『まんがタイムオリジナル』2015年5月号、発売されました。表紙は『ラディカル・ホスピタル』、山下さんをメインにして、これはウォーキングの風景みたいですよ。颯爽と歩く山下さん、快活さ感じさせる、その笑顔も気持ちよいものでありまして、そしてそのかたわらには『らいか・デイズ』らいかと『小森さんは断れない!』しゅりです。しゅりは学校のジャージですね。真面目に歩いている、そんな様子で、そしてらいかは、いつもの私服、右手にボックスティッシュ、左手に買い物袋。おつかいの帰りにウォーキングをどんどんやってる、そんな感じが実に面白かったです。キャラクターのらしさが出て、よいものでした。
『小森さんは断れない!』は、中学生活もいよいよ終わり、ということで、まさ子がイベントを企画するんですね。クラスのMVPを祝う会。それを担任に持ち込んだら、企画は大筋では採用、けれど細部に修正がはいったんですね。まさ子、明らかにしゅりを労いたく思ってますよね。それを先生は、誰をと決めるのではなく、各々感謝したい人を選べばいいというようにする。うん、妥当だと思う。いい変更でしたよ。けど、それでも半分はしゅり宛てになるってのは、まあ、そうだろうなあ。納得の結果です。しかしよかったのはここからで、ああ、まさ子、ああ、先生、まさ子の兄か、忘れてた。ほんと、しゅりのこと大好きな妹、その表情を見て、兄貴、もうすっかりまいっちゃってて、なのに手紙なくしちゃってるってんでしょう? 駄目だよ、先生。そう思ったんだけど、おい、姉か。まさ子のあの姉か。さすがだわ、この人。しかし、この酷い人のおかげでしゅりの気持ちが決まる。ほんと、わかった上で挑発してるんだろうなあ。そして手紙。まさ子、あえてこのイベントを企画してでも、自分の気持ちを伝えたかったのだろうなあ。ほんと、泣ける、いいエピソードでした。
『よゆう酌々』は、玄関壊れる。修繕しないといけなくなって、なにかと物入り、なんとコタツも壊れてたんだ。コタツは優にとっての巣。けれどこれがあると戸田との接触が増えてしまう……。ああ、悩んでいるんですね。しかし、これで話はすまなかった。ああ、なるほど、優の前の夫、来店してたんだ! 店内で、持ち込みのワインボトルを割ってしまったお客。粧子と森永が片付けてくれたんだけど、それを見て嫌なこというんだよ、その客。阿藤。別れた妻、今はもう他人みたいなもんじゃんよ。それをお前呼ばわり。さらには、掃除くらいしか能がないんだからさあ。ありえない嫌な男で、ああ、女将よ、別れて正解。正解。どうやら、なにやら、未練とかなんかありそうな雰囲気でもあるんだけど、それをこんな表現しかできないとか、ね、ほんと。とりあえず追い出して塩でもまいてやりゃあいいです。マジで。
『迷想乙女の文学会議』、今回は『注文の多い料理店』かあ。酔っぱらって松島センパイにからんでたっぽいよ、そう同期から聞かされた倉野さん。なんとか早く謝りたい、そう思ってるんだけど、残念、いや、残念ってことはないか、別にからんだとかなかったみたいで、松島さんも怒ったりはしてない、むしろ感謝してるっぽいっていう。ああ、なるほどの文学談義、いつもどおりってことなんでしょうね。ランチタイム、店内には注文が飛び交っていて、そこで思い出された『注文の多い料理店』。ああ、倉野の解釈、合コンってのはまさしく意外だったけれど、「そこが自分の立場が反転しうる厳しい世界という自覚のない人間」の話。ぐうっと胸にきましたね。いいですよ。これは定番の解釈だったりするのでしょうね。けれどそれをわかりやすい、あるいは面白いシチュエーションに寄せて語って、そうした表現は面白く、そしてそれが倉野、松島の関係にも敷衍される。大変によかったと思いましたよ。そして倉野の同僚、彼女らが松島、倉野ふたりの関係をさらに誤解していく。そうしたところもグッドでした。
『放課後すずなり倶楽部!』、もう一年たっちゃったかあ! 鈴鳴美亜、2年生になりました。進級して、それでいよいよ先輩になるのかな? そう思ったけれど、新入部員のスカウトはあくまでも部長の仕事なので、積極的には呼び込みませんよ。それで語られるのが優良の昔の話なんですね。入学当初の優良は、おしとやかで清楚な優等生。もの静かで人に合わせるのが上手で八方美人で、いつもニコニコしてる、そんな姿が描かれて、うわ、ほんと、めちゃくちゃ可愛いじゃないのよ。こんな優良を部長が気にいったのは、ネコをかぶっていたからじゃないか? 裏庭で眠っていた優良を見て、その本性、その本当を玉緒に知られて、見せて、そしてねこら部に誘われるんですね。あのコミュニケーションの様子。かぶってたネコがはがれた瞬間。素敵だった。そしてだんだんにはげていく鍍金、はがれていくネコ。その本当の、そのままの優良、それで可愛いじゃないか、それで素敵なんじゃないか。そうしたコミュニケーション。グッド・コミュニケーション、でした。
- 『まんがタイムオリジナル』第34巻第5号(2015年5月号)
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