『まんがタイムきららMAX』2022年6月号、発売されました。表紙は『こみっくがーるず』。かおすちゃんと小夢ちゃんが、ふたり揃って晴着に袴。ええっと、これは卒業式の情景かい!? ふたりともに花のあしらわれたその装い、目にも綺麗で華やかで、いとけなさ感じさせるその表情、仕草に将来への展望感じさせるようなはつらつとした元気さが見えるように感じられます。春の日の、うららかな日差し、そうした温かさも感じさせる、素敵な表紙です。
今月は新規ゲストが1本です。
『ギャルとネクラの吸血関係』
2話一挙掲載されたこの漫画。結果導入にはずみをつけることに繋がって、とてもよかったと思います。
女子高生たちは吸血鬼出没の噂でもちきり。クラスのあちこちでは、いくつものグループがそれぞれに、まるでお天気のあいさつでもするように、街に出没する吸血鬼の噂をしているのですが、友達もできずくすぶっている葉手川いよねは一緒に噂話で盛り上がる相手もおらず、ひとり教室の後ろ、孤独の時間を持て余しているというんですね。
田舎から都会に出てきたのをきっかけに、いわゆる高校デビューを図ろうと思ったものの、がんばって装ってみせたギャルスタイル、これがいまいちキマってなかった? いや、自己紹介で違う意味でキマってしまったのがまずかったか。クラスの皆から、ちょっと距離置かれてるよね。
そんないよねが抱いた希望が、隣の席の千翠まくる。ひとり本を読んでいるその子の横顔に魅かれたか、同じくぼっちの境遇にこれならいけると思ったか、話しかけてはみたものの、いまいちうまく響かない。そんなまくるといよねの共通点が、まくるの読んでいた漫画、『ユアブラ』。でも、一度は交流がはじろうかと思われたものの、まくるが一方的に退いてしまった。
その彼女の秘密。実は噂の吸血鬼であったと判明するのが第1話。そしてこれだけに留まらず、続く2話目にて明かされていく、いよねの特別な能力。普通の人間は、まくるの魔眼に見据えらると精神を掌握されいいなりになってしまう。ところがいよねには魔眼が効かず、かくしてふたりは対等な関係に!?
どうなるんでしょうね。いよねの血を吸うにいたったまくる。すっかりいよねを自分の眷属にしたと思っていますが、見た感じいよねは自身を失っていない。特になにか変わった感じもしない。はたして、この関係、まくるの思っているような主従関係となるのか、あるいはいよねのふるまいから見てとれるように、あくまでも好意好感で繋がる対等なものになるのか。
この次の動きが気になる引きに、ああ、2話を一度に読めたのはよかったと、そう思ったのでした。より印象的なところで、来月を待つことになったと思ったのでした。
『ご注文はうさぎですか?』
青山ブルーマウンテンとマスターのエピソードは、この漫画におけるもう一本の柱とでもいえるような確かな存在感がありますね。今回も心情に訴える、そんな物語を見せてくれて、ええ、大変によかった。数ページの掌編ながら、胸に訴える、そんな力を持っていて、マスターを待ち続ける思い人と、それでもあえてマスターがこの世界に留まろうとするその思いが、ひしひしと押し寄せてきて、これはおおいに沁みいるものありました。
マスターがティッピーの姿を借りてまでこの世に留まっているのは、ひとえに孫娘、チノのためであるのでしょうが、同時に青山翠のことも気にかけてくれている。そうしたマスターの気持ちが、青山のスランプによってより一層に深く、強く印象づけられたエピソードでした。これまで決して身内以外には明かさなかった秘密を、ここにはじめて家族以外にも知らせることになった。
青山に声をかけはげますことはあっても、真実を知らせることはなかったマスターが、うさぎの姿の自分を青山にさらした。この時の青山の心情。姿は変わろうとも、自分を支え見守ってくれていたことを知って、そして告げられる青山の思い。これはたまらないものがありました。もう会うこともかなわないと思っていた人との再会。伝えられた感謝の気持ち。これは奇跡以外のなにものでもないのだけれど、そうした奇跡に出会うことのできる木組みの街の夢のような時間。それが本当に素晴しいと思える好エピソード。ちょっと忘れられないものになりそうです。
- 『まんがタイムきららMAX』第19巻第6号(2022年6月号)
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