『まんがホーム』2015年11月号、発売されました。表紙は、秋ということで運動会ですね。『らいか・デイズ』らいかがポンポンを手にチアガールしていまして、格好は体操服っていうのが運動会らしくていいですよね。そして他には、二人三脚する『孔明のヨメ。』、孔明、月明夫妻。『まんがの装丁屋さん』のコミックス告知カットも体操服でありますよ。デフォルメされたキャラクターが可愛いですね。
『孔明のヨメ。』は、孔明、月英サイドは、いずれくる時を思って心配する月英と、強気で妻をメロメロにさせる孔明。謎の勝負といいますか、いやもうイチャイチャしやがってー! なのであります。さて、本編は曹操だったんですよ。青州淳于にて郭嘉と談義する曹操。青州を完全に手中におさめた曹操。そんな彼に、郭嘉が渡したもの、紙だったんですね。これまでの紙よりもずっと品質のよいもの、それを手にして、曹操、一気に発火したごとくに才気ほとばしらせる。ああ、曹操、やっぱりすごい男なんだなあ。そう思わせる一連の描写。目など爛々と燃え立たせて、ああ、なんと色気のある男だろう。紙を見て、それが社会を、天下を変えてしまうと直感する。それからの決断も。もう、見事でありました。
『敗者復活戦!』は、月穂サマと桑原先生の関係が気になるニーナですよ。というか、この子、サスペンスの2時間ドラマ、そんなの見るんだ。そう思ったら、ああー、お母さんが好きなのね。月穂サマの家のこと、いろいろ思って母に話した、それがこれからはじまるドラマのネタバレと思われて、涙目の母ちゃん、なんだろう、可愛い人だなあ。そして、娘に釘を刺すんだけど、それが三国志からの引用とな。疎きは親しきをへだてず。それからも、ニーナ、あれころ月穂サマのことかぎまわろうというんだけど、その策はちょっととりやめみたいですね。夕記の言葉、誤解なんだけど、それを聞き入れて、それでとりあえずこの疑惑は棚上げです。最後のね、月穂サマ、ニーナの企て気付いてたんだけど、帯電でうやむや。ええ、こんな感じがいいのですよね。
『いぬにほん印刷製版部』、驚きました、次回で終わっちゃうのかあ。仕事に慣れてきた紙谷。もしかしたらボーナス出るかもよ、なんて話に浮かれちゃうんだけど、ああ、昔出てたボーナスが最近なくなってたのか……。会長から聞く会社のなりたち。教育さんにずいぶん世話になったとか、それから会社の名前の由来とか、なんだかほのぼのと読んでいたら、おお、これ、フリだったのか。教育さんの定期刊行物が廃刊。印刷費も削減して、いぬにほんから他に乗り換えることに……。オンデマンドがうまくいきはじめたらこれだよ。けど、これが印刷業界の実際なんだろうなあ。どこもコストをさげたい。簡単なものなら、自前で名刺でもチラシでも刷っちゃう。そんな時代です。転換期を迎えて、どのような選択をしていけばいいのか。潰れたりはせんだろう。しかし、いぬにほんの、紙谷の将来はどうなるんだろう。いよいよなにか不安にさせられる、そんなラストでしたよ。
『つれない教師の落とし方』、ゲストです。落とし方って、なんだかいやな感じだなあ。と思ったら、あれ、なんか思ったのと違う感じだよ? ずっと好きだったと告白して、つきあうことになって、と思ったら、速攻で破局。あー、告白した相手が新任の先生だったっていうんですね。先生は教卓で青い顔、そして少年は教室に生徒として座ってて、この距離感よ! 天国が一気に地獄。その失恋の顛末、ショックの様、ありありと語られて、面白いんだか、切ないんだか。いや、描写としては面白いに振ってますよね。八木先生と早乙女少年のままならぬ恋模様。思い余って、授業中に、重ねて先生に恋心を伝える彼に、先生は百人一首、藤原敦忠の歌ですねと答える。はぐらかしている? いや、そうじゃない。歌に詠まれし心をや我が身のことと重ねつつ、かなわぬ思いをその胸の裡に隠さんとする、先生の表情にこそ切なさはつのろうというもので、ええ、早乙女くん、君はまだ青いな。そう思わないではおられない、そんな第一話でありました。
- 『まんがホーム』第29巻第11号(2015年11月号)
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