『まんがタイムオリジナル』2016年4月号、一昨日の続きです。
『みつめるっ!上野さん』、面白いなあ。肉筆春画の展覧会やりますよ。ということで、ええと、根津家のことは置いておくとして、春画についての解説、こういうの好きでして、なんだろう、面白くてタメになる! けど、感心したのはその後でしたよ。根津家二の姫所有の物件で展覧会開きます。それはいいのだけど、不労所得の妹の好みか、監視員として男子女子大学生をばっちり動員してきて、あ、これ、素人集めちゃったから後で大変だ! って話にするのかな? そう思ってたら、甘い、甘い、というか、作者さんすごい。なるほどなあ、大量の大学生が展示品を見て、その感想をSNSに漏らす。その口コミ効果を狙う、なんて展開、おお、ほんと、感心しました。さて、上野さん、管理職には向いてないけど、監視員としての職務、もくもくとこなしている、そのプロとしての成長が見えるところなんかも、とてもよかったです。
『迷想乙女の文学会議』、最終回でした。ああ、これ好きでした。毎回、文学作品、その内容やバックグラウンドが紹介されるという、その見せ方が面白くて、楽しくて、紹介された文学作品にも興味は出るしと、ほんと、楽しく読んでいた。けど、その展開の果てに、まさか倉野さんの後悔、落ち込みがあろうとは思わなかった。『更級日記』、菅原孝標女の後悔を引き付けて、なんだろう、胸が切なくなった。というのは前回までの話。今回、倉野さん、松島さんがね皆から企画の成功をねぎらわれてる時に、先生がいたんです、倉野さんです、そういってくれて、ああ、倉野さんも報われたんだよ。人付き合いが苦手、ちょっと孤立気味、なんて思ってた。そんな彼女が、松島さんという理解者を得て、ああ、本当によかった。『更級日記』の解釈にも、また松島さんとの関係にも、仕事にもね、ポジティブな光を与えたラストなんかもよかったです。そうそう、松島さん、倉野さんに対する誤解、あれが解けたのもおかしかったですよ。
『あかるい夫婦計画』、だいすけのライバルの話。あらゆることがらで負けている、並べる日なんてこないだろう、なんていってあきらめてたのに、猫の介入がために初勝利を得た! とか、これ、あいこなのかい? でも、なんか面白かった。ささやかなしあわせで勝って満足してという、この感触がいいなって思いましたよ。かくありたい。収納7千円は高くないとか、こういうの、なるほど、いい観点。「壁をこえたい」なんかも、すごくよくわかる。あれ? もっと近しい関係と思ってたけど、自分だけ? みたいなのね、うん、ショックですよね。いつもの先輩、後輩OLも健在。心臓は筋肉でできてるから鍛えれば動じなくなる説、ほんま? 信じてはいけない情報な気がする。そして体調崩したお嬢さん。うん、なんだろう、この切ない状況、うん、大抵の人はそうなるんだろうと思う。もちろん自分もです。ああ、ほんと、いろいろ泣ける話ですよ。
『歌詠みもみじ』、今回も面白いですよ。インフルエンザで千恵が欠席しました。となると、もみじとまりあ、とたんに話が進まなくなるのか。千恵がすごいのか、それともふたりが話を広げるの苦手なだけなのか。でも、なんかわかる。こういうのあるよね。というわけで、今回はまりあとの仲を深めるわけか、と思ってたら、おおっと、今度はまりあも欠席ですよ。友達ふたり休んじゃうと、もうとたんに孤独になっちゃうもみじ。ああ、大変だなあ。うん、学生のころってこんなだったかなあ。なんて思い出しちゃいましたよ。二度と戻りたくない。けど、そこからのもみじの流転生活、そのおかげでちょっといろんな人の表情、側面に触れることができて、ええ、この漫画、というより作者さんかな? の展開力、みごとだなって思わされましたよ。
- 『まんがタイムオリジナル』第35巻第4号(2016年4月号)
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