『まんがタイムきららフォワード』2017年12月号、昨日の続きです。
『球詠』。これ、すごいな。ほんと、こんな展開がくるなんてまるで思いもしてませんでした。クイックモーションを駆使しタイミングをずらし翻弄してくる投手を相手に、なんとか一点取り返せないか。それができなければ負けてしまうという局面。試合の流れまでも相手のペースに引っ張られていくという状況において、我らが新越谷はどう出ようというのか。大村白菊ですよ。剣道経験者の白菊。間合い八間を勝負の間合いとし、あえて投手を意識しない。間合いにボールが入ってきたところを、マシンを相手に練習しているいつものタイミングで叩く! って、すごいよ、この子のターン。まるで雰囲気が違って、え? ちょっと待って? なんかえらいことになってない!? いやあ、よかったですよ。いわゆるケレン味ってやつだとは思うんですが、こういう見せ方、こういう展開もあるんだこの漫画! いやあ、やられましたよ。いかしましたよ。
『江波くんは生きるのがつらい』。これまでヒロイン候補を見つけては、自分の理想のヒロインじゃないっていって逃げてきた江波くん。でももう逃げられないんだ! というか、自分自身とも向き合わないといけない状況に追い込まれた!? 竹松にとっつかまって連れていかれた文芸サークル「ろまんす」。どうせこんなの馴れ合いのサークルだって決めつけて、というか速攻で逃げたがってるよね、江波くん。だけど逃げるに逃げきれず、むしろ一本も書かずにやめてしまった先輩のこと聞かされて、ああ、つらい! でも、これ、江波にはいい経験なんだと思う。小説は書かない、読む専門だっていって、小説書こうとしてること隠してる彼のこと、書いてるじゃんって突然やってきた清澄にバラされて、ああ、江波、逃げ場なし! これ、ちょっと面白いな。うん、江波的な心情は自分にもある。だからこそ、彼が追い詰められたその先になにを見出すのか、そうしたところに興味あります。ええ、これはきてますよ。
『こじらせ BOY meets GIRL! 』。柚貴、勉強駄目なんですね。ああ、海外暮らしだもんな、国語難しいよね、と思ったら、あ、これは違うっぽい。英語と家庭科、それから保体をのぞいてほぼ全滅といった様相だ。というわけで追試決定。そんな柚貴の勉強を亨が見てくれる。ああ、ふたりの距離、なおも縮まるね! とか思ってたら、ああ、亨、誤解しちゃったパターンか! 見知らぬ男から言い寄られている柚貴がその男を袖にする。カレシとかいないんでしょ、そういわれて、彼氏はいないが結婚の約束している相手はいると答えた、その相手ですよ。いやいや、それ、どう考えてもあんたでしょう!? なのに亨は気づかない。いや、当事者、本人となるとそんなもんかも知れんけどさ、柚貴がそいつ以外に興味がないといいきった、それで今、柚貴が一番好意を向けてる相手って誰なのか、ですよ。ねえ、ほんと。亨、柚貴の相手が気になって、ちょっと気持ちがグラグラ? ほんと、君、素直さが足りてないよ!
『夢喰いメリー』、インターバルですね。白儀との一件、一旦決着して、日常に戻ってきた夢路たち。目下の問題は文化祭の打ち合わせ。文芸部の面々となにをしようかと話しあうことになるのですが、そうした普通の日常の情景の裏に、この世界の危機が迫っていることを夢路たちだけが知っている。なんてことない日々の暮らしの楽しみ、喜びが描かれるからこそ際立つ危機であるのだなあと思わされましたよ。なんせその前日には白儀の成そうとしていることを聞かされ、そして夢路はメリーとの約束をただただ守るだけだ、白儀に敵対することを明言しているってんですから。しかし白儀の目指す世界のあり方。これはまた胡蝶の夢のようというべきか、はたして人の認識にとって世界とはどういうものであるのか。そうした領域に踏み込まんとする勢いであります。
- 『まんがタイムきららフォワード』第11巻第12号(2017年12月号)
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