『まんがタイムきらら』2022年5月号、昨日の続きです。
『むすんで、つないで。』
年が明けました。それでつなぐは寝正月を決め込むのですが、いや、普通の寝正月ってだらだら過ごしていたらいつの間にか三が日が終わってたってやつだろう? なのにつなぐときたら、年末の大変さを埋めあわせようというでもいうのか、ばっちりアイマスク装備で布団から出ぬまま眠り続けるというんです。眠り姫!? 眠り姫なのね!? そんなつなぐを深い眠りから引き上げたのは、花ノ子、白百合姉妹です。正月の挨拶に訪れたふたり。健全な正月ライフをつなぐの前に提示して、ああ、つなぐ、なかなか対応できずにいるよ!?
今年の抱負についての話題だったんですね。書き初めで書いたんだね、きっと。白百合の冬虫夏草、いや違うな、元気溌剌だな、小学生が書き初めするにはちょっと難しい字だな。花ノ子は一期一会。これも小学生らしからぬシブさだな。対しつなぐが捻り出した抱負は、生きる。シンプルにして人の根源に触れる、そんな深みのある言葉。いや、これ悪くないですよ。とはいえ、つなぐはあんまり考えずに話していますよね。
バイト先で、つなぐ、正統派寝正月をたしなんだ七色に抱負の話をするんですよ。そうしたら七色がすっかり感心しちゃって、いやいや、この誤解よ。いい方向に受け取ってもらえるつなぐのラッキー。でも、これ、つなぐが学校でしっかりと学生生活を送ってきた証拠なんだと思うんです。そしてつなぐが七色に自分の抱負を話した時のあの表情。めちゃくちゃ素敵じゃないですか! いやもう、輝いてると思います。額にいれて飾りたいくらいに素敵です。
今回の皆の会話、正月らしいんだからしくないんだか微妙にわからない感もありましたが、正月をイベントとして過ごさない人にとっては妙なリアルさがありました。そしてつなぐの今の暮らしに充実と感謝を感じるくだり、これ、この子の健全さ感じさせてくれて、いやあ、駄目だなんだと自分のこと悪く考えがちなつなぐですが、全然そんなことないよ。すごく素直で謙虚、真っ当であろうとする健やかさが素晴しい。ええ、あらためてそう思わせてくれたエピソードでした。
『それでは、ステキなセッションを。』
ベーシストとして大切なものを掴んだ芽依。その演奏も、だんだんとその魅力を増してきています。ベースソロにて前に出た花ノ子のまとう奏ドレス。持続力はないといいますが、ここぞという見せ場でしっかり自分を打ち出していけるの、やっぱりこの子の可能性なのだろうなあって思わされるんですね。
そんな芽依に持ちかけられたメジャーデビューの話。バンド、スプリンターズのベースとして正式に参加してくれないか。一歩前進、実績にもなる。そうした話をてんちゃんづたいに聞いて落ち着かないのが一色。メジャーデビューするのが芽依のためになる、そう思いながらもなにかといろいろ面白くない。バンドやるなら自分とといってくれた、その約束が脳裏に残っているんですね。
芽依のその約束が本気であること、明確にされたあのコマ、芽依の見せた表情、きりっとして、決意のほどもしっかり伝わって、ああ、これはいいですね。そりゃあ一色にも思いっきりぶっ刺さりますわ。そしてここからのふたりのセッションの情景。ああ、以前誰だったかがいっていたとかいう言葉を思い出しました。
仲が悪くてもジャズはできるが、仲がよくないとロックはできない。
一色とともに演奏している芽依が見せる奏ドレス、その開かれていく可能性に、芽依にとっての一色、彼女のかけがえのなさを思ったのでした。
- 『まんがタイムきらら』第20巻第5号(2021年5月号)
0 件のコメント:
コメントを投稿