2015年10月26日月曜日

『まんがタイムきららフォワード』2015年12月号

『まんがタイムきららフォワード』2015年12月号、昨日の続きです。

『鬼が出るか蛇が出るか』、優がいい感じに籠絡されてきてる感じでありますよ。これまではお婆様はじめ、いわれるとおりに優に迫ってきた鈴が、このところ随分大人しくしていて、そのかいがいしさ、健気さに、おうおう、優さん、すっかりやられちまってるじゃないの。さて、今回は美来がメインの話でした。優との対話ですよ。美来に以前いわれてたことを気にして、テストで100点とってみせる。どうよ! 鼻高々な素振りに、かわいくて結構好きだよ、くすくす笑いの美来さん。なんて素敵なんだ! ああ、この人、最高だよ。なぜ鈴が優のことを好きになったのか。また、美来の本心とはいかに。そうしたことが語られた今回。なるほど、インプリンティングに似た感情がある。鈴は人の姿を得てはじめて出会った優に、その心をとらわれてしまった。一種の一目惚れ。そしてそれは美来も同様で、優のことを — 、と思ったら、おおう、違った! 違うんか! そっちか! おおう、予想外だったよ。でもほんと、美来さん、素晴しいな。この人並みの常識を持たない彼女。発想が優越的で、その自由さ。最高だと思います。

夢喰いメリー』、イチマからみなとたちの危機を知らされ、現場に急行するメリーと夢路。ジョンとその一行は別の敵と交戦中。無茶はするなといわれても、せねばならない無茶もある。ああ、夢路、かっこいいなあ! メリーも夢路も、危機的状況を前に、退かない。不利な状況に追い込まれたとしても、ギリギリまで諦めることなく、踏ん張る。強いからヒーロー、なんじゃない。そういうことが伝わる、そんなこの漫画のシーンが大好きです。さて、今回、イチマちゃん、頑張りましたね。みなとや夢路たちに向けて放たれた巨大ツララ、その危機的局面に割って入って、必ず助ける、その約束を守るためにその身を呈して、ああ、イチマちゃん、死んじゃったーっ!? って、よかった。生きてた……。これ、ほんとに心配しましたよ。でもって、そして、夢路の力が発現。これはもう、そうこなくっちゃ! なんだけれど、あー、これ、白儀の思うつぼなのか……。そう思えば、夢魔を扇動してこの状況を作り出したのも彼なわけで、そうした中、局地的勝利をおさめるとしても、これからの行く末、いかなる結末が待つのか。いやほんと、優位を敵が常に得ている。はらはらさせられるシチュエーションが続きます。

『怪獣の飼育委員』、これ、本当にいいですよ。かつて、怪獣と人が相容れず、敵対的であった頃のこと描かれて、時は1999年、市街に現れた怪獣を兵器でもって撃退、退治していた。その時に長官として、怪獣対策に辣腕ふるっていたのが大河原長官。しかしこの人もすっかり老いて……。唯音のお隣さんなんですね。物忘れないし痴呆が進んでいるようだ、そんな描写がですね、なんかわびしくて、そう思っていたら、次の展開、まさかの怪獣出現ですよ。ああ、実はずっと一緒に暮らしてた? そんなのかと思ったら、ちょっと違った。本当にこの時に出現したんだ。それをお爺さんは、息子の信夫と思って、一緒に街に出て、それがちょっと騒ぎになって。唯音と宙の機転で、騒ぎは大きくはならなかったのだけど、この人が以前、人にきつく当たっていた時のこと、少し語られて、そのころ、つらいことがあった。そしてそれは唯音のお母さんに補完されて、ああ、信夫さん、その怪獣の騒動に巻き込まれて、命を落としてたんだ。悲しい話です。この、怪獣と大河原氏の最後の対話。これは、あの時に正気が戻ったのか。それとも、それまであえてそう振る舞っていたというのでしょうか。それはわかりません。けれど、わからないからこそ、いろいろと想像する余地がある。この人のつらかったろう人生の、けれどそれは最後にはやわらいだのだろうか。ほんと、静かで、いいエピソードであった、そう思ったんですね。

『そこテストにでます!』、おお、恋する気持ちはすれ違ったり、あるいは鬱屈した思いが選択を誤らせたり、青少年は大変だ。まずね、もみじですよ。もみじとしーなの帰り道。一緒の各停車内にて話していた、それがですね、もうほんと、もみじのいじらしさ描き出しまして、もみじの思うところ、しーなにはバレバレ。もみじは否定的だけど、ちょっとの偶然にも期待したい、そんな思いがあろうこと透けて見えて、そしてしーなのちょっとしたくすぐりも、冗談として受け取れない。もみじ、ちょっと焚き付けられたかたちですけど、ほんと、数馬のこととなると余裕なんてないんですね。そして数馬、かえでの言葉を素直に受け取らなかったんだー! なんで!? というと、受験の失敗などなどの鬱屈した感情、あるいは自信のなさなど、もろもろが働きかけて、まさか、この人が本当に自分のことを? なんて思えなかったんだろうなあ。後悔する数馬の座り込む駅のベンチ。そこをゆきすぎるのが、もみじとしーなの乗った列車。そのすれ違いの情景こそが、彼、彼女の関係を物語るようで、あるいは近付きながらも気付かない、そんな恋する気持ちそのものでもあったのかもなあ。ほんと、関係はシンプル。恋のベクトルも明白。でも、それをその当事者が認識できてないという状況。その、正しく状況を認識させないもの、それこそがこの漫画のテーマなのだろうと認識させられた思いです。

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