2019年1月22日火曜日

『まんがタイムスペシャル』2019年3月号

 『まんがタイムスペシャル』2019年3月号、発売されました。表紙は『恋愛ラボ』。おお、バレンタインテーマですね。レンにプレゼントを渡そうとするスズですよ。これ、本編連動だ! 本編では自分の決意をレンに告げて、まさにプレゼントを渡そうとする姿が描かれたわけですが、表紙では勢いあまってどーんと飛び出してしまっている、いや、今まさにこけんとするその姿ではあるんですが……。ともあれ、勢いあるいい告白ですよね! 『大家さんは思春期!』チエ、『おにいちゃんと呼ばないで』心もチョコレート持ってまして、こちらは日頃の感謝って感じが強そう、なんだけれど可愛らしいですよね。

今月は新規ゲストが2本です。1本目が『ため息吐息と悪魔人形』。2本目は、2月7日に単行本の発売される幾花にいろの『捨てられないひと』。後者はコミックス発売記念、特別読切とのことです。

『ため息吐息と悪魔人形』。こちら、可愛い絵柄で、ちょびっとだけホラー要素? 作家の念がこもったぬいぐるみを手にしてしまった女の子ミルカ。そのぬいぐるみ、くまごろうに宿っていた悪魔がミルカの血で目醒めてしまった。さあ、ミルカ、悪魔に魅入られてしまうのか。その要求をはねのけられるのか。というんだけど、ミルカが悪魔、くまごろうに対してガンガンに強気なところがいいですよね。なんでもかなえるといわれて、カレーうどんの汁をはねさせなくする、それが望みでいいのん? 悪魔のイメージがテレビ版デビルマンの主題歌に影響されてたりするのも地味に面白い。悪魔の本性をあらわしたくまごろうをやっつけてしまうミルカのその腕っ節もいい。おとなしそうな子なのに、結構乱暴だったり、したたかだったり、でも素直で真っ直ぐだったりと、そうした多面性見せてくれるところ、大変魅力的だと思いました。

『捨てられないひと』。引っ越しするにあたり、身の回りのものを整理することになった。それで、ぼんぼんものを捨てていこうとするんだけど、いや、全然捨ててないね。うん、わかるわあ。と、それがメインじゃないんですよね。面白かったですよ。片付けしてたら見つけた借り物の漫画。感想きかせてという手紙なんかも入ってて、それで律儀に読んで、感想伝えるために連絡してねっていう、このちょっとしたきっかけでふたたびつながっていく人の輪ですよ。ああ、捨てられないってこういうことなのかな。そうそう人の繋がりなんて捨てられるもんじゃないよって。奇縁、良縁、腐れ縁、縁にもいろいろあるけれど、こうしてちょっとしたきっかけでまた会って、そしたら借り物の縁が連鎖的につながってという、このダイナミズムがね、面白いやら、おかしいやら、そしてじんわり胸にくるやら。スローにはじまった漫画の、終盤にかけて一気に展開して予想もしないところに着地する。この緩急もまた面白みを後押ししていましたよ。

『ふたりが家族になるまでに』。あさひ、意地を通しきりましたね。気が気でない? なにか手伝おうと、あさひのまわりをうろちょろするジローを一喝して、作るのは親子丼。慣れない作業に手間取りながらも、料理に取り組むその表情は真剣そのもの。さすがのジローも、あさひのその思いを受け止めざるを得なかったみたいですね。今回のこの料理、ただジローの誕生日だからってわけじゃない。あさひの、ジローに対するあの気迫。思ってきたこと、鬱屈していた思い、全部ジローに伝えきって、ああ、この一連のこと、以前ジローから提示されたテーマ、それを受けてのあさひのターンであったのですね。ただ頼るばかりでなく、頼られるばかりでもない関係。突然一緒に暮らすことになったふたりが自分たちの家族像を模索し実現していこうとする。その紆余曲折。力感もって、強くうったえるものありました。

『年上の物理女子は可愛いと思いませんか?』。めちゃくちゃ面白かった。花火があがるたびに、ストロンチウム、カリウム、ナトリウム、炎色反応の元素名が出るっていうの、ここからもう面白い。でもって、光と音の速さですよ。差が2秒だから打ち上げ場所からの距離およそ680m。いや、でも温度とかあるから、と思ったら、漫画の中でもしっかり指摘がはいってて、さすが……、さすがやわ。今回、花火という絶好のイベント、さらには突然の雷雨で部長と朝永、ふたりきりのシチュエーション! いよいよふたりの距離、縮まったりする!? と思わせて、どうもそうでもなさそうとかね、でもって外野ががっかりしてたりね、この混雑っぷり、ほんとに見ていて面白く、そして極めつけは朝永念願のハートの花火、ともに見上げるふたりの姿ですよ! わーお、ロマンチックーっ! まさに渾身。実は期待してた。でも、その期待以上をいかれた感がありますよね。最高でしたわ。世界のすべてがふたりを祝福していましたよね。

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