとか、どういう風に録っていたというのも面白かったのですが、それに加えて、キャストにとっても先の展開の見えないアニメ。これからどうなるのか。場面場面に描かれたこと、そこからなにが読み取れるのか。休憩中にキャスト同士で話しあったとか、それからネットの考察、視聴者が読み取ったこと、それを参考に理解を深めたり、想像をたくましくしたりしたことが語られたのが興味深かった。演者として制作の一端を担いながらも、視聴者として物語の展開や描かれるいろいろを楽しむ受け取り手としての表情なども垣間見ることができたのは実に楽しくて、背景、舞台から、意味深な匂わせ、先の展開を不安にさせるフラグの存在、そしてわかばの毒などなど、もろもろ、感想、考察、実にいい。それはさながら、キャスト一行と旅するケムリクサ世界みたいな赴きを感じさせる、そんな近しさのあるコメンタリーだったのですね。
『ケムリクサ』中巻は5月末発売ですね。ということは一ヶ月以上先。コメンタリーはどうなるのか。実に待ち遠しいですね。
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