『まんがタイムきらら』2021年12月号、昨日の続きです。
『星屑テレパス』
大会での失敗以来、学校にきていない瞬。ちっともうまく話せなかったスピーチの映像を見返す海果は、そこに瞬の言葉が残されていることに気づいて、ああ、彼女は自分のことを信じてくれていた。
この時、海果の胸中にあった思いとはなんなのか。そして瞬を引っ張り出すために動き出す海果をはじめとするロケット研究同好会の面々。ずっと暗い表情をしていた。ずっと迷いを抱えていた。そんな彼女たちがもうすっかり明るく、前を見て、そして将来を展望し、まだ見ぬ未来へ手を伸ばそうとしている。その眩しさよ。その彼女らの最初に手を伸ばそうとする先、それが瞬であるというのもまたしびれます。
自分たちの力でロケットを作れるようになりたい。それで彗を頼るのですね。彼女の学校、竜岡科学技術高等学校を訪れ、宇宙研究開発部にて教えを乞う。自分たちの作ったロケットを評価してもらい、うまく作るためのノウハウを教えてもらう。
しかしなぜここでロケット作りに打ち込もうというの? それがわかる終盤。ああ、ふたたび瞬にロケット勝負を挑もうというのですか! 覇気に欠ける瞬だけど、あえて負けるという選択肢は彼女にはないだろう。しかしだとしたら海果、この子は自力で瞬のロケットを超えないといけない! ああ、この再戦、いかなる結果となろうか。いずれ、この勝負が瞬の気持ちに火を灯してくれたらいい、そう思わないではいられません。
『むすんで、つないで。』
学校における自分のポジションを理解したつなぐ。おお、素晴しいよなあ。少し自信もそなわってきた? いや、そうでもないな。いつもどおりのちょっと弱気で、気さくで、感じのいいつなぐさんですよ。あのヘアオイルのくだりとかね、価値を知らずに使ってた! 市場価格を知って驚く七色に、それ以上に驚くつなぐ。ふたりの様子、すごくいい。驚いて、そして最後に安堵して、その気持ちの同じように動いているところ、共感の様、すごくよかったですよ。
そして小学生組の話。女子人気の高い花ノ子、対し男子人気のある白百合。でも白百合にとって男子は同じ興味を持ってる存在に過ぎなくて、個体の認識はどうにもあやふや。そしてね、こうした話の果てに苺の評価がくるでしょう。人生二度目を自称する不思議な子。花ノ子、白百合、そしてつなぐと親しくしながらも、どこか一歩引いている感じもするこの子。でもそんな苺のこと、花ノ子は一緒にいると楽しいっていってくれてるし、白百合もそうだね。ふたりともに、それぞれ違う視点から苺のこと、評価して、思いやっているんだってわかった今回。
このこと、苺にとっては嬉しい事実だったのかな。どこか安心できる、ほっとする、そんな気持ちもあったように感じられたのですが、だとしたら嬉しいなあって思いました。どんな人生を異世界? 異郷にて送ってきたものかはわからない。でもそんな彼女にとって、今の人生のやりなおし、小学生に戻って、皆と同じ気持ちではいられないものの、なんとか? 溶け込んで? 毎日を送っている、そんな苺にとって、花ノ子や白百合たちの存在が無理せずここにいていい、そんな風に思えるよすがとなるのだとしたら、どんなにか嬉しいことでしょう。
ふざけた言動は照れ隠しなのかな? だとしても、この子にとっての過ごしやすい場所、それがここにあるのだとしたらいいな、そういたく思わされた回でした。
しかしそれにしても苺、べらぼうに可愛いよな。ふざけてない時のこの子の表情とか、もうたまらない魅力があるよね。
『ほぐして、癒衣さん。』
日曜日でも休みとは限らない。それが仕事! って、つらいなあ! 自分は日曜は休みでずっとやってきたから、こうして休日がない、休日であろうと出勤を強いられる職場とか耐えられないかも知れない……。ほんと、死んだような目で起き出してくる夏鈴。おお、いたましい。でもって、その朝食、冷ややっこに納豆、豆乳、なんでまた大豆しばり!? イソフラボン強化期間なんですかい?
そんな夏鈴の生気に欠けた朝。ぐずぐずしながらもなんとか職場に向かう彼女の目当てのひとつに、同じく休日出勤している癒衣さんがあるのですか。やたら疲れている夏鈴のこと思いやってくれて、足をほぐしてくれるって。癒衣さんのマッサージのおかげでこのところちょっと調子がいい。そうね、これがあるから、癒衣さんに会えるから職場にいくのもそう悪くないと思える。すごく頼りにしてる感じしますよね。
しかし、足のマッサージの情景、いろいろ面白いというか共感性高いというか。ダニに刺された痕が! ここにも虫刺され? っていうの、身につまされるわあ! 夏になるとどうしても虫刺され増えるよね。やっぱダニなのかな。布団を日に干したりしてもヤツら、いなくならんよね? いや、そもそもダニなのかわからんけど、夏になるとあちこちにできる虫刺されの痕。どうしても気になるからさ、指摘されて恥じて悶える夏鈴の気持ち、なんかちょっとわかるんですよね。
でもって、そこからのいろいろ。暴れたはずみで顔を蹴っちゃった!? とまらない鼻血に、さらに出血するというこの不思議! いや、さっき足のマッサージしてた時に散々見てたんじゃないんですか!? 癒衣さんの夏鈴に向ける視線、あるいはその思いなどもろもろ。あまりこう具体的に明示されてないわけですが、誰に対するものとも違う、特別感、やっぱりありますよね。
- 『まんがタイムきらら』第19巻第12号(2021年12月号)
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