2004年12月25日土曜日

ママは小学4年生

  今日は待ちに待ったクリスマス! というわけで、クリスマス特集のおおとりを飾るのは『ママは小学4年生』です。十五年後の未来からタイムスリップしてきた赤ちゃん — みらいちゃんを、小学四年生のなつみが居候のいづみおばさん(おばさんといっても十九歳だ!)と一緒に育てるというお話。どたばたでけれどもどこか感情を揺すぶられないではいられない、感動の名作アニメなのであります。

で、なんでクリスマスなのかって? いや、最終話が放映されたのがクリスマスだったのですよ。クリスマスの今日の日に発生するタイムスリップで、みらいちゃんを未来のなつみのもとに帰そうというんですね。世間の好奇の目に屈することなく、ひとつ目標を達成しようとする子供たちの奮闘を見て、日本中が涙しました。ええ、涙しましたとも。まさにクリスマスの日に、まさにテレビを見ているその日、その時間に、みらいちゃんは未来に帰っていったのだと、虚構と現実の垣根を超えて私たちの心はひとつに重なり合ったのだと思います。

ごめんなさい。嘘ついていました。実をいいますと、関西では放送日時が違ったんです。なんとママ4(こう略して呼びます)は、午前5時15分からの放送だったんですね。いや、午後じゃなくて午前。そんな早朝にやっても誰もみてへんってばよ。なので、関西でママ4を見てたというのは、まあ十中八九マニアないしおたくですね。本来のターゲットであった小学生にメッセージが届くはずもなく、いや、これは悲しむべき事実であると思います。

そしてもうひとつ嘘をついていました。私、最終回を見逃していたんですよ。最終回に向けてどんどんお話は盛り上がっていって、どうなるんだろうと楽しみにビデオをセットしておいたら、なぜか最終回だけ、5時15分からではなく5時45分からの放送だった! 放送が開始されるまでのカラーパターンを呆然としながら見送りました。いったいなにが起こったのか理解できず、放送事故だろうかと新聞のテレビ欄を見て、— 真相を知って愕然としました。

こうして、ママ4は私の心に傷を残して終わったのでした。

心残りでしたね。ええ、心残りでしたよ。だから、後日LD BOXが出るとわかったときに、買わないという選択はなかったのです。ええ、買いましたともLD BOX。この手の商品で一番高い買い物でしたよ、まさに。けれど不思議と後悔はなく、いやむしろ、この素晴らしい作品を第一話から最終話までぶっ通しで見ることができるということに、本当の充足を感じさえするのですね。

『ママは小学4年生』は、今では考えられないほど地味な話で、なにしろこの1992年当時、アニメは玩具メーカーのスポンサードを受けて製作されるのが当然だったのに、こういう変身もしなければ変形合体ロボも出ないアニメというのがよく民放で放映されたものだと、その当時のスタッフ及び関係者には感謝したい思いでいっぱいです。

実際、話の中にはおもちゃとして展開できるグッズが出てきたりして、多少鼻についたのも事実であるのですが、しかし、スポンサーがからんであの程度で済んでいるということの方がすごい。これは、よくよくスポンサーに理解されていたアニメだと思うのです。

小学4年生の子供が、赤ん坊を育て、未来の自分のもとに無事送り届けようという、これだけがすべてのアニメ。けれどそれがどんなにか深いものであったか、このアニメを愛する人は知っています。そしてその深さがなにに由来するのか、その本質を理解していると思います。

CD

主題歌は益田宏美(岩崎宏美)。OP、EDともに名曲だったが、特にEDはモーツァルトのピアノソナタ K545をそっくり使っていて(グノーのアヴェマリアにおける平均律と思っていただいたらわかりやすいかと思います)、実は私、これを教育実習向け授業のテストで歌いました。いや、関西だからね、みんなママ4のこと知らんから安心して歌えてね、結構好評だったんですよ。

ついでにいえば、サウンドトラックには千住明(かのヴァイオリニスト千住真理子の兄で作曲家)が名を連ねていて、今になってびっくり。千住明、結構好きなんですよ、あの人となりはなんともいえません。

書籍,漫画

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