『まんがホーム』2021年12月号、発売されました。表紙は『らいか・デイズ』、タキシード姿で指揮を振るらいかをメインに、子供たちで合唱をする『天下分け目の小早川くん』、そして器楽で二重奏、『孔明のヨメ。』孔明、月英夫妻の姿が続きます。しかし孔明夫妻、月英のバイオリンはわりとポピュラーなソロ楽器という感じですが、孔明のバスーン、これはなんか珍しいなあ! 思えば中国の伝統楽器にも弦を弓で弾くもの、そしてダブルリードの管楽器がありますね。孔明たちの生きた時代にもそれらはあったのでしょうか。
今月は新規ゲストが1本です。
『幽霊さんのための科学的新仮説』
超科学歌と書いてこしなまなかと読むんだ。学歌は高校2年生。この世のあらゆる事象は科学的に証明できるという強い信念のもとに生きている女の子。オカルトなんて信じない! っていうんだけど、目の前に現れた幽霊、玲音に対してもその態度を決して崩さず、観測した幽霊という事象を科学でもって証明してみせよう!
おお、正しい科学的態度ではないでしょうか。
いつもは完全に無視されるか、気づかれたとしてもおぼろげにしか認識されない。そんな状況に不満を感じてたんですね、玲音。なので明確に自分のことを認識してくれる学歌に出会えてめっちゃハイテンション。幽霊とは思われない生き生きさ加減だよなあ。というか、この子がこうして迷ってこの世に留まることになった理由はなんなのだろう。
寂しさの感情こそは溢れているが、自分についての記憶はない。学歌の研究対象となり、一緒に過ごしていくことで、玲音の問題なりなんなりが判明し解決に向かったりするのかな? と思っていたら、学歌は学歌で人が離れていくこと、ひとりになることに怖れを抱いているようで、そんな彼女にとっては玲音と出会えたことはよかったのかも。
互いに相手の存在を必要としている。そんなところがあると思ったんですね。
『座敷童子あんこ』
怖い映画を見たあんこ。キャンプ場に出没する紙袋殺人鬼の映画だっていうんですが、その記憶も生々しい状態でキャンプにいくことになるっていうんですね。映画のようなことはそうそう起こるまい。というのに、きっとなにかがある、殺人鬼がくる、やけに警戒しまくるあんこがおかしい。
でも、幸太のたてるフラグのくだり。ラストで盛大にフラグが折れるの、よかったのか悪かったのか。
なんだかんだでキャンプを満喫するあんこ。殺人鬼の予感に怯えながらでもこんだけ楽しめるのはもう才能の域なのでは!? でもって夜、幸太と一緒のベッドで寝るっていうんですが、これ、幸太を守るためなのかな? 自分がこわいからではないのかな? でも、それはいいとして、マッチョスタイルで寝る意味は!? いつものちんまいサイズなら幸太もそこまで圧迫されんかっただろうに!
でも、ぐっすり眠っている幸太にママさん、ふたりを守るために未知の不審な物音に立ち向かおうとしたあんこは立派でしたね。さっき自分がこわいだけじゃないの? なんていったの、取り消さないといけません。家族を守るために身を張ってくれる座敷童子。普段の言動こそはアレだけど、それら差っ引いても立派だと思いましたよ。
で、パパさん! いやもう、パパさん、この漫画内最強格なのかな? 少なくともこの人自身が人智の及ばない存在に肉薄しちゃってますよね。
『孔明のヨメ。』
曹操率いる魏の軍勢が迫ろうとする呉において、開戦するかあるいは降伏するか。それを決めんとする会議が開かれようというのですが、はたしてここで孔明の果たす役割とは!
と思っていたら、ああ、呉はもうすっかり呉だけで決断できるまでに仕上がっていたんじゃないですか。意見を求める孫権に、まずは降伏派代表の子布が答えて、勝てぬ戦いに挑むより、屈辱にまみれようと生き残る道を選ぼうとするその苦渋の滲む言説には、おおいに心揺らがされるものありました。
戦いを避けるのは臆病だからじゃない。滅亡を避け生き残りの未来に一縷の望みを託そうという、そうした姿であったんですね。
で、これを受けての周瑜の演説。子布の言葉を受け、そこから前へと進めていく。勝てぬ戦いではない。曹操には弱点があると、その弱みを明確に示してみせたその上で、必ず打ち破ってみせると意気込みを押し出していく。
今回は本当に周瑜の見せ場でしたね。これからの戦いにおける孔明の見せ場はもう少し待たないといけなさそう。しばらくは周瑜、孔明、双方のコンビネーションが続きそうな感ありますね。
- 『まんがホーム』第35巻第12号(2021年12月号)
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