2016年2月4日木曜日

終活女子高生

 『終活女子高生』、実は私、この漫画をどう受け取っていいものか、よくわからんのです。タイトルにある終活。就職ではなく、人生の終わりをどう迎えるか、そのための活動。それをする女子高生が主役、いや、主役ではないのかな? いや、主役だろう。大泉律は、自称余命一年。そんな彼女に、とつぜん絡まれた、いや、友達になって欲しいといわれた藤沢沙羅が、一緒に律の終活を手伝おうという、悲しくもいじらしい、女ふたりの友情の物語 — 。と思っていいんでしょうか? いいんですよね。いや、もう、ほんと、わからんのですよ。ほんと、これ、どういう展開見せて、どういう終わりを迎えることになるんだろう。もう、まったくもって予想もできない。沙羅ともども、毎月毎月、律に振り回される、そんな思いであるのです。

しかし、なにが一番読み手である私を困惑させるかといったら、大泉律、その人ですよね。なんだろう、この人のキャラクター。ストーカーじみてる。奇想天外な人。どこまで本気かわからない、言動もなにもかも、どこまで信じたらいいかさっぱりわからない。律もそう思ってますよね。余命一年なんていってるけど、どう見ても元気そのものだし、むしろよっぽど活動的で、身体能力もかなり高い。余命一年とか嘘だろ? いや、ほんと、そう思うよなあ。思わないではおられない。というか、本当にこの漫画のラスト、律が死んで終わっちゃうの!? ほんとに!? マジで!?

ある意味、そういう悲しい展開を見たくないという気持ちが、律のいう終活、それが嘘なんじゃないか、ごっこなんじゃないか、みたいに思わせてるのかも知れないんですね。

最初のうちは、なんだかおかしなこといってる、おかしな女子高生に絡まれた見た目ヤンキー、中身わりと純朴な沙羅の困惑を見て楽しむ、そういう感じの漫画かななんて思ってたのでした。余命一年とか、なんかのギャグなんじゃないか、そういう風に思ってたわけですね。けど、ずっと読み進めてきて、どうにも律がいってるだけではないみたい、そんな雰囲気など感じてきていたものだから、ああ、最初からの読み直しは、おかしい、面白い、困った子だなあ、そうした感想なども抱きながら、なにかどこか寂しくも感じられて、ええ、複雑、なんともいえない感慨なのです。

  • 津々巳あや『終活女子高生』(まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2016年。
  • 以下続刊

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