『まんがホーム』2021年12月号、昨日の続きです。
『吸血鬼と死体ちゃん』
はじまった頃にはこんな終わりを見せることになろうとは予想もしませんでしたよ。吸血鬼とゾンビのふたり暮らし。記憶を失っていたゾンビのニナが記憶を取り戻し、しかしそれで誰も不幸にならない。娘を亡くした母も、ふたたび母と暮らすことのできるようになった娘も、そして変わらず一緒に暮らしている吸血鬼も、みんなしあわせ。
そんなしあわせな皆のその後。人はだんだんに老けていくけど、吸血鬼とゾンビは変わることがない? タイムスパンの違いがいずれはなにかを浮き彫りにする日もくるのかも知れないけれど、でもこのどこか緩い人たちなら、仮に不幸や悲しみがあったとしても乗り越えていけたりしそうかなあ、なんて思わされるのですね。
そしてピアニストになる夢を見ているゾンビ。ゾンビというと思考を持たず自我も意識も持たないみたいなイメージがありますが、ニナはそうじゃないですね。夢を、将来を思い描く様子、そのかたわらにはエドガーがいてという構図がとてもいいなって思われて、ふたり長い時を暮らしていくことになりそうですが、ずっと仲良くいられそう。それがほんとなによりな終わり方でありました。
『ウメボシオニギリ』
困り顔がウメボシといわれてるオニギリ。けどその顔が戻らなくなってしまって、なぜ!? って、太ったのか。酒を飲むとじゃんじゃん食べ物あげちゃう人が身近にいる。ひとりは姉。そしてもうひとりは隣人。オニギリの飼い主、コマチからふたりともに食べ物あげないよう釘を刺されているわけですが、それがつらいのか。あまりにつらいから、食べ物をあげていたシチュエーション、飲みを禁止することになってというの、ああ、オニギリのダイエットがふたりの節制に繋がって、健康の輪が広がりますね!
犬のダイエット用のエサ皿とかあるんですね。デコボコがあってちょっと食べにくい。最初は不評だったのが、翌日には慣れちゃうオニギリ。こういう柔軟なとこ、いいなあ。そして、オニギリ、まだ幼いんでしょうね。お散歩大好き。むしろイナホの方がオニギリについていけなくて、そこで助けになってくれたのが近所の塩田君。これ、今はまだ同じアパートに住んでるご近所さんだけど、いずれはイナホと急接近みたいになるのかな? なんかそういう気配もさせますね。
そしてオニギリ、やせました! あの顔、なんだかウメボシの印象が強すぎてこっちのがなんか違和感ある! 周囲の知りあいと一緒に取り組んだオニギリのダイエット。一匹の犬が繋ぐ縁がさいわいなエピソードでした。
『歌詠みもみじ』
ママさんが母の看病で不在です。それでパパさんがもみじのお弁当作るんだけど、茶色のお弁当! 皆から不評で、っていうんだけど、そんなこというならもみじが自分で作ればいいんだよっ! 仕事もあろうに、その上で家事まで頑張ってるんだから、もっとパパさんを労ってあげて、もみじさん。
でもここからがものすごかった。千恵がもみじのために弁当を、さらには夕飯まで作るというわけですよ。しかもここにあのもみじ大好き家庭教師、咲子が参入してくる。驚きの対立的シチュエーション。ふたりともに譲るという考えがない。というか、なんでふたりともにそこまでもみじに執着!? 千恵ってそこまでもみじに入れ揚げてたっけ!?
いやもう、ふたりのエスカレーションする様がものすごかった。ともに相手の料理の腕を認めながらもやっぱり譲らない。どんどん豪華になる料理、どんどん高価になる食材費。青い顔してるもみじにパパさんがもうめちゃくちゃに面白くて、今回のこの様子、いったいほんとなにごとだったんだろう。ふたりともに目的忘れて手段に溺れちゃってますよね。
でもって戦いの果てに生まれた友情。なんか妙にいい雰囲気なんだけど、ここにもみじが関わるとやっぱり取りあっちゃうのかな? なんとも不思議な関係が成立しちゃいましたね。
『うちの秘書さま』
メイドさんメインのお話!
今、はじめの世話をしてるメイドの筆頭格になってる彼女。昔の写真にもそのままの姿で写っているっていうんですが、ほんと、このお館のメイドさんたちって不思議です。みんな同じ表情。年齢不詳、正体不明。ここでメイドとして働くとこういう表情になっちゃうのかな? と思ったらそうじゃあないっぽいなあ。筆頭メイドの初出勤時、その頃からまったく同じ顔、同じ表情だってんだから、ほんと謎。で、メイド長。この人って、本家にいらっしゃる方よね? この方も全然変わらない。いやもう、この家のメイドさんたち、謎だらけです。
さて、小さな頃は人見知りだったはじめ。メイドさんの前に姿を現さず、けど先輩メイドには懐いてるから普通に姿を見せてという、その見え隠れの攻防。おかげで先輩メイドにからかい上手という冤罪がかかるってのがおかしかったです。
若かりし頃は失敗も多かったメイドさん。今ははじめが好きすぎるあまりの暴走からのやらかしが見られるだけで、すっかり有能になってますよね。でも昔は失敗をどんどん積み上げて、注意もされるし、しかられる。それでも無闇と責められることはないっていうの、とてもいい。このお屋敷のメイドたちの柔軟さ? 和やかさ? それが本当に心地良く、そしてそれは彼女らを雇用している館の主の人徳ゆえなのかも知れませんね。
失敗に落ち込むメイドをいたわるはじめ。鼻血はやりすぎだけど、いやほんといい話だったのでは? ええ、メイドさんはいつもやりすぎの嫌いありますけど、その根本にあるはじめ愛の芽生えが垣間見えた今回。可愛らしくいい話でしたよ。
- 『まんがホーム』第35巻第12号(2021年12月号)
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