『まんがタイムきらら』2021年12月号、先日の続きです。
『蜂も刺さずばうたれまい』
元ヤンということを隠しているすずめ。でも勝負事、球技大会となるとどうしても勝ちをつかみにいきたい。元ヤンの血が騒ぐ? いや、ただの負けず嫌いってことでいいじゃありませんか。別に元ヤンとかじゃなくてもそういう人いますよ?
でも、どんな些細なところからでもバレに繋がることは避けたいわけだ。球技大会、競技はバレー。しれっと力を抜いて本気を出さないよう、メッキがはがれないよう努めるわけですけど、悪いことに相手方に蛍がいる。事情を知ってるこの子がね、ネット越しに顔あわせるたびに、ちまちまちまちま挑発してくるの、面白いよな。というか、その挑発の文言が的確で、すずめのことよくわかってるんだろうなあ。いやもう、そうとは見せないけど、あなたすずめのこと好きでしょう。絶対そう思いますよ。
でもってついに本気を出すすずめ! 鬼気迫る絶叫とともにアタック! と思ったら、これ心の声なのか。自制心強いな! でもこれですずめクラスでも人気者じゃん。でもって蛍、やっぱり挑発してたの、おちょくってたわけじゃなくすずめが後悔しないようになんだね。こうした、やっぱりわかってる感見せてくるところ、あなどれない娘ですよね。ほんと、すずめのこと大好きでしょう。絶対そう思いますよ。
『えるくえすと!』
さらなる勇者パーティメンバーがやってきましたよ。雨の中、困り果てていた少女。空が飛べない、ホウキが飛ばない、おかしなこといってるんですが、なんとその耳がファンタジーに見るエルフ耳。それでましろが、エルヴィーラの名前を出してその子を店までつれてくるんです。
その子、アレッタ。なんてこった、500歳なの!? 長命の種族。見た目どおりじゃないんだな。職業は魔法使いで、しかも伝説級!? そんな彼女もこちらの世界ではステータスリセットを受けていて、努力の果てに身につけた魔力も失われてしまって……。
ショックを受けながらも、ゲームショップの仕事を手伝いはじめるくだり、すごくよかったですよ。確かに魔力は成長前の初期値に戻ってしまったけれど、身についた経験は残っている。覚えがはやく、状況把握も的確で、それはこの子が成長の過程で育んできた能力であるわけか。こういう、学んで身につけたことは誰にも奪うことのできないという描写、なんだろう、ぐっときますよね。すべてを失ったわけではない、いまは失くしたものも再び取り戻すことのできる、そんな未来に目を向ける様。そこには、なにがあっても負けずに努力を続けてきたこの子が得た一番大切なもの、諦めない気持ちが描かれていたと思うのですね。
しかしアレッタ、驚きの有望株。レジ? PC? も使えるようになって、これは一番この世界に順応できそうですよ。あれだな、常識人のカテゴリーに入りそう。自律行動するホウキをつれてるとか、一番非常識な人なのにこれというのが面白いですね。
『それでは、ステキなセッションを。』
不思議なピックのおかげでライブを大成功に導いた芽依。仲間からの評価も高くて、そんな彼女のピックの秘密、ドラムをやってるしきちゃん、一色にも教えてあげました。けも耳少女にもらったピックを使ったら、思いどおりに演奏できた。でもって、誰にも見えなかったけも耳少女、一色には見えたんですね。
かくして、ふたりスタジオに向かいセッションと洒落こみます。けどピックは有効期限切れ。新しいのが欲しければ、またガチャを引きましょう。そのかわり代償がありますよ……。って、千円でいいのか。千円で思うがままの演奏ができるとか、破格では!?
でも、ガチャだから常に欲しいのが出るわけじゃあないんだね。芽依は一発で星3いい感じのピックを引いたのに、一色が引いたのは何でもカレー味になる粉。って、それ、カレー粉じゃないの? というか、音楽に関係しないのも入ってるんだ。でもってこの子、どんだけまわしたのか。ともあれ、ついにナイスなスティックを引いて、そこからはじまるふたりのセッション! ああ、ドラムとベースなら、一層一緒に演奏する醍醐味、体験できそうですね。そのいつにない演奏のとりこになるふたり。時間も忘れてセッションを続けるところ、ほんと、これは魅力的なシーンでした。
しかし、道具のおかげとはいえいい演奏をこうして体験できるというの、それだけで能力の向上に役立ちそう。まずは知ること、体験すること。それこそよい教師について習ってるようなものじゃありませんか! この子たち、今は不思議な道具だよりでも、いつしか知らないうちにずっとうまくなってそう。そんな予感がしますですよ。
『ぎんしお少々』
なんだか面白そうな展開しています。すずにお古のフィルムカメラを持ってくるよう頼まれたしろ。それで家捜ししてみたら、お婆ちゃんからもらいうけたというのが出てきまして、それがハーフカメラ。ハーフカメラというとオリンパスのペンとか京セラのサムライとかが思い浮かぶんですが、これ、奥の方はリコーのオートハーフっぽいな。手前のは、ちょっと知らないなあ。調べてみたらゴールデンハーフってやつらしい。最近の製品っぽいけど、存在さえ知りませんでした。なんかトイカメラカテゴリーっぽいなあ。
すずにふたつ見つけたと報告するしろ。すずにどちらがいいかと聞いてみれば、ゴールデンハーフが選択されるのか! マジかー。この漫画、あくまでもトイカメラ系で押していくってわけだな。しかし実際どちらがいいんだろう。数十年前の古いカメラと、最近の廉価なトイ感あるカメラ。修理とかきっちりできてたらクラシックカメラでも充分いけるけど、手入れがちゃんとできてないとモルトが駄目になってて光が入ったりするもんなあ。
ともあれ、すずの発案が面白いと思ったんですね。持ってきてもらうまでの間、しろに写真を撮るようにいうんですね。普段、写真は撮らないしろに、あえて撮影するよううながす。これ、しろの視点や興味が明らかになるなあ! 普段はもゆるに振り回されぎみに、彼女の写真趣味につきあってる。それが今回はしろ主体で撮影するとなれば、とまどいながらもなにか発見があったり興味の扉が開いたりとかしたりするんかなあ!
なにを撮ればいいのか、いまだわからずにいるしろに、相談を受けたもゆるが指差していうでしょう。飛行機雲だよ! その時に、これまでよりも明確に緻密に背景が、頭上の木、その枝振りや葉の表情、そして奥に広がる景色なんかも描かれるでしょう。
そうなんですよ。写真を撮ろうということは、これまで見過ごしにしてしまいがちだった周囲の情景に目を、気持ちを配るってことに他ならんのですよね。当たり前すぎて気にもしなかったことが、情報密度高めに目の前に立ち上がってくる。そんな感覚。ここにこうして表現されたことが、そうそうそんな感じ! に溢れていて素晴しかったです。
- 『まんがタイムきらら』第19巻第12号(2021年12月号)
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