『まんがタイムきらら』2022年5月号、発売されています。表紙は『スロウスタート』。栄依子と冠が、ふたり、うさぎの耳つけて、可愛いお揃いの衣装着て登場です。これ、イースターですね。イースターのうさぎになって、そして周囲にはカラフルに彩られたイースターエッグがあって、このパステルカラーも目に楽しいイラスト。そして背景にいる着ぐるみうさぎ、まさか本編カラー扉絵にてその中身大公開! って、君らか! いや、そうだよな、君らだよな。思いきりのいいうさぎとちょっと躊躇のあるうさぎ? そんな風にも見えるのは、その中身を知ったからでしょうか。いや、そうでもないと思う。なんかその動きに個性がちゃんと感じられるんですよね。
今月は新規ゲストが4本です。
『まほっと!』
魔法使いの通う学校にて、いまだ馴染めず、友達もできずにいる南。魔法の実技もふるわず、自分の能力に疑問を抱いていたところ、学年トップの西家江奈に連れられて彼女の研究室を訪れることとなるのです。
西家から渡された薬を飲んだ南。手順が入り組んだ高度な魔法、散らかった部屋を片づけるよう西家にいわれて試してみた南が、自身思いもしなかったほどに鮮かにその仕事をまっとうしてみせて、その驚きと、西家の言葉に勇気づけられるにいたるこの流れ。ずっと自信を持てずにいた彼女が、西家の薬によって実証された自分の能力に、まず自分を信じようと思えるようになった。その変化。今はまだ自力で能力を発揮できない南だけど、前向きに取り組んでみようと思えるようになった。それがきっかけとなって魔法のことも、そして友達のことも、全部好転させていくというのですね。
しかし、この学校に関わりのあるという伝説の大魔女様。この人、もしや西家の関係者? いや、それどころか……? などなど、ちょっと、おや? っと思わせるようなくすぐりもある、そんな第1話でした。
『えど。ぶんか』
滅びた人類の文化を復元すべく、アンドロイドたちが人の文化を経験し、知っていこうという試み。ここ第五復元都市が取り扱う文化は、日本の江戸時代。断片でしか残されていない文化を自分たちで実地に試す。それで初回はなにをやるのかというと……、まさかのハラキリ!
新人、仁七の研修にてとりおこなわれた文化当てクイズ。その対象となる文化がハラキリだというのですね。
まずは人がやっているのを見る。腹に刀を突き立てて、その後おもむろに介錯。転がってくる首に混乱示すも、やってるのがアンドロイドですから死んだりしないのはせめてもの救いでありましょう。しかし、自ら肉体を損傷する意味とは、そのメリットとはなんだろう。非生産的としか思えない行動に、なにかしらの意味を見出そうとする仁七。あまりにもわからないからと、自分でも体験して、その意味とはなにか、なにを目的とした行為なのか、答を得ようというんですね。
出てきた答はおおよそ実際のものとは違うのだけど、情報の伝えられていないこの社会では答えあわせなどはできないわけで、ゆえにまずは自分で考える、仮説を立てる、そうした営為にて人の文化を知ろう、そんな話であるのですね。
『メイドなクラスメイト』
家の事情により、身分を隠して一般の高校に通うことになった水守華菜。皆に溶け込めるよう一般常識を勉強したという彼女だけど、教師データがおかしすぎる! なんでヤンキー文化から学ぼうとするの!? と、それはいいとして、華菜の通う学校、なぜかクラスにメイドがいる。制服ならぬ、メイドの装束にて過ごしている七月蛍。彼女との交流にて、だんだん化けの皮がはがされていく華菜ですよ。
いや、この場合はどういったものだろう。化けの皮ではあるけれど、メッキがハゲるとは違うよね。むしろニュアンスとしては逆。金の地金が出てきてしまうというか、育ちのよさは隠しとおせるものではない。会話のはしばしに漏れ出る、一般家庭らしからぬ言葉の数々。メイドは足りている、お父様と、語るに落ちるというやつなんですね。
メイドの格好している蛍、この子の目的は、いわゆるひとつの就職活動。お金持ちの家庭を見つけて雇ってもらいたい。というなら、一般家庭の子女が通う高校では目的かなわなくない? まあそれはさておいて、格好こそは一人前だけど、仕事に関してはかんばしくない。お茶汲みの技術も、それ、メイドのお茶汲みじゃなくて、四川の茶芸だ! どこかズレてる、それが蛍という子なんですね。
『笑うマコにはサユ来たる!』
人の幸運度を数値として視認することのできる石川サユ。ただこの子には悪癖があって、それは自分より幸運度の低い人を見下してしまうというもの。石川サユの幸運度は100。おそらくはカンスト。ゆえに、あらゆる人は見下されるべき対象で、その結果、石川サユは孤立を余儀なくされてしまうことになりました。
って、あなた、幸運だったんじゃないの!? 幸運値カンストで、友人ができない、めちゃくちゃ寂しいって、それ幸運が発揮されてなくなくない!?
ともあれ、そんな彼女が興味を示したのが、幸運度最低を示したクラスメイト。その数値たるや、サユとはまったく正反対のマイナス100。ただ昼食を食べようということさえままならぬ不運。弁当は、なぜか教室に入り込んでいた猫に奪われ、机もなぜか大破損。あまりの不運は周囲にも影響を及ぼして、ついたあだ名が不吉女。それで友達が去ってしまって今やひとりぼっち。
この不吉女と呼ばれてる彼女が、漫画のタイトルに出ているマコですね? でも本編で一度も名前が紹介されていない……。ふ、不幸だわ……。
幸運だけど友達のいないサユと、不幸ゆえに友達のいないマコ。まったくの正反対のふたりがこうして出会って、ついには友達になろうとサユからもちかけるにいたった。これ、マコの不運はサユに影響しないのか。また逆に、サユの幸運がマコを不運から救うことはできるのか。いや、どうもできないっぽいですね。だってさっそくマコは昼食の入手に失敗している。ええ、でもこうして友達のできたこと、それがまずは大切ですよね。ふたりにとっての一大事です。
- 『まんがタイムきらら』第20巻第5号(2021年5月号)
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