『まんがタイムオリジナル』2017年12月号、発売されました。表紙は『ラディカル・ホスピタル』、山下さん、なんだかほっとするような雰囲気、素敵な色合い、あたたかさ感じさせてくれましてね、季節は冬目前、ええ、おでんがテーマでありますよ。今にもよく味のしみた大根を食べようとする山下さんのゆるんだ笑顔、愛らしく、『らいか・デイズ』らいかも、ええと、三角ははんぺん? 伝統的な組み合せ? そいつをフーフーしてるのがいいですね。『小森さんは断れない!』、大谷はおでん缶ですね。いや、違うのかな? ともあれふたり一緒におでんを食べる。冬のファーストフードでありますね。
『きっと愛され女子になる!』。三島コロッケなんていうのがあるんですね。なにか特別な具材でも入ってるのかなと思ったら、なるほど、三島市名産のメークインで作ったものをそういうんですね。で、それを爆発させてる志摩ちゃん。ジャリジャリいわせながら試食してる警官の皆さんとか、もう最高ですよね。今回は結婚願望のない翔ちゃんの話あり、そして結婚願望バリバリの志摩ちゃんの話あり。ほんと、極端そのものなふたりなんですが、極端だからこそ面白いんだろうなあ。翔ちゃんの、いいように遊ばれてるけど、それを気にしないところとか、ものすごいし、逆に重すぎて遊ぶ相手には向かないという志摩ちゃん。健気なんだけどなあ、ねえ、難しいもんですよ。しかし、こんなふたりの間で、さゆりはどうなのか。自分も目立たない方、コロッケみたく脇役ってことなのかも知れないけど、そのコロッケも主役になるってね、これは翔にかけたさゆりの言葉だけど、さゆり自身への言葉のようにも思えたのでした。
『ぎんぶら』。ほんと、のっけから予想外の森林浴を見せてくれて、確かにこれがこの星の森だというのなら……、と思ったけど、いや、やっぱりあかんよ! 実際、この星の人間は森林浴とかいって、その緑の泥につかっちゃいないんだものなあ。その星に住む人達の、楽天的というか、妙にノリのいいところ、今回も健在で面白くって、そう思っていたら、おお、なるほど、地底世界みたいなものか。同じ星に異なる文明が存在しているという、それで接触しないよう心掛けてるというのね、なんだかかなりのSFっぽさ感じさせる設定で、ワンダーですよね。かなりぐっときましたよ。
『北斎のむすめ。』。やっぱりこれいいですよね。子供の頃の栄が父に買ってもらった筆でもって絵を描きはじめたという思い出話にはじまって、そして今、自分の未熟さをしっかり胸に抱えたまま、父のもとで下働きからやりなおすというんですね。これ、娘だからという甘えを捨てたのだろう。父も自分をひとりの画工としてその技術を計った。ならば自分も雑用でもなんでも追い回されよう。これ、栄の自立でもあるのだろうな。こうしてひとりの画工になっていくのだろうと思わされるところあって、あのひとつ迷いのなくなった栄のさっぱりとした表情、実にかっこよかったですよ。そして父の画工としてのあり方をシビアに見つめ、けれど同時にふたりは父娘でもあってという、その関係の描かれよう。懐の深さある、いいエピソードにしあがっていたと思いましたよ。
『カントリー少女は都会をめざす!?』。今回は映画の話ですよ。そうか、亜紀とみなの見たがるような映画は、なかなか田舎まできてくれないんだ。全国津々浦々まで網羅してくれるような話題の大作ならまだしも、ちょっとでも上映絞られるともう近くじゃ見られない、みたいなことありますよね。ほら、『君の名は。』とかも、舞台となった町には映画館がないからって、なかなか見られなかったんでしょう? うちは近所にいくつもシネコンあるけど、そうじゃないところは大変です。で、八重の映画の好みですよ。というか、八重ちゃん、すごいな、というか、それで君、本当にいいのんか!? 人がいっぱい入る映画が見たいって、いや、そういう人がいることは自分も知ってるんだけど、ほんと、この子は一貫していますよ。いつも一番大きいスクリーンで見ます。人が満員! って、そうか、満員の観客にまみれて見るのが好きなんだ! 対して亜紀とみなは、ガラガラの小さなスクリーンで見るのか。うん、わかる、自分もそんなこと多いよ? 前売りの特典を欲しがる亜紀。でもそれをもらえない現実がつらいって、今回こそは都会のメリット、それを切実に感じたのが八重ならぬ亜紀だったのかも知れませんね。
- 『まんがタイムオリジナル』第36巻第12号(2017年12月号)
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